今日のことあれこれと・・・

記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

苗字制定記念日

2005-02-13 | 記念日
今日(2月13日)は「苗字制定記念日」
1875(明治8)年、明治政府が「平民苗字必称義務令」という太政官布告を出し、すべての国民に姓を名乗ることを義務附けた。
1870(明治3)年9月19日に出された「平民苗字許可令」により、平民も苗字を持つことが許された。しかし、当時国民は明治新政府を信用しておらず、税金を課し徴収するために、苗字を附けられるのだと警戒し、なかなか苗字を名乗ろうとしなかった。そこで明治政府は、1875(明治8)年「平民苗字必称義務令」を布告。この年平民に苗字を附けることの義務化を断行した。
そのため国民があわてて急に適当な名前をつけたので、このとき一度に日本の苗字が、世界一多い国となったことを、2005-01-29のBlog 「 日本初の全国戸籍調査が行われた日 」で、紹介したが、後日調べた結果判ったのだが、以下参考に記載の「日本の苗字7000傑」によると、世界一は多民族国家のアメリカで姓の数は100万以上と言われているといい、日本が約30万で2位だそうだ。考えてみれば、そうだろうだと思うので、ここで、訂正しておこう。
それ以前は武士以上の特権階級の者にだけしか苗字の使用は許されていなかったので少なかった。この事情は、当時のBlogを見てください。今回は、別のテーマーを考えてみたいと思います。
今、日本では、民法上、夫婦の氏(名字)については、「夫婦は婚姻の際に定めるところに従い、夫または妻の氏を称する(民法750条)」と定められており、「婚姻届書」に夫婦が称する氏を記載して、その旨を届け出ることになっている。夫の氏を選んで婚姻すれば、夫の氏はそのままで、妻の氏が夫の氏に変更になる。又、妻の氏を選んで婚姻すれば、夫が妻の氏に変更になり、どちらを選んでも夫婦は2人とも同じ氏となる。そのため、夫婦がどちらの氏を名乗るかは、それを選択する婚姻届時にどちらの氏を称するかをきめておく必要がある。つまり、「夫婦同氏制度」である。夫婦間に生まれた子の氏は当然に親の氏となるので「家族同氏制」とも言え、これは、又、ファミリーネームとも言える。
しかし、最近、この「夫婦同氏制度」に意義を唱えるものが現れ、政府の法制審議会で婚姻法改正の主要な論点の一つとして、「別氏選択制」の導入の可否などが審議されている。
「別氏選択制」を導入すべきだという改正派は、現行の夫婦同氏制について、女性に対する差別・抑圧になっていることや家意識を温存すること等の弊害等を指摘している。又、これに対して、現行法を擁護する立場の者は、同氏制が夫婦の一体感を保つことや国民感情が広く受け入れている制度であること等を主張している。
この夫婦の氏を同氏制にするか別氏を認めるかといった問題は、われわれ日本国民のすべての家庭と社会生活に直接に関係してくる重大な性格をもったものであり、慎重にも慎重を重ねて審議してもらいたい。
世界的に、見れば、儒教の伝統の強い中国また、同じ儒教国だった隣国の韓国などが、「父系の血統主義」にもとづく家族制で「夫婦別姓制」をとっている。従ってその子供は、当然父の姓となるが、妻の姓は、血統が夫と異なるため、婚姻によっても変わることはない。このような中国の夫婦別姓は、男尊女卑の産物であるとも言われている。しかし、このことは、家族制度上において最も、問題となるものの一つ、「血脈を同じくする近親相姦の問題」を避けることから発生したもので、これは生物学上及び人倫の道徳上の問題であり、どこの国でも禁じており、「キリスト教では神に誓って結婚した二人の間に生れた子すなわち嫡出子の権利を保護し、非嫡出子とりわけ父親に認知されていない子とは、はっきり区別している。このとき、父親の姓を名乗っていることが重要な意味を持っていたという。
つまり「極めて現実的に、近親相姦を防ぎ、正常な婚姻に基づく家族の財産を保護するという意味があり、キリスト教文化圏の女性は、結婚すると家族の氏(ファミリーネーム)の中に入り夫婦同姓となったのであり、これは人間の知恵であった。」というのでる。
わが国の場合は、国民皆姓となった明治の始めより、西洋キリスト教国の夫婦一体型の「夫婦同氏制」を採用してきた。
下参考の「我が国における氏の制度の変遷」を見ると、明治8年2月13日、今日の「太政官布告 」による氏の使用が義務化されるが、その翌明治9年3月17日「太政官指令」により、妻の氏は「所生ノ氏(=実家の氏)」を用いることとされる(夫婦別氏制)。
※  明治政府は,妻の氏に関して,実家の氏を名乗らせることとし,「夫婦別氏」を国民すべてに適用することとした。しかし、上記指令にもかかわらず,妻が夫の氏を称することが慣習化していったといわれている。
そして、明治31年民法(旧法)が成立し、「夫婦は,家を同じくすることにより,同じ氏を称すること」(夫婦同氏制) とされる。
※旧民法は「家」の制度を導入し,夫婦の氏について直接規定を置くのではなく,夫婦ともに「家」の氏を称することを通じて同氏になるという考え方を採用した。
これが、昭和22年改正民法成立 により、「夫婦は,婚姻の際に定めるところに従い,夫又は妻の氏を称すること」(夫婦同氏制)とされた。
つまり、改正民法は,旧民法以来の夫婦同氏制の原則を維持しつつ,男女平等の理念に沿って,夫婦は,その合意により,夫又は妻のいずれかの氏を称することができるとした。・・・というのである。
これらの民法成立の変遷等を見ている限り、この法律が、男尊女卑の元に生まれたものだとは思えない。しかし、今の少子化の問題が、夫婦同氏制による、女性差別ととらえられ、結婚拒否といったことにまでつながっているとしたら、これは、少し、考えものであると思う。
(画像は、宮本武蔵と対面した伊織。宮本伊織は武蔵の養子である。吉川英治「宮本武蔵」挿絵より)
参考:
夫婦別姓資料館
http://fb-hint.hp.infoseek.co.jp/index.html
夫婦の氏
http://www.law.tohoku.ac.jp/~parenoir/uji.html
我が国における氏の制度の変遷
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji36-02.html
名前探偵団
http://www.geocities.jp/nametantei/index.html
※(2007・09・06追加)
日本の苗字7000傑
http://www.myj7000.jp-biz.net/