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山極寿一さんへの意趣返し?ー学術会議問題

2020-10-07 08:27:03 | 時評

2日に、今回の事態について「安倍さんですらしなかった暴挙」と書きましたが、どうやら安倍政権の後期から始まっていたんですね。今朝の朝日新聞によると、2017年には学術会議側は官邸の求めに応じて、定員の105人プラス数人(6~7人?)を推薦したり事前折衝があったと。

今回名簿を提出した学術会議会長(9月まで)は京都大学総長だった山極寿一さん。業界では有名人です。山極さんは2017年のやりとりは不要と考えたのでしょう(取材に対して「それが常識だから」と)、従前のとおり定員どおりの105人を推薦したら、今回の事態に。

この後は推測ですが、官邸としては、前の学術会議会長は我々の言うことを聞いてくれたのに山極は無視しやがって、ならば倍返しだ!というところでしょうか。山極さんは国立大学協会会長としても、国立大学の運営費の減額をめぐって財務省と激しくやりあっていました。

 

官邸は、任命拒否を擁護するのに国民主権原理を持ち出しているようですが、仰天の理屈です。裁判官や公正取引委員会の委員など内閣の任命権が規定されていますが、今回の学術会議も裁判所や公正取引委員会と同様に専門的な見地から提言などをしてもらおうという制度です。ならば、学術会議に求められるのは、専門家としての識見であって国民主権とは何の関係もない。大事なことは政治的コントロールではなく専門性です。

さらに国会がこれを言うならまだ真理の一片くらいはあるかもしれませんが、国会では推薦どおり任命すると答弁していたもの(それに国会も異議を唱えず)をこっそり変えていたとは…… 呆れるというほかありません。

耳が痛いことを言う者は遠ざける、こんなことをやっていると、最後に日本は現在の中国のような国になってしまうかもしれないということに思いが及ばないのでしょうか?

 

追記 11月19日の朝日新聞に、古川隆久さん(歴史学)と豊永郁子さん(政治学)が、いずれも中庸な立場からこの問題への論稿を寄せています。学術会議は政府のよいしょではなく、まさに総合的・俯瞰的に提言するのが役割と明確に指摘されていることに感銘を受けます。

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