観測にまつわる問題

政治ブログです。「保険」「相続」「国民年金」「AIロボット」「運輸エンタメ長時間労働」「GX」を考察予定。

憲法改正と策源地攻撃能力

2017-07-31 15:00:49 | 政策関連メモ
同じくWill9月号の島田洋一氏の「憲法改正―最悪のシナリオ」にも異論があります。

最優先事項は策源地攻撃能力の整備という主張ですが、筆者はそうは思いません。確かに策源地攻撃能力は重要ですが、概ね北朝鮮用ですし(中国やロシア相手にはちょっとやそっとじゃ済まない)、北朝鮮を十分叩くのも敵も相当防御していますから(穴堀まくり)、相当お金がかかります。ここがアメリカなら軍備にお金をかけての経済活性化も有り得ますが、日本では防衛産業が育っていないので、お金をかけても十分には国内で回りません。筆者は策源地攻撃能力の整備に賛成ですし、いずれやりたいと思いますが、そこまで優先順位は高くないと思っています。なるべく米国には迷惑をかけたくありませんが、日本ほど応分の負担をしている同盟国はない訳で(欧州なんかは防衛費も高いが自国の防衛産業もまだシッカリしている)、もうちょっと待って欲しいというのが正直なところです。(8月2日この辺の議論は撤回します)

憲法9条改正には特別な効果があります。ここが護憲派の本丸なので、ある程度不可逆的に改正してしまえば(自衛隊のように国民の支持が得られれば)、これまで手がつけられなかった国の基本法に対する議論を促すことができ、憲法解釈で対応するという弥縫策とオサラバできるという効果です。これまで保守派は解釈で対応してきましたが、直感的な字面解釈論による反対に苦しめられてきました(一方で憲法を変えさせないというマッチポンプ攻撃!)。正論が通る社会というのは大きなメリットだと筆者は思います。そう考えると、正面から9条を改正しないという考えは、今ひとつのように思えてきます。普通に考えて議論の余地のない改正こそが後々の信頼を生むのではないでしょうか?信頼こそ財産ですからね。議論があってこれまで導入に失敗してきた策源地攻撃能力にチャレンジするのは、法治国家に対する国民の信頼を得てからでいいでしょう。北朝鮮のICBM開発は確かに問題で筆者も言ってきましたし忘れた訳ではありませんが、中国やロシアのミサイルは既にアメリカに届いていますし(ただし北朝鮮は中国やロシアより行儀が悪い)、多分まだ大丈夫なんだと見ています。この辺は安全保障に関する正確な知識(機密でしょう)のある政治家の皆さんに考えていただき、政治対立の枠組みを越えて主導してもらわないとなりません。筆者が言えるのはここまでです。

プライマリーバランス黒字化目標という制御システム

2017-07-31 14:22:44 | 日記
三橋貴明氏がwill9月号で「プライマリーバランス黒字化目標という毒針」という記事を書いています。三橋氏は本も結構売っているようですし、ネットでもランキング上位に来る影響力の高い保守派の経済論客なので、これまで筆者が書いてきたことと同じことにはなるんですが(固定的な収支バランスはとれ)、簡単に要点を纏めたいと思います。

何が問題かと言うと、ハッキリは明言していないようですが、収入とのバランスをとらず支出を増やせと示唆していることです。筆者は明確な勝算もないのに収支バランスを崩して支出を増やして結果的に収入が増えるという説を信じませんので、この時点でアウトです。多分こうなるから明確にどうすべきか書けないんだと思います。収入が足りなくてもここにお金を使えば経済成長して税収が増え後でバランスがとれると明快に書けない。そんな方法はないからです。

三橋氏は少子化に対する問題意識はあるようですが、収支バランスを崩すことを示唆しながら対策を言うあたり、今ひとつ事の本質が分かっていないように思えます。筆者の見るところ、少子化に対する危機感が比較的薄い方ほど、収支バランスを気にしない傾向があるように思えます。今ひとつ危機感のない方は、確実に縮小すると見込まれている市場で商売してみるといいと思います。まず破綻するか、今まで言ってきたことは何だったの?って感じで守りに入ります。大都市がまだ拡大する市場だけに(かつ主たる情報の発信源だけに)この辺が肌で実感できない方が多いことが、収支バランス崩して攻めるぞ論が力を持ってしまう原因になっていると思います。金があれば(財政が大丈夫であれば)、一時的な支出はいいと思うんですけどね。特に不景気の時には。ただそれもカンフル剤ですから、常用するものではありません。ぶっちゃけそんなに効率のいいものでもないでしょう?

別に今までの政策を全て肯定する訳ではありません。大きくは踏み外していないものの、死に金がたんまりある(中央地方政府のヘソクリ・企業の内部留保・塩漬けの土地・タンス預金etc...)ということは、まだまだ更なる成長の余地があるということだと思います。収入(税制)と支出を見直し厳しい少子高齢化を正面から見据え、安定的な投資と消費、イノベーションによる新しい市場創出を促すように政策を見直していくことで、死に金が生き金に変わり、経済成長→財政再建が成るのだと思います。