「古都逍遥 京都・奈良編」「花の詩」「日常のこと」や花や風景写真

 京都・奈良を中心に古刹・名刹や「花の詩」等の紹介。花や風景写真、オリジナルの詩、カラオケ歌唱など掲載しています。

「曼殊院」(まんじゅいん)

2006年10月07日 16時22分16秒 | 古都逍遥「京都篇」
 紅葉がほんのり薄化粧をし始める頃、曼殊院を訪れた。当院は京都でも屈指の紅葉の名所として知られ、シーズンともなると混雑が予想されることから、その前にゆっくり散策しておきたいという考えからである。
 秋は参道から燃え立つような紅葉に覆われ、門跡の白壁に映える鮮やかな真紅は情念の世界まで漂わせる。白壁づたいを西にいくと石垣の土手にかわいい薄紫の花が群生していた。通りがかりの近所の方に「可愛い花ですね」と声を掛けると、「ツルリンドウっていうですよ」と教えてくれた。曼殊院の隠れた名物だそうだが、観光客はほとんど気づかないらしい。 

 曼殊院は、伝教大師(最澄上人)の草創に始まり(8世紀)、比叡山西塔北谷にあり「東尾(とうび)坊」と称した。曼殊院と改称されたのは天仁年間とされ、現在の地に移されたのは明暦2年(1656)で桂離宮と様式を同じくしている。 当院の襖絵が好きなことから数度も訪ねているが、特に狩野探幽の筆による障壁画・襖絵が好みだ。違い棚も見るべきところがあり、桂離宮のものと同じで「曼殊院棚」と呼ばれ、数10種の寄木で作られた珍しいものである。 

 皐月のころ、秋の紅葉のころ、ともに美しい庭園は小堀遠州作の枯山水。庭の芯に滝石があり、白砂の水が流れ出て、水分石から広がって、鶴島と亀島にそそがれる。鶴島には
樹齢400年といわれる鶴をイメージした五葉の松、亀島の松の緑が白砂に鮮やかに映えている。

 交通:JR京都駅から市バス5・特5、一乗寺西町徒歩15分。

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