今日(9月7日)は小説家・泉鏡花の1939(昭和14)年の忌日。
泉 鏡花(いずみ きょうか)は、明治後期から昭和初期にかけて活躍したロマン主義文学を代表する文豪である。
鏡花は、1873(明治6)年11月4日 金沢市下新町生れ。本名、鏡太郎。父・清次は、工名を政光といった象眼細工・彫金の職人で、加賀藩細工方白銀職の系譜に属する錺(飾り=かざり)職人であったそうだ。母・鈴は、同じく加賀藩御手(おかかえ)役者葛野流大鼓方中田万三郎豊喜の末娘で、江戸の生れであった。泉鏡10歳の時、母が次女やゑ出産直後に産褥熱(以下参考に記載の※産褥熱参照)のため29歳の若さで逝去。鏡花は幼心につよい衝撃を受けたという。鏡花文学は、この亡母憧憬を基底にした詩情が源泉となっているといわれている。
また、1889(明治22)年、尾崎紅葉の世相をとりいれた風俗小説(大衆小説参照)『二人比丘尼 色懺悔』(以下参考に記載の※日本文学電子図書館・二人比丘尼色懺悔 参照)を読んで大いに衝撃を受け、文学を志すようになったという。紅葉の作品は当時の欧化主義に批判的な潮流から、井原西鶴を思わせる風俗描写の巧みさによって評価されていた。2年後に紅葉の門下に師事し、『夜行巡査』『外科室』で評価を得、『高野聖』(1900年)で人気作家になる。
20世紀に入り、東京や大阪など大都市は、科学文明の浸透によって「異界」の世界は急速に消滅しつつあった。だが、日本各地にはまだ、「異界」がリアリティーを持って生きているところがあった。電気が入った地域でも今のように家の中をくまなく照らすことはできなかった。
柳田國男が岩手県遠野地方に伝わる民間伝承を採集記録した『遠野物語』を発表したのは、1910(明治43)年で20世紀に入ったばかりのころである。「小正月の夜又は小正月ならずとも冬の満月の夜、雪女が出でて遊ぶともいうなり。童子あまた引き連れてくると云えり」遠野物語「雪女」の一説である。鏡花が、異界との不思議な交流を描いた作品を綴ったのもこの時代である。
この世の中には二つの大きな超自然力がある。妖怪変化と無量無辺の観音力だ。人間は、この二つの力に対して無力である。1人僧が妖怪変化の化身である美女と一夜を過す『高野聖』はこの信念に従って書かれたものである。また、鏡花は、神楽坂の芸妓桃太郎(本名伊藤すず)を身請し、神楽坂に借家を借りて彼女と同棲していたようだが、このすずが『婦系図』の芸者お蔦で、早瀬主税との恋物語を生み出した。
湯島通れば 想い出す
お蔦主税の 心意気
知るや白梅 玉垣に
残る二人の 影法師♪
作詩:佐伯孝夫、作曲:清水保雄「湯島の白梅」
婦系図は舞台となった湯島天満宮の名を高め、映画化もされ「湯島の白梅」は映画や主題歌の題名にも使われた。
懐かしい歌カラオケ:湯島の白梅
http://8.pro.tok2.com/~susa26/natumero/16-20/yusimanosiraume.html
このほか、代表作には、『歌行燈』『夜叉ヶ池』などがあり、江戸文芸の影響を深くうけた怪奇趣味と特有のロマンチズムに満ちた近代における幻想文学の先駆者としても評価されている。
以下参考に記載の作家別作品リスト作家名:泉 鏡花 (青空文庫)で、先に挙げた、『夜行巡査』『外科室』『高野聖』 『婦系図』『歌行燈』『夜叉ヶ池』などの名作が読めるのだから、今の世の中、本当に便利になったし、ありがたいことだね。
(画像は、コレクションの日生劇場での舞台「夜叉ヶ池」のチラシである。鏡花の作品の中でも最も幻想的・詩的で美しいと云われる「夜叉ヶ池」は、越前・三国岳山中の夜叉ヶ池を舞台にした物語である。夜叉が池の主・白雪姫に浅丘ルリ子が扮している。)
泉鏡花 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B3%89%E9%8F%A1%E8%8A%B1
泉鏡花記念館
http://www.city.kanazawa.ishikawa.jp/bunho/ikkinen/
作家別作品リスト作家名:泉 鏡花
http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person50.html
※産褥熱
http://suuchan.net/note/Chapter-200702.html
※日本文学電子図書館・二人比丘尼色懺悔
http://www.j-texts.com/meiji/2nin.html
「民話のふるさと遠野郷」探訪の旅
http://www.geocities.co.jp/Milano/5796/1972_067.htm
雪女
http://www.h4.dion.ne.jp/~sa-ya/html/mukashi/kaisetsu/yuki.html
四字熟語データバンク:無量無辺
http://sanabo.com/words/archives/2000/02/post_1701.html
婦系図 湯島の白梅 - goo 映画
http://210.150.25.164/movies/PMVWKPD24543/index.html
懐かしい歌カラオケ:湯島の白梅
http://8.pro.tok2.com/~susa26/natumero/16-20/yusimanosiraume.html
その時、心が動いた!: 泉鏡花を訪ねて
http://muropy.way-nifty.com/blog/cat4257440/index.html
泉 鏡花(いずみ きょうか)は、明治後期から昭和初期にかけて活躍したロマン主義文学を代表する文豪である。
鏡花は、1873(明治6)年11月4日 金沢市下新町生れ。本名、鏡太郎。父・清次は、工名を政光といった象眼細工・彫金の職人で、加賀藩細工方白銀職の系譜に属する錺(飾り=かざり)職人であったそうだ。母・鈴は、同じく加賀藩御手(おかかえ)役者葛野流大鼓方中田万三郎豊喜の末娘で、江戸の生れであった。泉鏡10歳の時、母が次女やゑ出産直後に産褥熱(以下参考に記載の※産褥熱参照)のため29歳の若さで逝去。鏡花は幼心につよい衝撃を受けたという。鏡花文学は、この亡母憧憬を基底にした詩情が源泉となっているといわれている。
また、1889(明治22)年、尾崎紅葉の世相をとりいれた風俗小説(大衆小説参照)『二人比丘尼 色懺悔』(以下参考に記載の※日本文学電子図書館・二人比丘尼色懺悔 参照)を読んで大いに衝撃を受け、文学を志すようになったという。紅葉の作品は当時の欧化主義に批判的な潮流から、井原西鶴を思わせる風俗描写の巧みさによって評価されていた。2年後に紅葉の門下に師事し、『夜行巡査』『外科室』で評価を得、『高野聖』(1900年)で人気作家になる。
20世紀に入り、東京や大阪など大都市は、科学文明の浸透によって「異界」の世界は急速に消滅しつつあった。だが、日本各地にはまだ、「異界」がリアリティーを持って生きているところがあった。電気が入った地域でも今のように家の中をくまなく照らすことはできなかった。
柳田國男が岩手県遠野地方に伝わる民間伝承を採集記録した『遠野物語』を発表したのは、1910(明治43)年で20世紀に入ったばかりのころである。「小正月の夜又は小正月ならずとも冬の満月の夜、雪女が出でて遊ぶともいうなり。童子あまた引き連れてくると云えり」遠野物語「雪女」の一説である。鏡花が、異界との不思議な交流を描いた作品を綴ったのもこの時代である。
この世の中には二つの大きな超自然力がある。妖怪変化と無量無辺の観音力だ。人間は、この二つの力に対して無力である。1人僧が妖怪変化の化身である美女と一夜を過す『高野聖』はこの信念に従って書かれたものである。また、鏡花は、神楽坂の芸妓桃太郎(本名伊藤すず)を身請し、神楽坂に借家を借りて彼女と同棲していたようだが、このすずが『婦系図』の芸者お蔦で、早瀬主税との恋物語を生み出した。
湯島通れば 想い出す
お蔦主税の 心意気
知るや白梅 玉垣に
残る二人の 影法師♪
作詩:佐伯孝夫、作曲:清水保雄「湯島の白梅」
婦系図は舞台となった湯島天満宮の名を高め、映画化もされ「湯島の白梅」は映画や主題歌の題名にも使われた。
懐かしい歌カラオケ:湯島の白梅
http://8.pro.tok2.com/~susa26/natumero/16-20/yusimanosiraume.html
このほか、代表作には、『歌行燈』『夜叉ヶ池』などがあり、江戸文芸の影響を深くうけた怪奇趣味と特有のロマンチズムに満ちた近代における幻想文学の先駆者としても評価されている。
以下参考に記載の作家別作品リスト作家名:泉 鏡花 (青空文庫)で、先に挙げた、『夜行巡査』『外科室』『高野聖』 『婦系図』『歌行燈』『夜叉ヶ池』などの名作が読めるのだから、今の世の中、本当に便利になったし、ありがたいことだね。
(画像は、コレクションの日生劇場での舞台「夜叉ヶ池」のチラシである。鏡花の作品の中でも最も幻想的・詩的で美しいと云われる「夜叉ヶ池」は、越前・三国岳山中の夜叉ヶ池を舞台にした物語である。夜叉が池の主・白雪姫に浅丘ルリ子が扮している。)
泉鏡花 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B3%89%E9%8F%A1%E8%8A%B1
泉鏡花記念館
http://www.city.kanazawa.ishikawa.jp/bunho/ikkinen/
作家別作品リスト作家名:泉 鏡花
http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person50.html
※産褥熱
http://suuchan.net/note/Chapter-200702.html
※日本文学電子図書館・二人比丘尼色懺悔
http://www.j-texts.com/meiji/2nin.html
「民話のふるさと遠野郷」探訪の旅
http://www.geocities.co.jp/Milano/5796/1972_067.htm
雪女
http://www.h4.dion.ne.jp/~sa-ya/html/mukashi/kaisetsu/yuki.html
四字熟語データバンク:無量無辺
http://sanabo.com/words/archives/2000/02/post_1701.html
婦系図 湯島の白梅 - goo 映画
http://210.150.25.164/movies/PMVWKPD24543/index.html
懐かしい歌カラオケ:湯島の白梅
http://8.pro.tok2.com/~susa26/natumero/16-20/yusimanosiraume.html
その時、心が動いた!: 泉鏡花を訪ねて
http://muropy.way-nifty.com/blog/cat4257440/index.html