森の中のティータイム

離婚を経験し子供達も独立 
暮らしの小さな発見をノートに。

善き人のためのソナタ

2007-09-27 | 映画ドラマ
もう5年近く会っていない息子に、手紙を出した。
いつものようにメールではなく、手紙にしたのには理由がある。
この所息子の夢を見たり胸騒ぎがするような想像ばかりで
ちゃんと眠れないのだ。
私の育て方に不満があったのかもしれないとか
離婚により父親を奪ったことについても、ずっと詫びたかった。

いくら仕事がハードだと言っても、あまりに連絡がとれないので
もう死ぬまで会えないような気がしてきて、とうとう手紙にしたためた。
投函した帰りに、DVDを4本借りた。

その中の一本、「善き人のためのソナタ」をさっき見終えた。
この手の作品は、ちょっと落ち込んだ時には敬遠するのだけれど、
見終わって2時間近い今も、感動で言葉にならない・・!
一緒に観ていた上の娘が「こんな作品、誰が作るんだろ・・
他の映画がちょっと観れないね」と言うほどだ。

1984年のドイツ。ベルリンの壁が崩壊する前の、東ベルリンでの事。
社会主義における国家保安省に働くヴィースラーという一人の男が
一組の芸術家カップルを見張る任務に就くことにより、
初めて持ったある感情。
彼の心の動きを静かに淡々とではあるが、見事に描いた。

「この曲を本気で聴いた者は、悪人になれない」というコピーから
私が思い描いていた音楽ストーリーとは、全く異なるものだった。

彼に変化をもたらしたのは曲なんかじゃなく
彼は初めて彼女を観た時、そして彼等の自由で自然な愛に触れた
時に・・・・・・
これ以上はネタバレなので止めよう・・。

とにかく静かに深く心に残る映画だった。
テーマの重さにもかかわらず、心に風が吹くような作品。
大好きなケビン・スペイシーに似ていた主人公の俳優さんが
とてもいい。
この7月に胃ガンで亡くなられたというのは、本当に残念だ。
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