今日(6月29日)は「星の王子さま」の日。
童話「星の王子さま」で知られるフランスの作家・飛行士のアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの誕生日である。
「星の王子さま」の作者アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリは、1900年、フランスの地方都市リヨンに伯爵家の5人兄弟の長男として生まれた。20歳の時、彼は兵役をきっかけに、飛行士としての道を歩き始める。のちに航空郵便会社に入社、そのときに書いた、航空郵便の飛行士としての体験を書いた「南方郵便機」「夜間飛行」「人間の土地」などで作家としての名を知られるようになる。そして、南米で知り合った美しい女性、コンスエロと結婚をする。第2次世界大戦が始まり召集され、偵察部隊に配属されて、アラスカへの偵察飛行などを行っているが、その後、パリがドイツに占領された為難を逃れて米国に亡命。米国では、亡命フランス人社会の勢力争いなどがあったが頑として加わらず貴族らしい超然とした態度をとり続けたため同国人から非難の浴びたという。亡命中の米国でその苦境の中「戦う操縦士」(1942年)を、その翌1943年に「星の王子さま」を出版した。この出版からほぼ同時期に彼は、連合軍に参加。軍隊に復帰した彼は、空軍パイロットとして祖国フランスのために闘った。1945年年7月31日、フランスのコルシカ島から偵察飛行に出かけた彼は、そのまま消息を絶ちついに還ることはなかった。
「星の王子さま」では、バラの花の言葉に心を傷つけられた王子さまは、自分の星を後にし、7つの星を旅する。そして、王子様が出会った色々な小さな星の住人が出てくるが、その人達はみんな少しずつ、大切な事を忘れてしまっている。王子様は子供の目で彼等を見て、子供の心で考える。そして、最後に地球へ向かい飛行士と出会う。地球ではキツネやヘビとも出会う。
キツネの言葉「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目には見えないんだよ」・・・と。王子様は目には見えない「本当に大切なもの」を見つけ出す。
幼くして弟を失い、第二次世界大戦では、また親友を失うという絶望を味わった彼は、人間にとって本当に大切なものとは何かを十分すぎるほど知った。それは、大人の心の奥にも秘かに息づいている「内なる子ども」の無心な愛。その純一な愛こそが、苦しみの中で人間を根底から支える力となりうるということを・・・。
「星の王子さま」のバラのモデルは美しい妻のコンスエロといわれている。王子さまはバラの花が、この世にたった一本のバラだと思って一生懸命尽くすが、世話をするたびにバラの花の文句は多くなる。でもそれは、王子さまに対していつまでも愛されていたいというバラの思いからであった。お互いに愛し合っていたにもかかわらず、バラの仕打ちをまともに受け取ってしまった王子さまは、友情と愛することを知るためにも自分の星とバラの花に別れをつげて旅に出たのであった。星にいたころはたった一本の薔薇の美しさが大好きだったのに、地球にやってきてみて庭にたくさんの薔薇が咲いているのを見て悲しくなった。自分はありきたりの一本の薔薇を愛していたにすぎないことが悲しかったのだが、キツネとの色々な話から、自分が星に咲いていた一本の薔薇が好きだったのは、水をやり風から守っていたせいで、一本という数をもつ薔薇に恋をしたわけではなかったことを知る。王子様はどこの星の世でもなにより「結びつき」というものが大切であることに気がついて、自分の星に帰る決心をしたのである。この本は、ストーリーの展開を楽しむ意味においては子ども向けの本だが、内容的にはむしろ大人向けのメッセージに満ちている。日本では 1953年に岩波書店が『星の王子さま』の題名で出版した。昔読んだけど、そのときはどこが面白いのかよくわからないまま終わった。同じ岩波書店から、著者の生誕100年を記念し作られた復刻版も出版されている。もう一度、よく、読み直してみたい本である。
(画像は、愛蔵版 「星の王子さま」 岩波書店、著者の生誕100年を記念し作られた復刻版。)
参考:
星の王子さまについて
http://www.lepetitprince.co.jp/prince.html
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ
http://www.pcs.ne.jp/~yu/ticket/saint/antoine.html
松岡正剛の千夜千冊『夜間飛行』
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0016.html
童話「星の王子さま」で知られるフランスの作家・飛行士のアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの誕生日である。
「星の王子さま」の作者アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリは、1900年、フランスの地方都市リヨンに伯爵家の5人兄弟の長男として生まれた。20歳の時、彼は兵役をきっかけに、飛行士としての道を歩き始める。のちに航空郵便会社に入社、そのときに書いた、航空郵便の飛行士としての体験を書いた「南方郵便機」「夜間飛行」「人間の土地」などで作家としての名を知られるようになる。そして、南米で知り合った美しい女性、コンスエロと結婚をする。第2次世界大戦が始まり召集され、偵察部隊に配属されて、アラスカへの偵察飛行などを行っているが、その後、パリがドイツに占領された為難を逃れて米国に亡命。米国では、亡命フランス人社会の勢力争いなどがあったが頑として加わらず貴族らしい超然とした態度をとり続けたため同国人から非難の浴びたという。亡命中の米国でその苦境の中「戦う操縦士」(1942年)を、その翌1943年に「星の王子さま」を出版した。この出版からほぼ同時期に彼は、連合軍に参加。軍隊に復帰した彼は、空軍パイロットとして祖国フランスのために闘った。1945年年7月31日、フランスのコルシカ島から偵察飛行に出かけた彼は、そのまま消息を絶ちついに還ることはなかった。
「星の王子さま」では、バラの花の言葉に心を傷つけられた王子さまは、自分の星を後にし、7つの星を旅する。そして、王子様が出会った色々な小さな星の住人が出てくるが、その人達はみんな少しずつ、大切な事を忘れてしまっている。王子様は子供の目で彼等を見て、子供の心で考える。そして、最後に地球へ向かい飛行士と出会う。地球ではキツネやヘビとも出会う。
キツネの言葉「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目には見えないんだよ」・・・と。王子様は目には見えない「本当に大切なもの」を見つけ出す。
幼くして弟を失い、第二次世界大戦では、また親友を失うという絶望を味わった彼は、人間にとって本当に大切なものとは何かを十分すぎるほど知った。それは、大人の心の奥にも秘かに息づいている「内なる子ども」の無心な愛。その純一な愛こそが、苦しみの中で人間を根底から支える力となりうるということを・・・。
「星の王子さま」のバラのモデルは美しい妻のコンスエロといわれている。王子さまはバラの花が、この世にたった一本のバラだと思って一生懸命尽くすが、世話をするたびにバラの花の文句は多くなる。でもそれは、王子さまに対していつまでも愛されていたいというバラの思いからであった。お互いに愛し合っていたにもかかわらず、バラの仕打ちをまともに受け取ってしまった王子さまは、友情と愛することを知るためにも自分の星とバラの花に別れをつげて旅に出たのであった。星にいたころはたった一本の薔薇の美しさが大好きだったのに、地球にやってきてみて庭にたくさんの薔薇が咲いているのを見て悲しくなった。自分はありきたりの一本の薔薇を愛していたにすぎないことが悲しかったのだが、キツネとの色々な話から、自分が星に咲いていた一本の薔薇が好きだったのは、水をやり風から守っていたせいで、一本という数をもつ薔薇に恋をしたわけではなかったことを知る。王子様はどこの星の世でもなにより「結びつき」というものが大切であることに気がついて、自分の星に帰る決心をしたのである。この本は、ストーリーの展開を楽しむ意味においては子ども向けの本だが、内容的にはむしろ大人向けのメッセージに満ちている。日本では 1953年に岩波書店が『星の王子さま』の題名で出版した。昔読んだけど、そのときはどこが面白いのかよくわからないまま終わった。同じ岩波書店から、著者の生誕100年を記念し作られた復刻版も出版されている。もう一度、よく、読み直してみたい本である。
(画像は、愛蔵版 「星の王子さま」 岩波書店、著者の生誕100年を記念し作られた復刻版。)
参考:
星の王子さまについて
http://www.lepetitprince.co.jp/prince.html
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ
http://www.pcs.ne.jp/~yu/ticket/saint/antoine.html
松岡正剛の千夜千冊『夜間飛行』
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0016.html