ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

井上ひさし作「夢の裂け目」

2018-07-22 23:25:29 | 芝居
6月5日新国立劇場小劇場で、井上ひさし作「夢の裂け目」を見た(演出:栗山民也)。

昭和21年6月、東京根津の紙芝居屋の親方、天声こと田中留吉(段田安則)は、突然GHQから、東京裁判に検察側の証人として出廷するよう
命じられ、民間検事局勤務の川口ミドリ(保坂知寿)から口述書を取られ震え上がる。彼は家中の者を総動員して「極東国際軍事法廷証人心得」
を脚本代わりに予行演習を始める。そして出廷の日、東条英機らの前で大過なく証言を済ませた彼は、東京裁判の持つ構造に重大なカラクリが
あることを発見するのだが・・・。

新国立劇場開場20周年記念公演。
井上ひさしが新国立劇場のために書き下ろした「東京裁判三部作」の中の一つ。

音楽劇と言ってもいいほど歌が多い。
役者はみな歌がうまくて驚いた。しかも芸達者が多い。
歌のない部分の音楽はクルト・ヴァイルの名曲を使う。

登場人物は皆、戦時中に様々ないきさつを抱えている。
東京裁判の持つカラクリを、或る紙芝居のストーリーとの類似性から指摘するという相変わらず奇想天外な発想が面白い。
ラストはハッピーエンドで何組ものカップルができる、と言うか、天声の義父(木場勝己)以外のすべての人が結婚する。

保坂知寿は、2012年12月に見たテネシー・ウィリアムズ作「地獄のオルフェウス」でのレイディ・トーランス役が印象的だったが、
今回も主役の留吉の運命を大きく変える女性として、鮮やかな颯爽とした演技を見せてくれた。

ただラストがしつこいのがいささか残念。
久々に井上ひさしの作品を面白く見ることができた。



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「ヘンリー五世」 | トップ | 「フリー・コミティッド」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

芝居」カテゴリの最新記事