ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

オペラ「リトゥン・オン・スキン」

2019-09-07 17:16:01 | オペラ
8月29日サントリーホールで、ジョージ・ベンジャミン作曲のオペラ「リトゥン・オン・スキン」を見た(台本:マーティン・クリンプ、指揮:大野和士、オケ:都響)。
セミ・ステージ形式。日本初演。

領主プロテクターは写本彩飾師の少年を屋敷に迎え入れる。彼は一冊の装飾写本の完成をその少年に依頼していたのだ。この仕事は、彼が自らの政治権力を使って行った
冷酷な仕打ちと、秩序だった家庭生活が彼にもたらす静かな充足ーそれは妻アニエスの謙虚さと子供のような従順さに体現されるーとを不朽のものとするはずだった。
しかし写本の制作が妻に反抗のきっかけを与えてしまう。少年を首尾よく誘惑したアニエスは、彼との親密な関係を利用して写本の内容そのものを描き換えさせ、夫に
自分の真実の姿を見せつけようとする。これが常軌を逸した最後の挑発行為へと道を開いてしまうのだった(マーティン・クリンプ)。

2012年フランスにて世界初演。
中世の物語に端を発し、様々な形で伝承されてきた「心臓を食べた話」をモティーフとして、領主と妻と少年の三角関係を描く。

一段高いところに細長いスペースを設けて、そこで男女二人のダンサーが開演前から様々な仕草で動いている。この二人の動きは見事で見応えがある。
オペラが始まると、彼らの背後の大型モニターに映像が流れ、それがまるで映画のように美しい(舞台美術:針生康)。
だがそうなると、オペラの内容とダンサーたちの動きがまったく関係ないので、かえって邪魔になる。
なぜこんなことをするのだろうか。歌と音楽と映像だけでは観客が退屈すると思ったのだろうか。
これではダンサーたちに失礼ではないか。

映像の中の人物たちは、顔を薄いもので覆っている。
人によって受け取り方はいろいろあるだろうが、評者にはこれがよかった。余計なことを考えなくて済むので。

歌手は皆素晴らしい。


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