ロンドンパラリンピックのチケットはなかなか手に入らない。
ボランティアで参加していた留学中の日本人に教えてもらって、
スマートフォンからネットでチケットの購入予約をしようとしたが、
完売だった。
大手旅行会社JTBロンドン支局に電話して、チケット状況を聞いたが、
無理ですとの回答だった。
可能性を一つずつ試して、ダメになることで
新たな可能性を試そうという気持ちになってくる。
エジソンはうまくいかない方法を1万通り発見した。
うまくいかなければ、いかないだけ燃えてくる。
ロンドン滞在最後の日のチケットはひょんなことから
手に入った。
たまたま観客席の近くに座っていた日本人の方が、午前中のチケットが1枚余ったからと
なんと無償でくれたのだ。ありがとうございました!!
午前の柔道の応援を終えて、地下鉄に乗り開会式が開かれた
オリンピックパークに向かった。
開会式の日は3時間粘ったが入れなかった。
しかし、その日は入れる気がした。
チケットはなかったが、ツイテいる気がした。
駅を降りて、会場に向かうと隅で一人のおばあさんが何か紙を持っている。
近づいて見てみると、
「Please any ticket share~」
みたいなことが書かれていた。share とはうまく書いてある。
売ってとか譲ってとかというチケットの売買行為はイギリスでは禁止されており、
逮捕者が続出しているのをネットのニュースで見ていた。
紙を持っていると、係の人に怒られながら隅に行ってまたこっそり掲げる。
5分後、一人の女性がやってきて、おばあさんにチケットを渡している。
私はそのおばあさんに駆けより、その書き方を真似させてもらおうとすると、
その紙を私にくれた。
「頑張んな!!」というようなニュアンスの言葉を掛けてくれた。
私も紙を持ち、こっそり立っていると案の定、係の人が注意しに来る。
が、こんなことで引き下がってはいけない。
「私は英語が分かりません。」と日本語で言い返し、
注意を分からないふりをした。
そして、5分後一人の男性が声を掛けてくれた。
「チケットいるか?」
と同時に係の人も来てしまい、説教が始まる。
「あなたたち警察に見つかると、逮捕されるわよ!!あっちへ行きなさい!!」
叱りつつもアドバイスしてくれる係のおばさんありがとう!
その男性と人気のない場所に行き、こっそりと売ってもらう。
ツイテいることに、私が行きたかった夜の陸上競技場での観覧チケットを定価にで譲ってくれた。
そして、念願のオリンピックパークへ。
会場でのボディチェックのところで同じように鉢巻きをして、
日の丸むき出しの日本人に出逢う。
躊躇する必要はない。
思いきって声を掛けると、
「15分後に車いすバスケットの日本対ドイツ戦があります。ここからダッシュして行けば、
間にあいます。チケットも1枚余っています。一緒にどうですか?」
国歌斉唱の会場へ飛び込んだ先は、最前列の席。
何かの間違いか神様のプレゼントか素晴らしい席である。
そして、人生初の車いすバスケを応援する。
車いすを身体の一部のように扱い、相手チームと接触する。
中には吹き飛ぶこともある。
車いすの格闘技と呼ぶのではないかというほどの迫力だ。
「パーンッ」という破裂音はパンクの音だった。
試合中何度もパンクするような激しさだ。
ラスト10分までドイツと互角の勝負だったが、
最後で流れがむこうにいってしまい、惜しくも敗北したが
見応え充分の素晴らしい試合だった。
休憩中に、チケットをくれた方とお互いに素性を明かす。
その方は、障害者アスリートと企業をつなぐ会社の代表の方だった。
(その方との応援模様はNHKのニュースでも映っていたようです。)
応援仲間として意気投合した私たちは、
イギリス人達から写真を求められた。
次は、日本で!!
硬い握手をして別れた後、私は一人陸上競技場に向かった。
満員の陸上競技場。
3年半前に中国を旅した際に、私は北京五輪の陸上競技場を訪れ、
鳥肌が立ち、次のロンドンは行こうと思ったことを思いだした。
“夢”が現実となり、不思議な感覚でパラリンピアン達の
勇姿を応援していた。
チケットがなかった最終日・・・
ツキがツキを呼び、こうして色々な競技が見れた。
ありがとう!!
全てに感謝!!