東京多摩借地借家人組合

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通常損耗の原状回復特約で最高裁が新判断

2006年01月26日 | 住まいの貧困に取り組むネットワーク
賃貸住宅の賃借人は、通常の生活で生じた汚れや破損(通常損耗)の修繕費を負担する義務があるかが争われた訴訟で、最高裁第2小法廷(中川了滋裁判長)は、12月16日の判決で、契約書に明記するなどしない限り、通常損耗分を賃借人が負担する義務はないとの初判断を下した。その上で、不明確な記載に基づき、敷金から通常損耗分を差引いた家主の大阪住宅供給公社に返還する義務があると認定し、返還額を特定するために審理を大阪高裁に差し戻した。
 裁判では通常損耗を含む「原状回復特約」の有効性が争われた。判決では、「賃借人が社会通念上通常の使用をした場合に生ずる賃借物権の劣化又は価値の減少を意味する通常損耗に係る投下資本の減価の回収は、通常、減価償却費や修繕費等の必要費を賃料の中に含ませてその支払いを受けることにより行なわれている」とし、通常損耗についての原状回復義務を賃借人に負わせることは「予期しない特別の負担を課すことになる」ので、通常損耗負担義務が認められるためには、「通常損耗の範囲が賃貸借契約書の条項自体に具体的に明記されているか、仮に契約書で明らかでない場合には賃貸人が口頭により説明し、賃借人がその旨を明確に認識し、特約が明確に合意されていることが必要である」と、通常損耗補修特約について厳しいハードルを課している。

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