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時代劇『必殺仕掛人』が放映開始された日

2007-09-02 | 歴史
今日(9月2日)は、時代劇『必殺仕掛人』が放映開始された日
『必殺仕掛人』は、朝日放送ABCテレビ)と松竹京都映画撮影所、現在の松竹京都映画〔株〕)の共同制作により1972(昭和47)年の今日(9月2日)から1973(昭和48)年4月14日にかけて、毎週土曜日にTBS系列で放映された時代劇ドラマである。(全33話)。
内容は、表の稼業は針医者(鍼〔はり〕参照)藤枝梅安緒形拳)、表向きは剣の達人の浪人・西村左内(林与一、第21~24、27、28、30、32話除く)、表の稼業は口入屋(俗に「人夫貸し」とも。今の労働者派遣事業のようなものだが、待遇は劣悪で派遣者を騙すことも多く、世間からは「ヤクザ稼業」と見られていた)である・元締・音羽屋半右衛門(山村聰、第12、19、28、31話除く)の仕掛人(殺し屋)チームが極悪非道の悪を抹殺する物語である。
当時のテレビ界は、フジテレビ中村敦夫主演による異色時代劇ドラマ『木枯し紋次郎』の視聴率躍進に、同局以外の各局は悩まされていた。朝日放送も、例外では無く、同番組に対抗できるものという事で、池波正太郎の人気小説『仕掛人・藤枝梅安』シリーズを原作に制作したものが、今では、誰知らぬものもないほど有名な必殺シリーズの第1作目である。同シリーズでは唯一原作つきの作品である。
この新番組のチーフプロデューサー山内久司(現・朝日放送顧問)から『仕掛人・藤枝梅安』シリーズを映像化したい旨の話を聞いた池波は開口一番、「あんた、よくあんなものをテレビで流そうなんて考えたな。」と、呆れた様に言ったという。
それは、このシリーズが、これまでの時代劇であれば、正義の味方である主人公に、本来ならやっつけられる側の連中(悪人)を主人公にしているからであった。(仕掛人・藤枝梅安の登場人物 参照)
兎に角制作が決まったが、本作のストーリーでは、原作「梅安」の忠実な映像化ではなく、池波が別の暗殺稼業者を描いた短編小説『殺しの掟』に登場する仕掛人の浪人剣客西村左内と、その元締である音羽屋半右衛門を越境登場させたオリジナルとなっており、逆に彦次郎や小杉十五郎といった、原作「梅安」のメインキャストは割愛されることになった。
これまでの正統派の「水戸黄門」や、「大岡越前」と違って、やっつけられる側にいた連中を主人公にし、世の中の本音をテーマにしたこのドラマは、人々の共感を得て、瞬く間に大反響を呼び、次第に、その企画意図と番組としての完成度、そして重厚な作風も視聴者に徐々に理解される様になり、土曜の夜のチャンネルを独占状態にした。また裏番組『木枯し紋次郎』が、主演中村敦夫の撮影中の事故による怪我のため、放送が一時中止に追い込まれるというアクシデントに見舞われたが、それがさらに追い風になったようだ。中村の怪我は順調に治り放送が再開されたが、両者の視聴率は逆転し、それがきっかけで『木枯し紋次郎』の放送は終了した。
振り返ってみれば、『木枯し紋次郎』が新しいヒーローとして人気を集めていた時、「この世でなにを信じたらよいのか・・・」ニヒルな紋次郎に庶民はしびれ、「あっしにはかかわりのねえことで・・・」のセリフが学生やサラリーマンの間で流行していた。1973(昭和48)年を振り返るために手持ちのアサヒクロニクル「週刊0世紀」を見てみると冒頭に以下のように書かれていた。”「世界各国に比べ日本の若者はとりわけ強い不満をもっている。」という調査結果が1973年に発表された。調査をしたのは当時の総理府で、米英仏独だけでなく北欧、アジアの国々の10代20代を調べて比べたものだ。「国は国民の福祉や権利を守っていると思わない」と答えた日本の若者は他の国よりも断然多いし、「産業開発を優先しすぎて個人の生活を不幸にしている」と思う若ものの数も他国に比べてかなり高かった。家庭の暮らし、学校や職場の生活、友人関係、社会生活などについての不満度はいずれも驚くほどに高い。戦後50年足らずのうちに、日本の開発は恐ろしい速さで進み、世界有数の過密社会・競争社会が忌まれていたのだ。農作物の輸入が増え、食料自給率が減った。地価が高騰し、土地成金が輩出し、人々は大都市の息苦しさに喘ぐようになった。開発優先の政治、カネがものをいう政治への不満は強い。・・・が、政治を変える筋道は見つからない。戦後の日本では「カネカネ、ハヤクハヤク」に考え方が人々の心を汚染した、と歎いたのは日本を良く知るバーナード・リーチだが、そうして作り上げた社会こそが若ものの不安・不満を助長したのだろう。”・・・と。今読み直してみるとすでにこの時代には、日本だけでなく世界中の若者が21世紀初頭の社会の姿について暗い見通しを持っていたのだ。このような時代1972(昭和47)年9月から『必殺仕掛人』は始まったのだ。このようなドラマが、流行る背景が既にできかけていたのだよね~。
兎に角このときから始まった必殺シリーズは、抜群の人気を得、時に、視聴率に翳りが見えることもあったがその都度斬新な新シリーズで盛り返してきたが、1985(昭和60)年のシリーズ23作目『必殺仕事人V』の頃から、視聴者層の大半を占める中年男性層に、この路線は徐々に受け入れられなくなり、強力な裏番組(日本テレビ『金曜ロードショー』、TBS『金曜ドラマ』他)の台頭もあって、視聴率的に苦戦を強いられ始める。
1987(昭和62)年9月に、強力な裏番組の台頭に伴う視聴率低下により、レギュラー放送を一時中断(10時枠「必殺シリーズ」の最期参照)したことがあるが、朝日放送開局40周年記念作品として放送された1991(平成3)年10月の『必殺仕事人・激突!』で復活。1992(平成4)年3月に放送終了し、作られたシリーズは現在まで計30作品にのぼる。藤枝梅安を主人公とする小説「仕掛人・藤枝梅安(ふじえだばいあん)」シリーズは、全7巻・38話ある。もともと池波が本作に先駆けて発表した、仕掛人を主人公とした短編「殺しの掟」「梅雨の湯豆腐」が好評だったことから始まった作品で、「殺し~」から音羽の半右衛門、「梅雨の~」から彦次郎という人物が「梅安」シリーズにレギュラーとして登場する。
連載開始間もなくして、テレビ時代劇「必殺仕掛人」が企画され、テレビシリーズとほぼ同時進行で原作も執筆されるという、一種のメディアミックス的な作品として連載されていたが、1990(平成2)年に作者急逝したため未完で絶筆扱いとなっている。
また、「必殺」のように大きなアレンジを加えずに本作を映像化したテレビ時代劇『仕掛人・藤枝梅安』が、フジテレビ系列で小林桂樹(1982年~1983年に7本)や渡辺謙(1990年~1993年に7本)、岸谷五朗(2006年)主演で度々放送されたものは必殺シリーズには含まない。
今では「必殺シリーズ」と言えば、藤田まこと演じる中村主水を想像するが、初登場は1973(昭和48)年4月21日から始まった第2作『必殺仕置人』からである。長い間やっている間に、目など座ってきて、見ていると本当の殺し屋のような目になっているよね~。役が染み付いているといった感じだ。
今年・2007(平成19)年7月7日に、テレビドラマとしては15年ぶりとなる『必殺仕事人2007』がスペシャル番組として放送された。必殺シリーズは、オープニングでのナレーションが面白い。必殺仕事人2007では、以下の通り。〔詳しくは、以下参考に記載の「必殺シリーズ サブタイトルリスト」参照。
金は天下の回り物
ところがどっこい近頃は 天下が金の回し物
金さえありゃとは申しませんが
情けがありゃとも申せません
綺麗事ばかりじゃあ とどのつまりの堂々巡り
どうやらどの世に生まれても
こいつだけは許せねぇ…てな輩がおりますもので
・・・・ドラマでの悪い奴の悪事は地上げと賄賂であった。今の時代、こんな「仕事人」が本当に出てくるかもしれないね~。
(D画像は、VD・映画『必殺仕掛人』)
必殺仕掛人 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BF%85%E6%AE%BA%E4%BB%95%E6%8E%9B%E4%BA%BA
必殺仕掛人 - goo 映画
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD3761/index.html
池波正太郎年譜
http://homepage1.nifty.com/gorozo/ikenami/history.htm
フィリピン民衆革命の裏側
http://tanakanews.com/b0709philippin.htm
朝日放送 | 必殺仕事人2007
http://www.asahi.co.jp/hissatsu2007/
必殺シリーズ サブタイトルリスト
http://www7a.biglobe.ne.jp/~users/hissatsu/h_top.html