6月29日、本多劇場で D.L.コバーン作「ジン・ゲーム」を見た(演出:小笠原響)。
春、老人ホームのサンデッキで出会ったフォンシア(竹下景子)とウェラー(加藤健一)。
入居者や食事や看護師への愚痴で息の合う二人。
ホーム独特の空気感に馴染めない二人は、トランプ遊びを始める。
時間つぶしがてら気軽に始めたゲームだが、初心者のフォンシア相手に全く勝てないウェラーは、対戦を重ねるごとに苛立ってきて・・・。
単純なトランプゲームが、孤独な老人たちの”単純ではない”過去をあらわにする。
名優二人による重厚な演技で、ピューリツァー賞受賞の名作に挑戦。
セリフの応酬がおもしろい、チクリと刺さるビターコメディ(チラシより)。
作者は1938年アメリカ・メリーランド州生まれ。
この作品は1978年ピューリツァー賞受賞の由。
その初日を見た。ネタバレあります注意!
舞台は施設の中庭。2人掛けのブランコが2つ、テーブルと椅子のセットが2組、その他、椅子やベンチ。周りに植栽。
ウェラーはここに来て2ヶ月。フォンシアは3週間。
今日は面会日だが、二人共、面会に来る家族も友人もいない。
フォンシアには40代の息子がいるが、彼が2歳の時夫と離婚し、その元夫も少し前に死去。
息子一家はデンバーに住む。孫息子2人(16歳と12歳)。
ウェラーも「離婚組」。子供は3人(女・男・男)いるが、元妻が子供たちを引き取って再婚したため、以来音信不通。
ウェラーはフォンシアに、一緒にジン・ゲームをやりませんか、教えますから、と誘う。
フォンシアは、そのゲームは知らなかったが、若い頃、厳格なクリスチャンの両親に隠れて、夜中の2時3時までカードをやっていた、と言う。
ジン・ゲームとは、世界三大カードゲームの一つで、2名で対戦するもの。
非常に単純なゲームで、セブン・ブリッジに似ている。
ゲームを開始すると、なぜかフォンシアが勝ち続け、「まぐれです」と言うが、ウェラーは憮然。
一週間後、リターンマッチをしたい、とウェラー。
椅子を取り替えてみるが、やはりフォンシアが勝ち続け、ウェラーが怒鳴るので、フォンシアは「もうやめます」と立ち去ろうとする。
男は「勝ち逃げは許さん」と言ったり、「いや、もう決して大きな声は出さないから」と頭を下げて引き留め、再開する。
だがやっぱり・・とうとう怒りのあまり「黙れ、このクソババア!」と怒鳴る。
~ここで休憩~
翌日ウェラーは庭に出てフォンシアを探す。
前日の無礼を謝るが、フォンシアは「たかがゲームなのにあんなに興奮して・・」「一度医者に診てもらったら?」
だが懲りない二人は、またもゲーム再開。
こうして女が勝っては男が怒り、懲りずにリターンマッチを繰り返す。
その間、二人の来し方が次第に明らかになる。
二人共、実は生活保護を受けている。
男は会社を経営していたが、心臓麻痺を起こして2年半療養していた。
その治療のために財産を使い果たし、病院を出てみると会社は相棒に乗っ取られていた。
しかも病気が再発。
女は離婚後、働かねばならなくなったが学歴がなく、短大卒と偽ってアパートの管理人になった。
address というスペルの d が1つだったか2つだったか自信がなく、間違ってるんじゃないかと心配で、書くたびに辞書を引いた、という。
(このエピソードは面白かった)
女は糖尿病の持病があり、時々目まいがする。
そのうちひょんなことから、息子がデンバーにいるというフォンシアの話が嘘だったことがバレるのだった・・。
こうしてストーリーを書いていてもむなしい。
ヤマ無し、オチ無し。(イミ無しとは申しません)
これがピューリツァー賞受賞作品とは!?
やはりピューリツァー賞は信用できない。
あの名作「ダウト」が受賞するのは当然だが、あれくらいのレベルのものがない年は、素直に「該当作品なし」にすればいいのに。
もちろん二人の役者さんたちは味があってうまいのだが。
蛇足だが、トランプというのは和製英語で、英語圏ではカードゲームというらしい。
古い翻訳を台本に使っているのなら仕方ないが、こういう芝居をきっかけに、少しずつカードゲームという語を浸透させていってほしい。
この戯曲ではカードが何度も配られるが、それと関係なく台本通りに反応しないといけないわけで、役者さんは段取りを覚えるのが大変そうだ。
春、老人ホームのサンデッキで出会ったフォンシア(竹下景子)とウェラー(加藤健一)。
入居者や食事や看護師への愚痴で息の合う二人。
ホーム独特の空気感に馴染めない二人は、トランプ遊びを始める。
時間つぶしがてら気軽に始めたゲームだが、初心者のフォンシア相手に全く勝てないウェラーは、対戦を重ねるごとに苛立ってきて・・・。
単純なトランプゲームが、孤独な老人たちの”単純ではない”過去をあらわにする。
名優二人による重厚な演技で、ピューリツァー賞受賞の名作に挑戦。
セリフの応酬がおもしろい、チクリと刺さるビターコメディ(チラシより)。
作者は1938年アメリカ・メリーランド州生まれ。
この作品は1978年ピューリツァー賞受賞の由。
その初日を見た。ネタバレあります注意!
舞台は施設の中庭。2人掛けのブランコが2つ、テーブルと椅子のセットが2組、その他、椅子やベンチ。周りに植栽。
ウェラーはここに来て2ヶ月。フォンシアは3週間。
今日は面会日だが、二人共、面会に来る家族も友人もいない。
フォンシアには40代の息子がいるが、彼が2歳の時夫と離婚し、その元夫も少し前に死去。
息子一家はデンバーに住む。孫息子2人(16歳と12歳)。
ウェラーも「離婚組」。子供は3人(女・男・男)いるが、元妻が子供たちを引き取って再婚したため、以来音信不通。
ウェラーはフォンシアに、一緒にジン・ゲームをやりませんか、教えますから、と誘う。
フォンシアは、そのゲームは知らなかったが、若い頃、厳格なクリスチャンの両親に隠れて、夜中の2時3時までカードをやっていた、と言う。
ジン・ゲームとは、世界三大カードゲームの一つで、2名で対戦するもの。
非常に単純なゲームで、セブン・ブリッジに似ている。
ゲームを開始すると、なぜかフォンシアが勝ち続け、「まぐれです」と言うが、ウェラーは憮然。
一週間後、リターンマッチをしたい、とウェラー。
椅子を取り替えてみるが、やはりフォンシアが勝ち続け、ウェラーが怒鳴るので、フォンシアは「もうやめます」と立ち去ろうとする。
男は「勝ち逃げは許さん」と言ったり、「いや、もう決して大きな声は出さないから」と頭を下げて引き留め、再開する。
だがやっぱり・・とうとう怒りのあまり「黙れ、このクソババア!」と怒鳴る。
~ここで休憩~
翌日ウェラーは庭に出てフォンシアを探す。
前日の無礼を謝るが、フォンシアは「たかがゲームなのにあんなに興奮して・・」「一度医者に診てもらったら?」
だが懲りない二人は、またもゲーム再開。
こうして女が勝っては男が怒り、懲りずにリターンマッチを繰り返す。
その間、二人の来し方が次第に明らかになる。
二人共、実は生活保護を受けている。
男は会社を経営していたが、心臓麻痺を起こして2年半療養していた。
その治療のために財産を使い果たし、病院を出てみると会社は相棒に乗っ取られていた。
しかも病気が再発。
女は離婚後、働かねばならなくなったが学歴がなく、短大卒と偽ってアパートの管理人になった。
address というスペルの d が1つだったか2つだったか自信がなく、間違ってるんじゃないかと心配で、書くたびに辞書を引いた、という。
(このエピソードは面白かった)
女は糖尿病の持病があり、時々目まいがする。
そのうちひょんなことから、息子がデンバーにいるというフォンシアの話が嘘だったことがバレるのだった・・。
こうしてストーリーを書いていてもむなしい。
ヤマ無し、オチ無し。(イミ無しとは申しません)
これがピューリツァー賞受賞作品とは!?
やはりピューリツァー賞は信用できない。
あの名作「ダウト」が受賞するのは当然だが、あれくらいのレベルのものがない年は、素直に「該当作品なし」にすればいいのに。
もちろん二人の役者さんたちは味があってうまいのだが。
蛇足だが、トランプというのは和製英語で、英語圏ではカードゲームというらしい。
古い翻訳を台本に使っているのなら仕方ないが、こういう芝居をきっかけに、少しずつカードゲームという語を浸透させていってほしい。
この戯曲ではカードが何度も配られるが、それと関係なく台本通りに反応しないといけないわけで、役者さんは段取りを覚えるのが大変そうだ。
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