今日のことあれこれと・・・

記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

小泉純一郎首相と金正日との日朝首脳会談が行われた日(2002年)

2007-09-17 | 歴史
2002(平成14)年の今日(9月17)日、当時の首相小泉純一郎が北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の平壌(ピョンヤン)、を訪問し、北朝鮮の事実上の国家元首である国防委員長である金正日朝鮮労働党総書記)との日朝首脳会談が行われた。 その席で北朝鮮側は、日本人13人を拉致したことを認め、口頭であったが謝罪(※謝罪参照)し、犯人については、「一部の妄動主義者、英雄主義者」のせいとし、金正日の責任回避を試みたという。 両者は「日朝平壌宣言」に署名し、拉致問題の解決、植民地支配の過去の清算、日朝国交正常化交渉の開始などで合意した。以下参照。
内閣総理大臣の演説・記者会見等「日朝平壌宣言 」(首相官邸)
http://www.kantei.go.jp/jp/koizumispeech/2002/09/17sengen.html
2000(平成12)年、小渕総理が急死し、党内実力者の青木幹雄野中広務らの支持により幹事長だった森喜朗が総理・総裁に就任した。森が会長を務めていた清和政策研究会(森派)の会長には小泉純一郎が就任した。この総理就任の経緯は密室談合と非難され、森の旧来政治家的なイメージも相まって人気がなく、その上に失言が次々とマスコミに大きく取り上げられ支持率は急落2000(平成12)年11月には遂に18.4%を記録するこれに危機感を抱いた反主流派の加藤紘一・山崎拓は公然と森総理退陣を要求、加藤の乱などが起こるが、小泉ら主流派の猛烈な切り崩し工作により、なんとか政争を乗り切った森政権だが、相変わらず支持率は低迷。翌・2001(平成13)年2月、えひめ丸事件で高校生が多数死亡した際に、ゴルフ場で事故の報を受けた後も森総理がプレーを続けたとして激しい非難を受け、遂に退陣に追い込まれた。森の退陣を受けた総裁選では、一般党員を対象とした予備選で主婦層を中心に大衆に人気のあった田中眞紀子の協力も受けて、小泉は「自民党をぶっ壊す!」「私の政策を批判する者はすべて抵抗勢力」と熱弁を振るい、民衆の圧倒的な支持を得て小泉旋風を巻き起こし、予備選で地滑り的大勝をし議員による本選挙でも圧勝して、自民党総裁に選出された。
そして、第1次小泉内閣発足時は,87.1%と空前の高い支持率を記録。この小泉人気に乗るかたちで同年7月の参議院議員選挙で自民党は大勝した。
しかし、その後、靖国神社参拝問題による中国・韓国の反発、9月11日、米同時多発テロの発生を受けての、米軍らのアフガニスタン侵攻を支援するテロ対策特別措置法を成立させ、海上自衛隊を米軍らの後方支援に出動させた。
国際情勢が緊迫するなか、外交機密費問題などで世論の批判を受けていた外務省は、田中外相が官僚・外交族の鈴木宗男と衝突。そして翌・2002(平成14)年2月には人気のあった田中の更迭。続いて、6月に鈴木が収賄容疑で逮捕。加藤も政治資金流用疑惑で4月に辞職した。
このような「政治とカネ」のスキャンダルの連発で支持率を落とした小泉が、2002(平成14)年の今日(9月17)日、電撃的に北朝鮮を訪問し金正日総書記と初の日朝首脳会談を実現し、日朝平壌宣言に調印したものである。
その後の交渉で、北朝鮮が生存していたとした5人の拉致被害生存者については、一時帰国を条件に同年10月帰国が実現したが、帰国後、日本政府は世論や拉致被害者家族会の要望などにより、一時帰国した被害者を「北朝鮮へ帰す」ことを拒否し、5人の家族の帰国も要求する方針をとった。このため、北朝鮮側は「日本政府に対し約束違反だ」と主張。そして、残る8人は死亡・1人は行方不明とする北朝鮮の回答が不十分なものであり、拉致被害者の家族の帰国が拒まれるなどで、関係者を中心に不満が噴出、世論も北朝鮮に対して強く反発を見せた。それ以降、拉致問題が進展しなくなったことや、昨・2006(平成18)年に北朝鮮政府がミサイル発射実験や核実験を強行したこと、日本政府がそれらを受けて経済制裁を強化してきたことなどにより、有名無実化した状態となっており、国交正常化交渉は頓挫したままとなっている。
この5人の家族の日本政府の対応について、日本国内では当時「北朝鮮側の意表を突いて状況を有利にした」と評価されていたが、その後の推移を見ていると、むしろしたたかな北朝鮮側が当初から日本側のこうした対応を想定した上で、「日本側が約束違反を起こした」という状況を生じさせて立場を強める狙いであえて(恐らく北朝鮮側にとって留める必要性の低かった)5人を帰国させたという事も考えられている。
私も「政治とカネ」のスキャンダルの連発で支持率を落としていた小泉が電撃的に北朝鮮を訪問し、平壌に降り立った小泉首相はいつになく厳しい表情を見せていた。金総書記の姿もなく、市民の歓迎風景もなかった。南北首脳会談の際の金大中韓国大統領の歓迎風景とは対照的だった。政治的に弱っていたところを、相手に利用されたような気がしてならない。
日本人拉致が北朝鮮の国家機関によって企図されるのは、1970年代後半になってからだといわれている。物証に乏しいことなどから、この一連の拉致事件は長い間謎とされて来た。冷戦末期の1987(昭和62)年に発生した大韓航空機爆破事件の際の工作員金賢姫の証言から疑惑が浮上したが、国会においては1997(平成 9)年までは国交正常化等の議題になった際に懸案として出る程度であったという。その後1977(昭和52)年に拉致された中学生横田めぐみさん等に関する実名報道があってから、国会で取り上げられるなど、報道の頻度が爆発的に増えた。また1997(平成 9)年には拉致被害者の救出を求める議員連盟が発足し、政府がやっと7件10人の拉致被害者を認めた。
金正日総書記が、訪朝した小泉前首相に対して、拉致問題について「特殊機関の一部が妄動主義、英雄主義に走って行っ起こったことと考えている。・・といって、それを、遺憾なことであったと詫びたとされている。国家元首が首脳会談でそのようなことをいって詫びたのだとしたら、我が国が第二次世界大戦に突入したのは誰がどういう主義に走った為なのか?これは、外交史上極めて重要なことだ。我が国には、そのようなことはなかったのか?。
北朝鮮の拉致そのものは言われるまでもなく重大な国家犯罪ではあり、許されるべきことではない。しかし、最近、慰安婦問題が米国の国会で一部から指摘されているように、「日本自身が戦時中に、拉致された人数の何倍もの人を強制連行した事実は本当に無かったのか?」。このような拉致問題を、隣国の韓国以外の国で主として日本をターゲットになされたのは、その根本原因が「戦前の日本による植民地政策にもあるのではないか?」といったことがいわれてもいる。日本と、北朝鮮は未だに、戦争状態は終わっていないのである。「日本側の過去の謝罪と賠償が先であり、其の後北朝鮮側に謝罪と賠償を求めるべきだ」・・・と言う声のあることも忘れるべきではないだろう。日本は、ドイツなどのように戦後処理をきっちりとつけないままに今日の繁栄を享受している・・・という見方もあるのである。・・・この拉致問題は、被害者のご家族には大変つらいことではあるが、日本自身の戦後処理が終わらない限り、解決しないのではないかと思われる。
(画像は、拉致問題啓発小冊子。北朝鮮による日本人拉致問題〔首相官邸HP〕より)
北朝鮮による日本人拉致問題 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%97%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BA%BA%E6%8B%89%E8%87%B4%E5%95%8F%E9%A1%8C
日朝関係(外務省HP)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/n_korea/abd/index.html
日朝平壌宣言(外務省HP)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/s_koi/n_korea_02/sengen.html
日朝平壌宣言(首相官邸HP)
http://www.kantei.go.jp/jp/koizumispeech/2002/09/17sengen.html
北朝鮮による日本人拉致問題(首相官邸HP)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/rati/
Yahoo!ニュース - 北朝鮮日本人拉致事件
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/north_korea_kidnap/
北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会
http://www.sukuukai.jp/
日本財団図書館(電子図書館)私はこう考える【北朝鮮について】
http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2001/00997/contents/00271.htm
朝日の「NHK圧力」報道〔前編〕
http://www.ifvoc.org/NewFiles/bunseiko.html
朝日の「NHK圧力」報道〔後編〕
http://www.ifvoc.org/NewFiles/nhkpress_2.html
小泉訪朝における空白の10分間事件
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E6%B3%89%E8%A8%AA%E6%9C%9D%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E7%A9%BA%E7%99%BD%E3%81%AE10%E5%88%86%E9%96%93%E4%BA%8B%E4%BB%B6