富山県の室堂に7時に到着。
満員のバスの中の睡眠ということもあり、
座りながらでは疲労は抜け切れない。
レース前、通常ならばネガティブに捉えてしまうかも
しれないが、「人生修行の旅人」と名乗っているなら、
この方がむしろちょうどいい。
5年前の 北京~チベット 46時間の電車の旅を思い出した。
トイレと身支度を済ませ、
7時20分に室堂を出発。
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剣岳に向かって歩く途中、雷鳥に遭遇。
私の前を歩きながら、
話しかけてきてくれた。
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「天気は3日間もつから大丈夫!!後は、あなたの行動力と勇気と知恵次第よ!」
雷鳥は神の使いと昔からされてきたので、このメッセージは大切だ。
剣岳山頂にも龍のような雲が現れた。
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剣山荘の横に荷物を置かせてもらい、
小さなザックで剣岳にアタック。
時間的に私以外にこれから登ろうとしている方は少なく、
ほとんど1人。
有名な「カニのたてばい」という垂直の壁を鎖をつかみながら、
慎重に登ります。
万が一、手を離したり、滑って落ちたら、
この世からさよならをしてしまいます。
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大学時代に、柔道場で綱のぼりのトレーニングをたくさんしておいてよかったと改めて思いだしました。
と、同時に山頂付近にいた年配の登山者の方でもこの垂直の壁を登ってきたかと思うと、
その心意気と勇気に感服。そして、室堂を出発して4時間40分。
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剣岳に登頂。
山頂にいた登山家と会話
「すごいペースで登ってきましたね。私は山屋(登山家のこと)ですが、あなたも山屋ですか?」
「いえ、私は違います。」
「それでは、その身なりからして、トレイルランナーの方ですか?」
「それもちょっと違います。」
「では、何屋ですか?」
「旅人屋です。」
と答え、唖然。。。
が、話が弾みこの上高地までのありえない挑戦も
話す。
周りにいられた登山歴の長い方々は
「絶対、無理!!通常は早くて5泊6日、大体1週間かかるコース」
と言う。
「ありがとうございます^^」
笑顔で答えて、内心は無理と言われてワクワク。
その山屋も、行ける場所まで行って、ビバーク(途中で休んで)して、
進み続ければ着くかもと言ってくれました。
「やれるだけ、やってみます!!」
剣岳の山頂を5分で後にしました。
下山時にも有名なカニのよこばい
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(個人的には、カニのたてばいの方が怖かった。)
無事に剣山荘下山後に、
荷物を取り、休憩をとる。
うん?おかしい?
食欲がわかない。
むしろ、気持ち悪い。
というか、頭痛がする。
もしかして、高山病?
急に高度を上げた場所での、過度の緊張。
また、ご飯を食べなかったことによるエネルギー切れ。
様々な反省が考えられる。
予定では、残り9時間の行程を4時間半で行く予定でしたが、
途中で足がふらつき、スピードをあげようにも
頭痛がひどい。
こんなんで残りの70kmくらいを歩けるのだろうか?
リタイアしたいけど、できないからどうしようか?
体調が悪くなると、ネガティブな考えが支配しようとする。
できないことを考えるのではなく、
できることを考える。
調子の悪いなら、悪いなりに最善のできることをやろう!!
と思考を切り替えた。
行程中に唯一ストックも使い、
別山、真砂岳の山頂にはいかずに、横を通り抜け、
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富士ノ折立、大汝山、雄山と山頂を通り、
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18時30分にふらふらになりながら、
一の越山荘に到着。
当然のことながら、予約はしていないのと到着が遅いので、
ちょっと色々と有難いお言葉をいただき(笑)、
何とか部屋とご飯を用意してもらいました。
とりあえず着替えて、食堂でご飯を食べようとしても、喉を通らない。
食べるとすぐに吐きそうになる。
こんな時、私の家に伝わる秘技がある。
ご飯を食べたら、吐きそうなのを我慢して、
手で口を押える。
そして、無理やり胃の中に入れる。
小さい頃に教わった秘技。
嫌で嫌でしょうがなかった子供の時の技が、
今ここで役に立とうとは。
通常なら3分で食べ終えそうな量も、30分かけて身体の中に取り込み、
身体の細胞を回復させることに集中するため19時30分に就寝。
予定の行程より4時間手前にて、1日目終了。
明日は、身体の細胞よ!!回復してくれ!!