青少年なやみ相談室

相談室だより

相談室だより10月 ちょっとだけ「休む」ということを考えてみませんか。

2018年10月01日 00時00分00秒 | vol111~120

 今月は「休む」ということについて考えてみたいと思います。ある方がこんなことを書いています。

 「動物は決して次の行動に迷うということはないそうです。動物はいかに暇であってもあれこれ迷うことはない。そもそも暇という概念すらないようです。餌があれば一目散に駆け寄りますが、特に何か刺激がなければ何もせずじっとしています。人間はどうもこの「何もしない」ということが不得手なようです。

 特に我々日本人は、休日に何もしないでいると「勿体ない」と思う傾向があるようです。そこで休日になると遊びや旅行を入れて、普段味合わない時間を味わい、その結果、人ごみの中で疲れて、休み明けはへとへとで仕事も進みません。

 そして、限度を超えて疲れると、何かを「する」ということがまるで出来なくなって、「休む」ということもできなくなります。熟睡できるようになれば、疲れも回復している証拠です。「休む」ということは生きていく上で欠かせないものですが、誰でも上手に「休む」ことができるわけではないようです。「休む」という最も簡単そうなことですら、我々にとっては限りなく難しいことのようです。」(吉村萬壱『生きていくうえで、かけがえのないこと』亜紀書房)

 皆さんはどう思いますか。私も休日にテレビも見ない、スマホも見ないでただじっと体と心を休ませているというのは難しそうです。ついつい何かをしていないと落ち着きません。でも家で飼っている子犬を見ると、食事をするときや散歩をするとき以外は何もしないでじっとしています。確かに「休む」ということも考えていないと思われます。

それから「休む」ことができるのは、心も体も健康なときのように思います。90歳を超えた父親は長い時間を眠るということができませんでした。午後8時にはいったん床に就くのですが、10時頃になるとほぼ毎日起きてきましたし、朝も早く目覚めていたようです。

 つい私たちは「休む」ということを簡単に考えてしまいがちですが、意外に現代人にとって「休む」こと、「休める」ということは簡単なことではないのかもしれませんね。


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相談室だより9月 9月3日は「秋の睡眠の日」です

2018年09月01日 09時00分00秒 | vol111~120

 9月3日は「ぐっ(9)すり(3)」の語呂合わせから、「秋の睡眠の日」です。みなさんはぐっすり眠れてますか。記録的な猛暑だった8月。暑い夜には寝苦しさを感じ寝不足気味だった方もいらっしゃったのではないでしょうか。健康と言うとすぐに頭に浮かぶのは食事と運動ですが、実は睡眠も心と体の健康には欠かせません。睡眠には、脳を休ませて、体と心の疲れをとるという大切は役割があります。慢性的な睡眠不足は、生活習慣病やうつ病を引き起こしたり、交通事故の原因となったりします。

  ぐっすりと質のよい眠りにつくためには、「眠くなるまで寝床に入らず、リラックスして過ごす。」ことがポイントとよく言われますが、寝る前の時間をリラックスして過ごすためには、何をすれば効果的なのでしょうか。「世界睡眠会議」のホームページから一部引用してご紹介します。

深呼吸で熟睡スイッチをオンにする

 寝る前には、ゆっくりと大きく、10回程度の深呼吸をしてみましょう。息を吐くときに「あ〜〜」と声を出しながら深呼吸するのもおすすめです。

アロマを活用! 香りで眠りを呼び寄せる
 ラベンダーやカモミール、ネロリなどの香りがおすすめです。

入眠儀式をつくる

 パジャマに着替える。お気に入りの音楽を聴く。など、やることは何でもOKですが、簡単にできて、心がホッとできることを習慣にするのがおすすめです。

寝る前に手足を温める!

 足湯などの方法で手足を温めるのは、睡眠の質を高めるのに役立ちます。手足を温めると、リラックスもできますよね。

思い切り笑ってみる

 笑いは快眠の味方です。大笑いするのは深呼吸と同じ効果もあり、感情を開放することでストレスも発散。ぐっすり眠るために役立ちます。

ホットドリンクを飲む

 カップをもつことで、手先を温めることもできます。体温より少し温かい程度(目安は40度くらい)の白湯(さゆ)を飲むのもおすすめですよ。

 

 いかがですか。「コレをやったらよく眠れた!」という成功体験を積み重ねて、快眠生活を楽しんでくださいね!

 

*参考* 世界睡眠会議ホームページ

                                日本医師会ホームページ 

  

 

 


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相談室だより8月 深呼吸のすすめ

2018年08月01日 00時00分00秒 | vol111~120

夏バテしていませんか?

 例年にない猛暑が続いていますね。だるかったり、疲れやすかったり、とにかく動くのが億劫だったり・・・体も心もいまいち調子がでない、という方が多いのではないでしょうか。屋内では冷房で体がキンキンに冷え切り、外では暑さと汗でベタベタ・・・急な温度差も大きなダメージですね。8月は、夏バテや夏風邪、熱中症など体調面のケアはもちろん、体と共に不調になりがちな「心のケア」がとても大切な季節でもあるのです。

夏はイライラ、怒りっぽくなる?

 暑さで体調がさえず、暑さの不快感から、とにかく夏はイライラしがち。いつもは平気で受け止められることにもカチンときたり、必要以上にへこんだり、気持ちが不安定になってしまうことがあります。暑くてなんだか元気が出ないなと感じたら、体のケアと一緒に心のケアも意識してみてはいかがでしょうか。頑張らなければいけない時ほど、こきざみに休憩をいれて、一息つきながらゆっくり行動することが大切です。

おすすめは、深呼吸。
 おすすめの方法は、ゆっくりと息をすって、体の中にたまった空気を全部吐き出すこと。一見、簡単すぎて、効き目がないように思えますが、呼吸は、心や感情のコントロールにとても重要です。暑いと呼吸が浅くなりがちですが、これにストレスが加わると、さらに呼吸は浅くなるし、体に力が入り酸素が十分に体内に取り入れられません。酸素をしっかりと取り込めないと、脳内の感情を司る器官にも十分に血液が循環せず、コントロールがうまくいかなくなってしまう場合もあるのです。

 カチンときたり、イラっときた時は、いったん目をつむって5秒待つ。その後、深呼吸を5回ほど繰り返してみてください。新鮮な空気が入ってきて、呼吸が落ち着き、高まった緊張感や筋肉をゆるめることができます。体が少し落ち着くことで、心も冷静になることができ、気持ちを切り替えたり、より平常の状態にリセットしたりすることができます。

 岩手の夏が終わるのはあっという間。真夏の太陽の直射日光も、ベタベタの汗も、もうすこしの辛抱です。今だけの夏の空気をたくさん吸い込んで、深呼吸!!暑い暑い夏を味わいながら、ちょっとした呼吸法で心と体をひとやすみさせてあげるのはいかがでしょうか。


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相談室だより7月 その手を休めてみませんか。~スマホ「休感日」のすすめ~

2018年07月01日 00時00分00秒 | vol111~120

 進学や就職などで4月から新生活がスタートした皆さん、いかがお過ごしですか。この3か月間で人間関係や、生活スタイル、学習スタイルなど様々な環境の変化を経験したことと思います。そんな環境の変化の1つとして、新たにスマートフォンを手にした皆さんも多いのではないでしょうか。

 平成30年3月に内閣府が発表した「平成29年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(概要)」によれば、高校生の95.9%がスマートフォンを所持しています。平成22年度の高校生のスマートフォンの所持率はわずか3.8%。クラスに1~2人くらいだったのが、10年も経たない間にほぼ全員が持つ時代になりました。1日のうち2時間以上利用する高校生は71.5%を占め、17.6%の高校生が5時間以上利用すると回答していて、平均で1日177.7分、およそ3時間利用しているという結果がでています。

 私も5年前からスマートフォンを使っていますが、とっても便利で手放せません。しかし、スマートフォンによって生活が便利になった反面、「スマホ依存」、「ながらスマホ」、「偽情報の拡散」や「SNSを通じたトラブル」など問題も多発しています。せっかく便利なツールを手に入れても、一歩使い方を間違えると、希望に満ちた新生活も「こんなはずでは…」となりかねませんね。

 岩手日報に連載中の「『ほどよさ』の研究(文:萩原魚雷)」の3回目、6月13日水曜日に掲載された「すこし不便な休感日」の中で萩原氏は、「情報過多を制限する『休感日(感覚を休める日)』が必要なのかもしれない。」と語っていました。青少年の皆さんにとって、スマートフォンをオフラインにして休感日を設けることは難しいかもしれませんが、ときどきその手を休めて、スマートフォンの使い方を振り返ってみてはいかかでしょうか。

 便利なはずのスマートフォン。もしそのスマートフォンに振り回され、「こんなはずでは…」と感じているとしたら、いつでも相談室にお電話くださいね。お待ちしています。


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相談室だより6月 子どもに「甘えさせてあげること」の大切さ

2018年06月01日 09時00分00秒 | vol111~120

先日、書店をのぞいていたらある本が目につきました。この相談室の壁にもかけてある相田みつをさんの詩(書)に高名な精神科医でキリスト教徒でもある佐々木正美先生が文章を綴った本です。『自分の番を生きるということ』という書名にひかれて頁をめくってみました(結局、購入したのですが)。

 相田みつをさんの詩(書)は、いつものとおり力強くそしてやさしくて暖かく描かれています。佐々木先生は、児童精神科医らしく、子どもの話、子育ての話を多く述べていて相談員として興味深く読みました。その一つをご紹介します。

「人を信じる力というのは、乳幼児期のできるだけ早い時期に身につけるほど大きく育ちます。その力を身につけるため必要なのは、周りの大人たちが無償の愛を注ぐこと、要するに”甘えさせてあげる”ことです。そう言うと、”甘やかす”ばかりではわがままな子どもになるのではと心配する声が聞こえてきますが、そんなことはありません。人は、乳幼児期に他者から愛されることで自分の存在を誇りに思うようになり、そして自分に自信を持てるようになった子どもは、人を信じて生きていくことができるようになります。」

 正直な話、私も”甘やかすばかりでは?派”の一人でした。でも佐々木先生は「甘やかす」ではなく「甘えさせる」と述べています。そこは大きく違います。先生はこの本の中で子どもへの信頼を基本において話をしています。別の文章で先生は子どもが何か良くないことをしたときに、(感情にまかせて)「しかる」のではなく、「くり返し教え伝えて、そして待つこと」が大切と述べています。ここには「甘えさせる」こととも共通する子どもを信じるゆるぎない心があります。それは「甘やかす」こととは明らかに異なります。

 現代はとても子育てが難しい時代です。核家族化と少子化が進む中、共働き世帯も増え、一方で、地域のつながりは弱くなっています。親は子どもと一緒にいる短い時間の中で一生懸命子どもを育てようとします。親の愛情は子どもにいっぱい降り注がれます。それが良い結果を生む場合もあれば、そうでない場合もあるように思います。

佐々木先生は「親は子どもの愛し方が下手になった」と述べています。離乳食をちゃんと食べてほしい、外では泣いたりさわいだりしないで欲しいなど、自分が望んでいるような子どもになって欲しいという親の感情は、私が子どものころに比べてより強くなっているように感じます。そしてそういう気持ちが極端に大きく膨らむと、ときには虐待にまでつながってしまうと言われています。

忙しい日常の中、ついつい子どもを「正しく育てる」ことに気持ちがとらわれ過ぎていませんか。子どもは一人ひとり成長の仕方が異なります。子どもを信頼して、その子の成長に合わせて育てることがとても大事だと思います。そして子どもにいっぱい「甘えさせてあげること」をしてみてはいかがでしょうか。


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