東京多摩借地借家人組合

アパート・賃貸マンション、店舗、事務所等の賃貸のトラブルのご相談を受付けます。

賃貸住宅の相談Q&A

2024年09月20日 | 法律知識
Q 賃貸借契約締結に当たって、家賃の支払い方法を指定されました。従う義務はありますか。
A 賃貸借契約はあくまでも貸主と借主の合意が原則となります。当該物件の賃貸借契約を締結するためには、その家賃の支払い方法には従わなくてはならないと考えられます。
解説 家賃の支払い方法は、賃貸借契約の履行方法についての当事者の合意となり、契約自由の原則によって、債務の履行方法に関する合意も有効であると考えられます。従って、現金持参、口座振込みといった家賃の支払い方法に関して合意している場合は、当該方法に拘束されます。
 入居する際に、クレジットカード払いでしか家賃の支払いを受け付けられないと言われた場合には、納得がいかなくてもクレジットカードに申込み、手数料も借主が負担することになります。(賃貸借トラブルに係る相談対応研究会『民間賃貸住宅に関する相談対応事例集』)

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最後のとりでの生活保護 未払いのウラに何が?

2024年09月20日 | 法律知識

いま、生活保護の申請数が増加しています。去年は全国で25万件を超え、この10年で最多となりました。そして、受給する世帯数は現
在、約165万世帯に上っています。最後のセーフティーネットと言われる生活保護ですが、群馬県桐生市では、保護費の未払いなど不
適切な対応が発覚しました。取材を進めると、生活保護からの自立に向けた行政側の対応に、課題が見えてきました。
(クローズアップ現代 取材班)

生活保護費が未払い 男性の訴え

「生活にあてる保護費は1日1000円の支給で、未払いの月もありました」
こう話すのは桐生市の60代の男性です。
建設関係の仕事をしていましたが、持病の糖尿病が悪化して合併症を発症。いまもインシュリンの注射が欠かせません。仕事を続けら
れなくなり、去年7月、市に生活保護を申請しました。
生活保護は認められて、男性は日常生活に必要な費用「生活扶助費」として月7万円余りを受け取ることになりました。しかし市の担
当者に思いもよらないことを告げられたといいます。
男性
「ハローワークへ毎日行って確認のハンコを見せてもらえたら1000円渡しますよと言われました。『行けないときはどうなるのです
か』と尋ねると『1000円はもらえませんよ』と言われ、受け入れるしかありませんでした」
男性は、毎日、地元のハローワークに通い続け、そこでもらったハンコを市役所で見せて1000円を受け取る生活が約2か月続いたとい
います。月に換算すると3万円あまりにしかなりませんでした。本来の金額のおよそ半分でした。
男性
「物価も上がっているなか、1日1000円では野菜は買えず、スーパーで半額になった揚げ物やカップラーメンを買って食べていまし
た。また、害虫を駆除するための殺虫剤も買えませんでした。生活は苦しいなんてものではありませんでした。でも、市に逆らってお
金がもらえなくなると、生活ができないので我慢していました」
男性が頼ったのは、生活に困窮する人の支援活動を長年続けてきた地元の司法書士・仲道宗弘さんです。男性は仲道さんと一緒に市と
交渉し、ようやく未払い分を受け取れました。
「桐生市の生活保護行政がおかしい」と訴え続けた仲道さん。去年11月に会見を開き、実態を告発しました。仲道さんに頼った男性も
「仲道さんがいなかったらいまだに1000円で生活していたと思います」と話していました。

市は自立支援を重視するあまり…

仲道さんらの指摘などを受けて、去年12月になって、桐生市は複数の不適切な対応があったことを公表して、謝罪しました。
市によりますと、2018年以降、市内で生活保護を受給する11世帯に対して保護費を分割で支給した上で全額を支払っていなかったとい
うことです。
なぜ市はこのような対応をとったのでしょうか。
市は去年12月の市議会で、「国が出した通知にのっとった」と回答しています。
その通知には、「就労可能な受給者に対しては集中的な自立支援を行い、生活保護の脱却を目指す」方針が示されていました。市はこ
の通知をもとに、働くことができると判断した人は、男性のようにハローワークに通ってもらうなど、自立支援を行ったと説明してい
ます。そして、ことし9月、NHKの取材に対して、この通知の受け止め方に課題があったと答えました。
桐生市保健福祉部 宮地敏郎 部長
「国の方針の受け止め方という部分では、自立支援を頑張らないといけないというところに重きを置きすぎたことが、結果的に受給者
の意に反した対応になったと思っている。面談で働けると判断された人は、『頑張ってやろう』というやりとりがあったときに、アグ
レッシブに指導したというようなところはあったのかと思う」
この不適切な対応をめぐっては裁判になっています。
桐生市側は、男性に対して保護費を全額支給していなかったことの違法性は認めているものの、保護費の分割支給については男性との
間で合意があり、ハローワークでの求職活動を支給の条件にはしていなかったと主張しています。
一方、男性側は、1日1000円の支給も求職活動が条件だったなどと主張しています。

支援団体に相次ぐ情報提供

桐生市の実態を告発した仲道さんはことし3月、くも膜下出血のために亡くなりました。その仲道さんの思いを受け継ぎ、生活困窮者
を支援する団体が調査に乗り出しています。
団体は情報提供を呼びかけるチラシを作り、市内で4000枚以上配ると、ことし8月までに50件以上の声が寄せられました。
保護費の未払いのほか、生活保護の申請を拒否された、受給後に辞退を迫られたという訴えもありました。なかには「ほかの自治体の
介護施設に入り、そこで生活保護の申請を」と告げられたという声や、「家計簿をつけるように言われ、『レシートがないぞ』『何に
使った』と執ように責められた」という訴えもありました。
「反貧困ネットワークぐんま」町田茂さん
「桐生市では、生活保護を申請させないように力を入れていた疑いや、生活保護の受給ができた人も、そのあと辞退や廃止に追い込む
ような働きかけが行われていた疑いがある。いまわかっていることは、まだまだ氷山の一角ではないかと思う」
このように支援団体が主張する背景にあるのが、桐生市の人口に占める受給者の割合を示す保護率です。国や県の傾向とは異なり、桐
生市では年々減少。世帯数も過去およそ10年で最も多かった902世帯から、490世帯に半減しているのです。

“申請を拒否された”という訴え

群馬県がことし6月に公表した、桐生市に対しての特別監査の結果でも、窓口を訪れた市民が生活保護を申請しようとしても受け付け
なかった「申請権の侵害」が疑われる対応が複数あったと指摘されました。また、今後の生活の見通しについて確認ができないまま、
廃止としたケースも複数あったとしています。
実際、生活保護を申請しようとして市に拒否されたと支援団体に訴える別の男性が取材に応じてくれました。男性は、5年前に難病を
発症し、当時働いていた会社を退職せざるを得なくなりました。生活に困窮したため、3年前から繰り返し、市の窓口に行きました
が、生活保護の申請書をもらえなかったといいます。
男性
「障害年金はもらっているのですが、どうしてもそれだけではきついということで申請に行きました。しかし、全然申請書も出しても
らえず、こちらが意見を言おうとすると『何を言っているんだ』という高圧的な態度を取られて心が折れました。最後のとりでだと
思って、こっちは頼っていたわけなのですが…」
こうした訴えについて、桐生市の担当者は取材に対して次のように述べました。
桐生市保健福祉部 宮地敏郎 部長
「申請の拒否については、県の特別監査の指摘でも疑われている部分ではある。そのため、私たちの方から『無かった』とも申し上げ
られない。また、生活保護の辞退の強要はしていなかったと考えていて、本人の意思で辞退されたと受け止めている。ただ、もしその
ように相手に取られるような対応があったとすれば、改善していきたい」
そして、公務員としての規範意識を低下させるような組織体制や職場風土があったことなどが、不適切対応をした一因であったことも
否定できないと説明しました。
今月、桐生市は再発防止に向けた対応策を発表しました。
生活保護費は全額支給を基本とし、分割で支給する場合は受給者の生活を最優先に考え回数を最小限にとどめ、月内に全額を渡すこと
を徹底するとしています。また、職員向けのマニュアルや事務処理の手引きを作成し、生活保護の申請の際に説明にばらつきがでない
よう取り組むことにしています。

取材を終えて

司法書士 仲道宗弘さん
今回、私たちが取材する中で一番印象に残ったのは、桐生市で起きた生活保護費の未払い問題を告発した、司法書士の仲道宗弘さんの
姿勢です。
桐生市の実態を告発したあと亡くなった仲道さん。
家族によりますと、仲道さんは「国家資格を持つ者は国民のために働くんだ」と、たびたび口にし、生活に困窮した人たちに最後まで
向き合い続けたといいます。家に帰って寝られる日は少なく、週の半分ほど職場の机の前で寝ていたといいます。
病気や障害などで生活が苦くなった人たちにどのように向き合っていくべきか。
仲道さんの姿勢に大きなヒントがあるように感じました。
桐生市の第三者委員会の検証は続いています。
再発防止に向けて、その結果にも注目したいと思います。
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