「古都逍遥 京都・奈良編」「花の詩」「日常のこと」や花や風景写真

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「依水園」(いすいえん)

2010年10月08日 00時09分09秒 | 古都逍遥「奈良篇」
 若草山を借景にした「依水園(いすいえん)」は奈良県庁のすぐ東側に位置している。この界隈は古くは興福寺の子院「摩尼珠院(まにしゅいん)」があった所で、延宝年間(1670)から吉城川で奈良晒(さらし)を業としていた清須美(きよすみ)道清が建てた別邸(依水園)で、知らない人も多い国指定の名庭である。
 園内は池の庭、苔の庭、茶花の庭からなり、木造・平屋建・かや葺の離れ茶室と一体となった閑静な佇まいとなっている。

 春日奥山から奈良公園を流れてくる吉城川沿いにあって、「依水園」という名はこの吉城川の水に依っているという説と、中国杜甫の漢詩に「名園緑水に依る」という一節を引用したとも伝えられている。
入り口を入ると右側(西側)の前園と、左側(東側)の後園があり、作られた時代がまったく違う二つの庭が組み合わされ大庭園となっている。

 前園は寛文12年(1673)に道清の作庭で、シンボルとなっている茶室「三秀亭」は、庭のお披露目に招いた黄蘗山の木庵禅師によって名付けられという。後園は明治時代に実業家関藤次郎が築いた築山式の池泉回遊式庭園で、作庭は裏千家12世又妙斎宗室による。寧楽の都をモチーフとし、若草山、春日山、御蓋山(みかさやま)や東大寺南大門などを借景とする雄大優美な景色をなしている。借景の池を囲むように遊歩道があり散歩できるようになっており、苔むした庭の中を踏み石を上ると水車小屋、その先には池の飛び石へと続き、散策していると、ときどき鶯のさえずりも聞こえてくる。春だとつつじ、菖蒲などが咲き新緑に映え、夏は蓮や百日紅、秋は紅葉と四季折々の花を楽しむことができます。

 昭和14年(1939)海運業で財を成した中村家が買い取り、前園と後園を合わせた形に整備。昭和44年(1969)には、中村家所蔵の美術品を展示するため、寧楽美術館を建設して一般公開している。
 庭園を鑑賞した後、依水園に入る手前の食事処「三秀」に立ち寄り食事をされるとよい。麦ご飯にとろろ「麦めしとろろ」は1800円、これに香ばしいうなぎの蒲焼きをつけた名物料理「うなとろ御膳」(2800円/平城遷都1300年協賛価格)が楽しめる。
 入園料は大人650円(寧楽美術館入館料も含む)。

 所在地:奈良県奈良市水門町74。
交通:近鉄奈良駅より徒歩15分。
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