東京多摩借地借家人組合

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家賃保証会社が不法行為 法規制と公的制度を

2021年11月16日 | 追い出し屋被害 家賃保証会社
 家を借りる際、いまや8割が利用している家賃保証会社。コロナ禍の雇用危機で家賃の支払いに窮する人が増えるなか、強引な支払い督促などのトラブルが絶えません。法規制を求める動きから10年以上。業者の野放し状態がつづいています。
  連帯保証人にかわり家賃滞納時に賃料を保証するのが「家賃保証会社」です。入居者は委託料などを保証会社に支払います。
東京都の藤田美佳さんは、ツイッターで家賃保証会社とのトラブルの相談にのっています。情報を寄せた人は約1200人です。
「家賃の分割払いに応じない、支払えないと嘘つき呼ばわり。家や職場に鬼のように催促の電話をする」「法外な退去料を請求され『さっさと払え』の一点張り。子どもの奨学金で工面した」「家賃を滞納してないのに保証会社に勝手に鍵を変えられた。振り込んだ家賃を大家に渡していなかった」という〝大家も被害者〟という事例までも…。
藤田さん自身も被害者です。部屋を借りて1年、請求書が届きました。「契約時には何の説明もなかった」委託保証料でした。「納得できない」と支払いを拒んだところ弟の会社にまで電話をかけてきました。「矢の催促に耐えかねて支払う人もいるのでは」と懸念します。
 家賃保証会社について、全国の消費生活センターに寄せられた相談は2010年度が最多で741件。その後、減少しましたが、19年度は485件と高止まりしています。
 国土交通省によると、家賃保証会社は約250社。「把握できてない会社もある」といいます。そのうち同省が定めた登録会社が83社(9月現在)。家賃保証会社の利用率は年々増え、賃貸借契約の8割に上るといいます。
「生活弱者の住み続ける権利対策会議」副代表の及川智志弁護士は、貸金業法の規制強化でサラ金などが倒産したことが家賃保証会社の増加の背景にあると見ています。
かつて返済に窮した債務者に「目ん玉売れ」などと脅迫的な取り立をして社会問題となった「商工ローン」。同社の社員が家賃保証会社の社員になっていた例もあります。「貸金業の元社員が取り立てのスキルを使い、追い出し行為をくり返している」と問題視します。
家賃保証会社をめぐっては、家賃滞納を理由に勝手に鍵を替える、家財を撤去・処分するといった不法行為が横行。違法判決も相次いでいます。 
及川弁護士は「一つひとつ裁判で救済していては間に合わない。本来は居住権があるのに住まいを失う被害者も出てくる。法規制が必要です」と話します。
 東京借地借家人組合連合会の細谷紫朗会長は「国の登録制度は任意のため登録なしでも営業ができる。悪質な取り立て行為や違法な契約に対し、事実上の野放し状態が続いています」といいます。
保証会社が連帯保証人を要求する「ダブル保証」も増えています。
さらに低所得を理由に利用すらできない人も増えています。同組合の調べでは、家賃保証会社の審査に「落とされた」と答えた人が3割もいます。
「生活困窮者は保証会社から契約を拒否されると部屋を借りられない。住まいの貧困をこれ以上広げないためにも、法規制ともに公的な家賃保証制度が必要です」と訴えます。

(新聞赤旗11月16日報道記事)

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