少し前だが、映画「テンペスト」をみた(監督:ジュリー・テイモア)。
ヘレン・ミレンが主演、つまりプロスペロをやる・・と言うか、設定を変えて彼をプロスペラという女性にし、台本も
それに合わせて監督自ら書き換えたのだった。
ヘレンは以前からこの役をやりたかったという。これには参った。
筆者は中学・高校の頃、ハムレット・オセロー・ケント・リヤの道化・・などやりたいと思ったが、プロスペローをやりたいと思ったことはないので。
ナポリ王アロンゾは息子ファーディナンド、弟セバスチャン、ミラノ大公アントーニオらと共に海上で嵐に会い、船は難破。
みな散り散りに或る島に打ち上げられる。そこには12年前彼らが陰謀によって追放した前ミラノ大公プロスペラとその娘
ミランダが暮らしていた。実はプロスペラには魔術を使う力があり、手なずけた妖精エアリエルを駆使して嵐を起こし、
男たちへの復讐を企てていたのだった・・・。
映画だけあって舞台でできないことをやってくれる。冒頭の嵐のシーンはもちろん。
妖精エアリエル(ベン・ウィショー)の動かし方は最高。これが決定版ではないだろうか。
「デイム」ヘレン・ミレンはさすがに完璧と言ってもいい演技。ミランダ役のフェリシティ・ジョーンズも可憐で初々しい。
しかし最後の余興は期待外れ。それまでCGを駆使してきて力尽きたのか。夢のような光景を少し見せてくれてもいいのに。
ラスト、忠臣ゴンザーロー(トム・コンティ)は普通にほほ笑むのでは足りない。12年ぶりに元の主人の元気な姿に会えた
のだから、もう少し感激してほしい。別にそれほど嬉しくもないのか、まさかボケたのではないと思うが。
島の怪物キャリバン(ジャイモン・フンスー)が「目が開けた」かのように、「おれは今までこんな酒飲みを崇めていたのか」
と愕然とするのが面白い。それまで彼は酒というものを知らず「その飲み物」と呼んでいたのに。まあこれも、一つの矛盾
であり破綻ではある。フンスーは足が長くてカッコいい。
今年は執筆から400年(!)とか。「テンペスト」の映画化というと、ピーター・グリーナウェイ監督の「プロスペローの本」
(91年)が有名だが、あれと比べると、これは原作にずっと忠実だ。そのメッセージは寛容と許し。つまりは極めて今日的な
作品である。
ヘレン・ミレンが主演、つまりプロスペロをやる・・と言うか、設定を変えて彼をプロスペラという女性にし、台本も
それに合わせて監督自ら書き換えたのだった。
ヘレンは以前からこの役をやりたかったという。これには参った。
筆者は中学・高校の頃、ハムレット・オセロー・ケント・リヤの道化・・などやりたいと思ったが、プロスペローをやりたいと思ったことはないので。
ナポリ王アロンゾは息子ファーディナンド、弟セバスチャン、ミラノ大公アントーニオらと共に海上で嵐に会い、船は難破。
みな散り散りに或る島に打ち上げられる。そこには12年前彼らが陰謀によって追放した前ミラノ大公プロスペラとその娘
ミランダが暮らしていた。実はプロスペラには魔術を使う力があり、手なずけた妖精エアリエルを駆使して嵐を起こし、
男たちへの復讐を企てていたのだった・・・。
映画だけあって舞台でできないことをやってくれる。冒頭の嵐のシーンはもちろん。
妖精エアリエル(ベン・ウィショー)の動かし方は最高。これが決定版ではないだろうか。
「デイム」ヘレン・ミレンはさすがに完璧と言ってもいい演技。ミランダ役のフェリシティ・ジョーンズも可憐で初々しい。
しかし最後の余興は期待外れ。それまでCGを駆使してきて力尽きたのか。夢のような光景を少し見せてくれてもいいのに。
ラスト、忠臣ゴンザーロー(トム・コンティ)は普通にほほ笑むのでは足りない。12年ぶりに元の主人の元気な姿に会えた
のだから、もう少し感激してほしい。別にそれほど嬉しくもないのか、まさかボケたのではないと思うが。
島の怪物キャリバン(ジャイモン・フンスー)が「目が開けた」かのように、「おれは今までこんな酒飲みを崇めていたのか」
と愕然とするのが面白い。それまで彼は酒というものを知らず「その飲み物」と呼んでいたのに。まあこれも、一つの矛盾
であり破綻ではある。フンスーは足が長くてカッコいい。
今年は執筆から400年(!)とか。「テンペスト」の映画化というと、ピーター・グリーナウェイ監督の「プロスペローの本」
(91年)が有名だが、あれと比べると、これは原作にずっと忠実だ。そのメッセージは寛容と許し。つまりは極めて今日的な
作品である。
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