マルスリーヌ デボルト-ヴァルモール (1786-1859)
破産した父親の元、不運と赤貧の中で育ち苦労して歌手、俳優となったが
初恋は実らずその後に結婚した相手も無力な俳優で人生苦は一生ついて廻った。
そのつらい日々の暮らしに耐えつつ詩作にうち込む。
サーディの薔薇
今朝、あなたに薔薇をお届けしようと思い立ちました。
けれども結んだ帯に、摘んだ花をあまりたくさん挟んだため、
結び目は張り詰め、もう支えきれなくなりました。
結び目ははじけました。薔薇は風に舞いちり、
一つ残らず、海に向かって飛び去りました。
潮のまにまに運ばれて、はや二度と帰ってはまいりません。
波は花々で赤く、燃え立つように見えました。
今宵もまだ、私の服はその薔薇の香に満ちています.....
吸ってください、私の身から、その花の芳しいなごりを。