今日の詩  “カッサンドル への オード”

2010-03-15 | Weblog






ピエール デ ロンサール(1524-1585)

16世紀後半の代表的な詩人。7人の同志でプレイヤード詩派を結成、個展作品の詩法,語法を大胆に取り入れて数多くの傑作を書き、宮廷でも重んじられて時代の詩風をリードした。今も愛誦されるいくつもの恋愛紙のほか思想詩や論述詩、叙事詩にも優れた仕事を残している。古典主義時代になると否定的評価を受けたが19世紀以来あらためて高く評価されるようになった。


カッサンドールへのオード



恋人よ、行ってみよう、あのバラが、  

今朝陽をうけて 

紅の衣を解いたあの花が

その紅の衣のひだも   

君に似た色艶も、この夕べ    

少しでも失くしてはいないか、どうか。



ああ!ごらんこんなにも短いうちに   

恋人よ、バラはその美しい花を  

ああ!地に散らしてしまっている!

おお なんと無情な「自然」。 

こうも美しい花の命でさえも   

朝から夕方までだなどとは!



それだから 恋人よ もし私を   

信じてくれるのならば こよなくみずみずしく   

咲きほこるその年齢のあいだに

摘め 摘むがよい 君の若さを   

この花と同じように やがて老が    

君の美しさを 枯れさせてしまうのだから。

(入沢康夫 訳)