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小泉「改革」の本音見えた

2006年02月05日 | 住まいの貧困に取り組むネットワーク
 国会答弁で「格差の拡大は確認されない」と繰り返していた小泉首相が、ついに「格差が出るのは別に悪いこととは思っていない」とまで言い出しました。参院予算委での答弁(一日)です。インターネットを通じて配信している「小泉内閣メールマガジン」では、「負け組」も再挑戦を、問題は挑戦しない「待ち組」だと、すべての責任を国民の努力に転嫁する主張まで繰り返しています。

 格差と貧困に苦しむ庶民の姿を無視して「弱肉強食」を当然視する、小泉「改革」の冷たい本質を浮き彫りにしたものです。

■一線を踏み越えた

 近年の日本で急激に広がる貧困と格差の拡大は、数字の上だけの話ではありません。非正規雇用で働く人が三人に一人、若者や女性では二人に一人という数字には、年収がわずか百万円程度で結婚すらできない多くの若者の悩み苦しむ姿が映し出されています。

 貯蓄ゼロ世帯が急増しているなど貧困の広がりを示す数字の背後には、給食費や学用品のお金にも困る大勢の子どもたち、健康保険料が払えず病を重くしているたくさんのお年寄りがいます。自らの体を酷使し、いのちまで脅かされる何千、何万もの中小零細業者がいます。

 数字の一面的な解釈で格差の拡大を否定する首相の議論は、こうした庶民の苦しみへの無関心さを浮き彫りにしました。国民の暮らしの改善をまず最優先すべき政治家として恐るべき無責任さです。

 その首相が、格差が「確認できない」というだけでなく、「格差が出るのは悪くない」と言い放ったのは、明らかに格差についての一線を踏み越えています。悲惨な格差社会を積極的に認める姿勢の表明です。

 首相は、これまでの「悪平等」を変えて「努力すれば報われる社会」にするために、「改革が必要だ」と力説します。しかし、これまでの日本社会に、「悪平等」と評されるほどの“平等”があったでしょうか。しかも近年の格差拡大は、所得の多い世帯では自分の能力向上や子どもの教育のための費用も多く使えるが、所得の少ない世帯はそれもままならないというような形で、格差を固定化し、拡大しています。「努力をすれば報われる社会」という言葉そのものが、しらじらしい限りです。

 そんなことさえ無視し、格差を容認し、「改革」さえ進めればうまくいくかのようにいう首相発言は、弱肉強食の社会をつくることこそ小泉「改革」の目的だと、自ら宣言したに等しいものです。「努力すれば報われる社会」という言葉は、額に汗して働く人より、「ホリエモン」のような「錬金術師」を優遇する小泉「改革」をごまかすための、“粉飾”と“偽装”にすぎません。

■「改革」の根源に迫る

 小泉「改革」の青写真を描いた竹中平蔵総務相は、数年前の著書で次のようにのべています。税制による所得再分配は、貧しい家の子が金持ちの子どもからおもちゃを取り上げるようなもの。社会保障は「集団的なたかりみたいなもの」―。

 その竹中氏は「構造改革」の意味を、「競争社会をつくり、弱い者は去り強い者は残るということ」だと解説しました。格差を容認する小泉首相とうり二つではありませんか。

 小泉「改革」が何の利益ももたらさないのは明白です。週明けから衆院予算委で来年度予算案の審議も始まります。小泉「改革」の根源に迫り「弱肉強食」の政治をやめさせるたたかいがいよいよ重要です。(しんぶん赤旗06年2月5日)

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