東京多摩借地借家人組合

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自然損耗でも借主負担とする例外のある特約は借主負担とする理由が書いてないと無効になる可能性高い

2020年03月10日 | 敷金と原状回復
 国のモデル契約書である「賃貸住宅標準契約書」では、原状回復についてガイドラインの考え方に基づいて作成され、別表第5でガイドランの概要が記載されている。なお、別表第5の最後に「例外としての特約」で、本来貸主が負担すべき原状回復費用を借主に負担とする理由を示して、特約を明記し貸主・借主の署名・捺印を求めている。

 講師の弁護士は、単に契約書の特約に例えば「乙は退去後、汚れの程度に如何を問わず、指定クリーニング業者にて行う室内クリーニング費用を支払うものとする」と書くだけでは無効となると指摘していた。

 賃貸住宅標準契約書の再改定の主なポイントについては、①家賃債務保証業者型が追加。②連帯保証人については改正民法に基づき「極度額」を頭記欄に設けた。③契約期間内に借主が修繕を行う場合のルールを明記した。④賃貸物件の一部滅失その他の理由で賃貸物件が使用できなくなった時の賃料減額の規定が明記。⑤敷金・原状回復・賃借物の全部滅失による契約の終了に関する規定が明記。極度額について金額の基準はなく、国交省は「極度額に関する参考資料」を発表している。

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賃貸住宅の契約の相談対応研修会開催 原状回復トラブルのガイドラインと賃貸住宅標準契約書

2020年03月10日 | 敷金と原状回復
 株式会社社会空間研究所が国交省の補助事業として毎年行っている「賃貸住宅の賃貸借契約に係る相談対応研修会」が全国9都市で開催され、東京会場は2月13日午後12時から千代田区の全国町村議員会館で開催された。150名の定員一杯となり、東借連から役員3名が出席した。

 研修内容は、①原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)の解説、②賃貸住宅標準契約書(平成30年3月版)の解説、③民間賃貸住宅に関する相談対応事例集(改訂版)の解説以上で約4時間にわたり、3名の弁護士から講演と質疑応答が行われた。

 原状回復をめぐるガイドラインでは、原状回復について「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意過失、善管注意義務違反。その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義し、建物の通常使用・経年変化は賃料に含まれるので貸主が負担、賃借人の善管注意義務違反や故意・過失部分は賃借人が負担と分類している。また、借主の退去後に古くなった設備等を最新のものに取り換える等のグレードアップは貸主が負担するとしている。

 また、ガイドラインでは経過年数の考え方が導入され、経過年数の経過割合について耐用年数経過時に残存簿価1円となり、賃借人の入居期間が長くなるほど賃借人の負担割合は減少する。クロス・畳床・クッションフロワ等については入居期間が6年で1円になる。
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