本当は、「憲法改正」のテーマは安倍首相の9条3項追加案で行くとして、バックアップで持論の日本国憲法廃止→新憲法制定を持ち出して、新憲法を検討するという内容だったのですが(新憲法を諦めた訳ではないので、テーマを残してそれほど遠くない時期(夏あるいは初秋)にまたやろうと思っています)、安倍政権が内閣改造で再スタートを切るということで、筆者に異論がある9条3項追加案自体に再チャレンジしようと思っています。
9条3項追加案自体は国民のアンケートでも受けは悪くなく(賛成53%、反対35%)、与党(公明党さん)への配慮もあって、保守派の中でも評価ある案だと思うのですが、やっぱりちょっと苦戦しそうかなって思うんですよね。9条3項追加案を安倍首相が出した時は、安倍政権に勢いがあって大丈夫だろという空気もあったんですが、勢いに翳りが出てから考えてみると、今回(憲法改正)はハードルメチャ高いし、他の保守法案(安保法制など)と同じようなことが起こりそうで、敗北の可能性もないとは言えないなと思ってしまう訳です。失敗できないですからね。もっと通り易い案はないかと思いますよね。
9条3項追加案が何故国民の間でも受けが悪くないかというと、既に広く認められている自衛隊を疑いの余地無く合憲化するだけの内容に見えるからだと思います。ここがポジティブリスト/ネガティブリストの問題、敵基地攻撃能力の獲得(ただし現状でもできるとされています)などなど自衛隊の問題を真剣に考える人の間では不満もあるところだと思いますが、安倍首相のいう通り現実的に考えれば(相当調査したのだと思います)、その辺を抱えては中々改正できないということになるのでしょう。
では、9条3項追加案がベストなのかと言うと、盲点があるような気もしていて、アンケートのとり方もあるかもしれませんが、表面上の支持では9条3項追加案がベストかもしれませんが、9条2項を素直に改定した方が支持は集まるかもしれないという気もする訳です。3項追加案だと2項との矛盾を野党やマスコミが絶対つきますから、国民にポンと聞くと一番受けがいいかもしれませんが、野党やマスコミの追及があった後で聞くと評価が下がるような気がしないでもありませんよね。野党やマスコミも追及する生き物ですから、その行動を変えられないとすると、こちらが行動を変えるしかありません。9条3項追加案でも勿論支持しますが、安保法制の時のようにやられて高いハードルに負け敗戦というふうにならないといいなと思います。だからと言って、憲法9条改正を諦めろという訳じゃありませんよ?それじゃあ永遠に改正できないということになりかねません(筆者には(無効でなく)廃止という隠し玉もありますがw)。
やはり9条2項の「戦力の不保持」は削った方が国民も理解し易く攻撃材料がないと筆者は考えます。自衛隊はどうしても戦力という印象しかありませんからね。如何にポジティブリストガーネガティブリストガー言ってみたり敵基地攻撃能力ガー(現行でもいけると思いますが)言ってみたところで、どうしようもなく戦力に見えてしまいます。それは仕方ありません。印象操作でメシを食っている人がウジャウジャいるのが分かっていてわざわざエサを与えることもないだろうと思います。連中を牢にブチ込んで言論封殺する訳にもいきませんしね。印象操作罪というのもありません。印象操作ガーと言ったところで内輪受けはいいです(筆者も笑ってしまいますが)が、国民の支持を広く集める上で、そんなに役に立つものでもないでしょう。
では単に9条2項を削ればいいかというとそうでもないでしょう。削ると逆にネガティブリストガー、敵基地攻撃能力ガー、中東ガーと奴らが不安を煽りまくって9条3項追加案より状況が悪くなるのは目に見えています。ですから安倍首相は9条3項追加案にした。そういうことでしょう。
そこでどうすればいいか考えたのですが、
9条2項は削るけれどもやるのはここまでで国民の信を問わずに変更はしないと約束してしまうのはどうだろうかと思います。これならネガティブリストガーって言われても、やりません(笑)で返せますし、敵基地攻撃能力ガーも、やりません(笑)でイチコロ、中東ガーも行きません(笑)ということになります。何をやって何をやらないかつめる必要がありますし、これまで明示しなかったのもそれなりに理由があると思いますが、憲法9条改正で必勝体制を築くにはこれしかないような気もします。印象操作取り付く島もない案です。勿論それでも妄想たくましくフェイクニュースを垂れ流すのかもしれませんが、その時はそんなことはしない!書いてないことを言うな!このデマ野郎がっ!で討ちに行きます。
個別の議論をしましょう。まずポジティブリスト/ネガティブリストですが、今回は捨てていいと思います。実際問題、現状自衛隊が地上戦に巻き込まれる事態はそれほど考えられませんし(尖閣上陸部隊の排除やPKOでの巻き込まれぐらいでしょうか?)、1000年に一度の津波も襲ってくる訳でわずかな可能性も勿論想定すべきは想定すべきですが、可能性が低い地上戦のリスクに対応するために、大規模地上戦(可能性が否定しきれないことが情報戦で問題です)のイメージを想起されるのは、この平和な日本社会で得策ではないなと思います。まだまだ戦後レジームは強大です。万一の時は現行法制で頑張ってもらうのも一案でしょう。筆者の本音は自衛隊に違法行為をさせたくないですから、ネガティブリストの軍隊にするのが本命ですし、それも説得できるとは思うのですが、今回はハッキリ見送ると明言して高いハードルを越えるために身軽にしておくのがいいような気がします(しつこいようですが、持論の日本国憲法廃止案なら別種の問題も出ますがハードルはグっと低くなります)。
敵基地攻撃能力も結構難しいですね。あのビンボー国北朝鮮の敵基地を叩くだけでも真剣に検討したら、幾ら金があっても足りない状態であるのは否めません。筆者はそれでも敵基地攻撃能力を整備して日米同盟を深めるべきだと思っていますが、これも国民の説得はまたの機会でいいでしょう。説得できないとも思いませんが、弱点に焦点を当てられるのも厄介です。敵基地攻撃能力をやる余地があったら、絶対あいつらその程度じゃ北朝鮮を叩けないのに( ´,_ゝ`)プッ攻撃をかましてくるに決まっています。いやいや日本の関与が重要なのよで説得できるとは思いますが、この議論は各個撃破するべきで、メニューに並んでいると誤解される余地があって、弱い輪(
ザ・ウィーケスト・リンク(ウィキペディア))として攻撃されると思います。鎖の強さは最も弱い環によって決まるんですね。残念ですが、トマホークは今回はバイバイでしょう。防衛予算は上げるべきですが、偵察衛星でもイージスアショアでもF-35でも現行の自衛隊で装備できる装備を充実させればいいと思います。人が集まらないなら給与上げも一計ですしね。
後は自衛隊の活動範囲です。これが最も難しい。現状でも中東に出て行ってますからね。あの戦闘民族的なアメリカ人でもアメリカファーストの空気も広まって中東の泥沼どうなん?という空気もある昨今、平和に浸かりきった日本で中東で戦争するから自衛隊派遣!を通す自信は今のところ全くありません。これは100%の自殺行為で勿論誰も言わないんですが、敵方が一番攻撃してくるところであり、現状での最も弱い輪であることは否めません。後方地域で活動するのが確実であれば問題もおきないでしょうが、これまでの経緯を見ると巻き込まれかねないなという懸念もあって(9条バリアなどクソの役にも立たないことは現実が証明しています)、9条改正を通すだけを考えるなら、自衛隊法を見直して穴を塞いでおくのがベストだと思います。でもまあ既得権みたいなものですしね。ここを「後退」させるなら、憲法9条改正なんて意味無いのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれません。難しいところですが、実際問題「自衛隊が行くところが後方!」とか「スーダンは後方!」みたいなことで攻められるのはかなわんなと思う訳です。後方の定義はもうちょい詰めて誤解の余地を無くしておこうが筆者の意見です。今のままでも反対はしませんが、もっとも弱い輪になることは確実と思いますね。
とまぁこんな感じで相手の攻めどころを想定し弱点をつくらず既にある弱点はカバーし磐石の態勢で「自衛隊はこれまで違法とも言われ厳しい意見もいただいてきた。これまで通りノビノビ働いてもらうため、憲法改正をする!」とやれば、9条3項追加案より支持は得られるのではないかと考える次第です。9条3項追加案も結構ギリギリな気もしますしね。反省タイムの今が転換のチャンスでしょう。何も変わらないと思います?若干それは近視眼的で、印象操作をする野党・マスコミ対策を確立して国民の信頼を獲得していくのが財産になるのではないでしょうか?
最後にそもそも3項加憲案は公明党さんを強く意識しているように見受けられますから、そこにも言及しておきますが、公明党さんが加憲である限り、ちゃんとした憲法改正に公明党さんの協力を得ることは難しいと考えざるを得ません。公明党さんは加憲を掲げている以上、憲法改正に必ずしも反対でないという立場なのでしょうが、時代にあわない条文を修正できない理屈を堅持するなら、ゴケンだとまでは言いませんが、半護憲だよなって思います。言わば半左翼。半反対のための反対で、半野党。公明党さんは与党の資格が十分あってほとんど問題がない政党だと筆者は思いますが、憲法改正に関する立場だけはどうにかならんかなと思いますね。そこが最後に残った元左翼のアイデンティティなのかもしれませんが。おかしな条文があったら修正してより良い法律にしていくのが正しいリベラルのあり方でしょう。筆者はそう思います。