「古都逍遥 京都・奈良編」「花の詩」「日常のこと」や花や風景写真

 京都・奈良を中心に古刹・名刹や「花の詩」等の紹介。花や風景写真、オリジナルの詩、カラオケ歌唱など掲載しています。

「二尊院」(にそんいん)

2006年09月03日 12時02分31秒 | 古都逍遥「京都篇」
 秋ともなれば全山が紅で覆い尽くされ、燃え立って見える小倉山の東麓に、釈迦如来と阿弥陀如来(鎌倉時代の春日仏師作・重要文化財)の二尊を祀る「二尊院」がうある。正式な名称は「小倉山二尊教院華台寺」といい、嵯峨天皇のころ慈覚大師が承和年間(834~847)に開山した。

 威風堂々たる総門を入り、「紅葉の馬場」と呼ばれる参道を抜けると、秀麗な美を留める本堂がある。総門は伏見城の「薬医門」を移築したもので、本堂は京都御所の紫辰殿(ししんでん)を模して造られた。
 山内の時雨亭(しぐれてい)は藤原定家が百人一首を選定したところで、今はその跡地が保存されている。納経所の横にある茶室「御園亭」は後水尾天皇第五皇女であった賀子内親王(がしないしんのう)御化粧の間であったものを元禄10年(1697)に移築したもので、狩野永徳筆の腰張りがある。

 「しあわせの鐘」として信仰があつい「梵鐘」は、慶長9年(1604)作であったが、再鋳した。この鐘をつくとき、「自分が生かされている幸せを祈り」、「生きとし生けるものに感謝し」、「世界人類の幸せを祈る」の3つを祈りながら鐘をつく。腹に沁みる鐘の響きに心まで洗われる思がする。

 秋、澄み切った山麓の風に吹かれ紅葉がハラハラと散る中、境内の茶処で熱い甘酒をすすり小鳥のさえずりを聴けば世俗のことなど忘れてしまいそうだ。

 交通:京都バス「嵯峨小学校」下車、徒歩5分。
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