ビビッド能里子トーク・サロン

医学的にも珍しい満十年の認知症介護について。自己分析や気分転換、幸せを感じる心の癖の付け方、メチャ料理など楽しく書きます

コントロールできなかった感情

2017-10-15 08:45:31 | エッセー
 昨日は友人達4人で会うはずだったが、その駅まで行ったのに見つからず、後から
思うと考えられないようだが「もう帰る」とメールして、そのまま山手線に乗った。
 私は誠実で責任感が強いと自負していたが、友人達に迷惑をかけることなんて
その時はまったく頭になかった。考えると絶対に眠れない私は、前夜に睡眠導入剤
剤を飲んで、目が覚めたのは8時だった。「あまり行きたくない、こんな気分に日は」
と思ったが、約束は絶対に守る性格なので、仕方なく出かけた結果がこれだった。
友人達には本当に申し訳ないと思っている。

 あの精神状態は、自分でもよく分からない。もともと我儘な性格を、全面発揮
したのだろう。ボンヤリしていたら新宿だったが、このまま家に帰る気がしない。
 「そうだ、美術館へ行こう」と思ったら、急に気分が明るくなった。
42階にある美術館はお天気が良いと、千葉の方まで見えるそうだが、私は俯瞰
出来るそのロビーが大好きだ。こんな気分のときは、余計に常設している
「グランドマアモーゼス」の絵に会いたい。
  
 美術館は「生誕120年東郷青児展」だった。雨もよいだったのに、私の大好
きなロビーは期待以上に明るく、広い視界だったのでそこをしばらく見ていた。
 常設しているので、ときどき見てはいたが、館内に溢れた東郷青児の絵画は
華やかで情緒的で、とても美しくステキでだった。いつもは静かな美術館内は
かなり混んでいて活気があった。絵画の他に、ご当人の仕事の姿、本、雑誌の
表紙なども展示されていて、その頃では随分斬新な画風だと感じられた。
 また、時代的な背景もつぶさに感じられ、とても興味深く楽しかった。

 モーゼスの絵は、ゴッホの有名な「ひまわり」やセザンヌの絵と常設してある
最後の部屋にある。私が50代の終わり頃、現在とは違う時代だったので
「これからも仕事を続けるべきか?」と悩んでいた時、その頃伊勢丹にあった
美術館で初めて出合った。そのメルヘンチックで、ほのぼのした画風もとても好き
だったが、私に勇気を与えてくれたのが、そのキャリアだった。
 農家の主婦で本格的な画家になったのは、確か60歳だったからで、いろいろな
意味で私は「グランドマア・モーゼス」が大好きで時々会いに行くが、昨日も私に
平常心をチャージしてくれた。
コメント
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