ビビッド能里子トーク・サロン

医学的にも珍しい満十年の認知症介護について。自己分析や気分転換、幸せを感じる心の癖の付け方、メチャ料理など楽しく書きます

久しぶりに上野の森を歩いて

2018-09-12 09:49:00 | エッセー
 涼しかったので、夫と東京美術館へ画家藤田画伯の展覧会へ行った。
会場は物凄い混雑だったが、やはり年配の人が多かったが、初めて見た絵だったが
その画風のジャンルの広さに驚いた。もっとゆっくり見たかったが、何しろ夫の
歩くペースが早いので、彼を追って歩いたので、あまりゆっくり鑑賞できなかった。
 一人で行くのは特定の美術館だけで、大抵誰かと行くが、友人と一緒だと待ち合わ
せ場所を決めて、それぞれが好きなように見るが、認知症の夫とでは、彼のペースに
合わせるしかない。後で聞いたら立ち止まりながら歩くのは、疲れて膝が痛くなる
そうだ。もう夫とは美術館へはいけないと痛感した。

 涼しかったためか、上野の森は大変人が多くびっくりしたが、でも動物園は午後
のためか入口に並んでいる人はいなかった。美術館を出てから途中のお店の外で
一休みしたが、おしゃべりしながら、そばの芝生の囲いに鳩やスズメがくるのを見
たり、大勢の老若男女が歩く姿を眺めた。すると夫が突然「オレこの動物園へ来たの
何時頃だったっけ?」と聞かれた。私が息子を身ごもっていたころ、2歳の娘を
連れて二人できたことがあった。それは確か9月頃で、帰ってきた二人は「とても
暑かった」と、すぐにお風呂へ入ったのを覚えているが、あれから57年。
 月日の流れは本当に早いねと二人で笑った。

 帰りに久しぶりに西郷さんの銅像を見ようと、私が言ってしばらく歩いたが、昔は
そこから外が見えたが、今では周りに建物ができて、すっかり雰囲気が変わっていた。
 あの頃とても大きく立派に見えた西郷さんの銅像は、何だか小さくなったように感じた。
年月の流れは大きな変化があるが、懐かしい西郷さんではないような気がして
ちょっと寂しく感じた。それにしても・・・夫は階段も掴まらなければ上がれず
あんなに健脚だったのに、やはり相当に老化しているのだ。
 これから二人だけで、外出や旅行はだんだん難しくなる、と感じた涼しい午後だった。

コメント
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