明日の風

明日は明日の風が吹く。気楽にいきましょう!

国家公務員の政治活動

2012-12-10 21:12:28 | 法・裁判

注目の最高裁判決が7日にありました。予想どおり、1974年の猿払事件判決は判例変更せず、ともに共産党の機関誌・赤旗を配布した社会保険庁職員について、管理職でなかった堀越事件は無罪、管理職(課長補佐)の世田谷事件は有罪(罰金10万円)の下級審判決を支持しました。
判決は、禁止される政治的行為について、公務員の職務遂行の政治的中立性が損なわれるおそれが現実的に起こり得るものとして実質的に認められるものを指すと解釈して、堀越事件は構成要件に当たらないので無罪、世田谷事件は構成要件に該当し有罪としました。両者の違いは管理職か否かです。管理職のビラ配りはこんなとるに足らないものでも、政治的中立性を損なうおそれが実質的にあるというのです。
大いに疑問ありですが、猿払事件判決はこうした限定をしてなかったので半歩前進というところでしょうか。まあ管理職か否かは分かりやすい線引きですし。
問題は猿払事件との整合性です。猿払事件で有罪判決受けたのは下っ端の郵便局職員。今回の判決は、同じ下っ端職員でも、職員団体の活動か否か、公務員の政治的行為であることが一般人に容易に認識されるものか否かで区別していますが、これはどうなんでしょう。表現の自由を刑事罰で規制する場合の大原則は、どこまでセーフでどこからアウトかはっきりしなきゃダメという明確性の原則です。1人で人知れずビラ配りは○だが、団体の活動として一般人にわかる選挙ポスター貼りは×というのは基準としてあまりに不明確でしょう。誰か知り合いに出会いそうになったら隠れなさいということ?(笑)
やはり猿払事件判決の誤りを素直に認めて、(半歩ではなく)一歩前進してほしいものです。

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