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アメリカ海軍の原子力潜水艦『ノーチラス』が、が世界ではじめて潜航状態による北極点通過を果たした日

2007-08-03 | 歴史
1958年(昭和33) の今日(8月3日)、アメリカ海軍の攻撃型原子力潜水艦ノーチラス』(USS Nautilus, SSN-571)が世界ではじめて潜航状態による北極点通過を果たした。
「アメリカ原子力海軍の父」とも称されるハイマン・G・リッコーヴァー提督の強力な指導のもとに計画・建造された、世界最初の原子力潜水艦であり、潜水艦が、「潜航可能な船(submergible ship」ではなく、水中活動をこそ常態とする「真の潜水艦(submarine)」への進化を遂げた画期的な艦として有名である。酸素供給時間は在来型の10日間から30日間に増大(後に、連続60日の潜航持続可能な原潜用空調システムに換装)。S2W型原子炉は連続全力発揮時間250時間が可能であり、これにより艦型こそ旧来型であるものの、1381(約2560km )の連続行動と燃料交換なしでの62562浬の航海が可能になった。
1954(昭和29)年12月30日、ノーチラスの原子炉は初めて臨界に達し、1月21日アメリカのコネチカット州で進水式がアイゼンハワー大統領夫人他約1万2000人が参列して行われた。全長98.7m、乗員105人、水中航行速度は従来の2倍を超える23ノット。潜行したまま地球を1周( 約4万km)以上出来るといわれたノーチラス号の登場は、驚異的な原子力利用として、世界の注目を集めた。同年9月30日に就役。翌1955年1月3日に初めて全力運転を行う。史上初めての原子力を使っての航海でテムズ川を渡ったときに発した「本艦、原子力にて潜航中Underway on nuclear power」の信号は有名。1958(昭和33)年8月3日、潜航状態で北極点を最初に通過することに成功した(この時には、「ノーチラス、北90度」と打電。前者と共に、この信号も有名)。この際は太平洋からグリーンランドへ抜ける航路であった。
本艦の成功を踏まえて、米海軍は初の量産型原潜スケート級(同型艦・1番艦就役:1957年)の建造に乗り出すが、現在まで続く流体力学的船殻と核動力の強力なパワーとの結合は、スキップジャック級(同型艦・1番艦就役:1959年)の登場まで待たなければならない。
原子力潜水艦「ノーチラス」は、試験艦的性格が強かったために建造は1隻のみであったが、第2次世界大戦後の模索期にあった米潜水艦の技術的方向性に、その画期的成功を以って指針を与えた意義は大きく、1980(昭和55)年の退役後も、コネチカット州グロートンで記念艦として保存・公開されている。今は、原子力空母、原子力潜水艦などを多数持ち世界最大・最強の海軍力を誇っているアメリカ海軍であるが、原子力潜水艦の中でこの「ノーチラス」(Nautilus。オウムガイのラテン語名。) の名は、アメリカ海軍艦艇としては6代目(en:USS Nautilusを参照)にあたるものであるが、歴代原子力潜水艦の中でも、その名前は・・・と言うと先ず、ノーチラスの名を思い出す人が多いと思うのだが、それは、SFの父とも呼ばれるフランスのジュール・ヴェルヌの代表作で、1916(大正 5)年に、ユニバーサルで無声映画として映画化されたことがある『海底二万リーグ(Vingt mille lieues sous les mers))』が、1954(昭和29)年にウオルト・ディズニーにより、シネマスコープ劇映画の第1作として同名で製作された。この映画、日本では「海底ニ万マイル 20'000 Leagues Under the Sea 」の題名であったが、この映画の中に登場するネモ船長率いる無敵潜水艦ノーチラス号に、世界中の多くの人達がロマンをかりたてられたからではないか。
世界各地の海で航行中 の船が、巨大な角のようなもので喫水線下に大穴をあけられ沈没するという怪事件が続発.した。米国政府は早速、調査艦の派遣をし、海洋学者とその助手も調査団に加わった。また銛(もり)打ちの名手も怪物を仕止めんと乗艦していたがその調査艦も怪物に撃沈される。博士ら3人は漂流の末、巨大な潜水艦に辿りついた。その怪物の正体は、ネモ艦長が操る潜水艦ノーチラス号だった。それから、怪潜水艦の囚人となった3人の海底の旅が始まる。この映画で初めて本格的な水中カメラが使用されたのだそうだ。海底の映像が凄くきれいだった。ラスト、ノーチラスの根拠地である島は各国軍隊によって包囲され、ネモは島の動力の秘密が知れるのを恐れ、単身島を爆破せんと上陸したが、全身に重傷を負い、ノーチラスに乗って再び海へ出た。自分の命が長くないことを悟ったネモは、艦を沈める決心をした。博士等3人が艦を脱出した時、島はキノコ型の噴煙をあげて爆発した。
アメリカが作った最初の原子力潜水艦「ノーチラス」は、この海の王者として君臨した「ノーチラス号」の名にあやかって付けられたものだが、意外なことに、この小説「海底2万リーグ」執筆前に、すでに潜水艦が存在していたというのだ。18世紀末、アメリカの技術者で発明家であるロバート・フルトンがナポレオンの要請により設計した、世界最初の実用的な潜水艦 (この船のことはNautilus参照。) (ヴェルヌ作品と同名)が建造されていたというのである。この船のことは英語での説明なので私にはよくは判らないが、潜水艦「ノーチラス」(Nautilus)は、表面上には、折りたたみのマストがあり、水上では帆によって動き、 4人の乗組員に与える圧搾空気のタンクを備え、水面下では、4枚のプロペラ状のスクリューを手で回して推進したようだ。この潜水艦には攻撃用爆弾が装備されていたようだが結果は不首尾に終わったようだ。フルトンがその後、1810年頃作成した機雷は最初の係維式触角機雷で、最初の近代的機雷といわれているそうで、また、彼は1807(文化4)年ハドソン川で蒸気船の実験をして成功し、実用化にこぎつけたことでも知られているそうだ。
兎に角、私にとっては、ナポレオンの時代に、潜水艦が造られていたというのは驚きだね。
(画像はDVD『海底2万マイル』〔1907、映画〕)
参考:
ノーチラス (原子力潜水艦)-Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%A9%E3%82%B9_%28%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E6%BD%9C%E6%B0%B4%E8%89%A6%29
ノーチラス号 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%A9%E3%82%B9%E5%8F%B7
海底二万哩 - goo 映画
http://img.movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD1727/index.html
■地球・海洋SF総目録(年代順)
http://homepage3.nifty.com/nishimura_ya/DEEP_SF.HTM
西村屋:SFと海洋科学技術の話題
http://hajimen.bbs.coocan.jp/
ジュール・ヴェルヌの予言
http://homepage3.nifty.com/nishimura_ya/n-con/nautilus_verne.htm
潜水船開発の変遷
http://homepage3.nifty.com/nishimura_ya/kaito/submersible.htm