9月、暑かった夏もどうにか終わり、これからは過ごしやすい季節に入りますね。
9月といえば中秋の名月、今回は月の話です。
「月月に月見る月は多けれど月見る月はこの月の月」(詠み人知らず)、中秋の名月を詠んだ有名な歌ですね。
中秋の名月は旧暦の8月15日(新暦では今年は9月13日)、ですからこの歌では「8月」にちなんで、月の字が8つ使われているとか・・・。
ところで、皆さんはこんな経験はないでしょうか。
地平線近くにある満月は驚くほど大きく見えるのに、天頂に登ると、とても小さく見える。
実際に地平の月は天頂の月より1.3~1.5倍も大きく見えるそうです。
これは人の知覚システムはカメラと同じく外界を写真のように写し取るわけではなく、
網膜に映った情報をもとに、自分の知識や期待、経験等を利用して推論を加えて、
見えたものを脳内で再構成して認知しているために起こる現象です。
なお、地平の月が大きく見える原因については、古代から解明が試みられていますが、現在でも完全に解明されてはいないそうです。
最も有力なものは、月が地平近くにある場合には、地上の風景など距離の手がかりがあるため、風景に奥行き感が生じて、
本来の月の大きさに近づくよう、サイズが知覚的に補正されるという説です。
人の知覚システムは現代の最先端の脳科学でもまだまだ分からないことが多いようです。
それはそれとして、満月を眺めながら、子ども心にかえって、月のウサギを想像するのも楽しいことですね。
たまには、日常の忙しさから離れて、月を愛でるひとときをもって、ゆったりとした時間の流れを楽しんでみるのはいかがでしょうか。
※参考図書:菊池 聡(信州大学教授・心理学)「錯覚の科学」(放送大学出版会)