ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

「十二人の怒れる男」

2009-11-28 17:18:39 | 芝居
11月17日シアターコクーンで、レジナルド・ローズ作「十二人の怒れる男」を観た(蜷川幸雄演出)。

長方形のテーブルを置いた長方形の舞台。仮設のベンチシートが回りを囲む。

たまに聞こえてくるヘリの音、犯行を再現してみる時のドアの開閉の音などが効果的。
役者たちはそれぞれの持ち味を生かした演技を見せる。特に野球好きな若い男役の大石継太が光る。この戯曲の陪審員12人は、楽な役と疲れる役に分かれるが、一番大変だったのは、荒っぽい血の気の多い男の役を演じた西岡徳馬だろう。熱演である。

ヘンリー・フォンダ主演の映画を観た時にも思ったことだが、この戯曲が書かれた当時、合衆国の女性には参政権(選挙権、被選挙権)がなかったに違いない。だから司法の場においても、陪審員が全員男という、今日から見たら非常に不自然な構成になっていて、誰もそのことを不思議には思っていないのだろう。

十二人の一人一人にそれぞれの性格、育った環境、人生があり、一つの犯罪を推理する過程で、それらが否応無くあぶり出されてくる。その手腕の鮮やかさ、人間を見る目の確かさ、そこから生まれる説得力。そしてラスト、観客は人間の良心・善意を信じることへと、そして、たった一人になっても決して諦めず、妥協しない強い信念への賛嘆へと導かれる。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« グルック作曲のオペラ「思い... | トップ | オペラ「ヴォツェック」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

芝居」カテゴリの最新記事