今日(9月10日)は「下水道の日」
「下水道の日」は、著しく遅れているわが国の下水道の全国的な普及(当時の普及率: 6 %)を図る必要があることから、このアピールを全国的に展開するため、当時の下水道を所管していた建設省(現在の国土交通省)が、1961(昭和36)年に「全国下水道促進デー」として制定されていた。
9月10日と定められたのは、下水道の大きな役割の一つである「雨水の排除」を念頭に、台風シーズンである210日を過ぎた220日(立春から数えて)が適当であるとされたことによるものであったそうだ。それから約40年が経過し、日本における近代下水道の基である旧下水道法が制定された1900(明治33)年から100年を迎え、その記念行事が行われたこと、また、2001(平成13)年が21世紀のスタートの年にあたることなどから、下水道に対する認識の高まり、より親しみのある名称として「下水道の日」に変更された。
下水道の整備の促進について、人々の理解と協力を呼びかける為に、この日の前後一週間にさまざまな行事が行われている。以下参照。
「下水道の日」における国土交通大臣賞(いきいき下水道賞)の表彰と「いきいき下水道フェスティバル」の開催について
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha06/04/040828_.html
下水道は、主に都市部の雨水(うすい)および、水洗式便所からのし尿や、家庭における調理・洗濯で生じる生活排水と、商店やホテル・町工場から大工場にいたる事業場からの産業排水(耕作は除く)などが汚水を、地下水路などで集めたのち公共用水域へ排出するための施設・設備の集合体であり、多くは浄化などの水処理を行う。
これらの個人や事業者が下水道を利用して自らの汚水を流し去ることを下水の排除と呼ぶが、この行為は、水質汚濁防止法で定める特定施設(事業場)からの公共用水域への排出、及び地下水への浸透を規制している。本法は適用対象で施設や排水量に条件があるなど、限定的な規制であるため、地方自治体の条例による「横出し規制」を認めている。また、全国一律で最低限の規制を定める趣旨であるため、同様に地方自治体の条例による「上乗せ規制」も認めている。」(「横出し規制」「上乗せ規制」は、以下参考に記載の「資源循環情報システム・用語集」参照)
また、排水方法によっては、下水道法や浄化槽法等の規制対象となることもある。水質汚濁防止のための規制体系は、これらの複数の方法の組み合わせによる複雑で総合的な規制となっている。
下水道の歴史は古く紀元前にまで遡るとはいえ、工学的汚水浄化は近代以降を待つ必要があった。
日本において、暗渠式(地下に埋設した)の近代下水道がはじめてつくられたのは、神戸や横浜にあった外国人居留地であった。居留地がつくられたところは海を埋め立ててつくられ、少しの雨でもぬかるみができるような場所であった。そこで、居留地に住んでいる外国人は貿易用の商品を浸水から守ることや住環境を少しでもよくしようと、当時本国でつくられつつあった近代下水道を積極的に取り入れようとした。そして、神戸外国人居留地では1868(明治元)年にレンガ製の卵形下水道がつくられ、横浜外国人居留地でも1869(明治2)年に陶管製下水道が規模が小さいながらもつくられた(神戸の下水道 2.下水管のしくみを知ろう・旧・居留地下水渠 参照)。
しかし当時の下水道は下水を処理せずにそのまま海や川などに放流するものであった。日本では、昔からし尿を農作物の肥料として使っていた。外国人居留地も含めて、肥料として農家に引き取られる時代が続いていた。しかし、明治時代にはいって人々が東京・神戸・横浜などの都市に集まるようになると、大雨によって家が水につかったり、流れないでたまったままの汚水が原因でコレラなどの伝染病が大流行した。そこで1884(明治17)年に東京の近代下水道、神田下水がつくられた(以下参考に記載の※[PDF] 近代下水道のさきがけ「神田下水」参照)。その後、1900(明治33)年 旧下水道法公布。当時の下水道は雑排水を排除する単なる排水管であり、水洗便所は許可が必要だった。そして、 日本で最初の下水処理場(標準散水ろ床法)として1922(大正11)年に三河島処理場ができた。(以下参考に記載の※三河島水再生センター参照)。
下水道が本格的につくられるようになったのは、第二次世界大戦後、産業が発達して、人口が都市に集中するようになってからのこと。昭和30年代になると、工場などからの排水等により、川や海の汚染が目立つようになり、公害が発生するようになり、公共用水域の水質汚濁が社会問題となり、下水道の整備が強く叫ばれるようになった。1967(昭和42)年開始の下水道整備五カ年計画ではじめて水質汚濁の解消がうたわれ、1970(昭和45)年の公害国会では、下水道法にも水質汚濁防止の目的が加えられた。さらに、下水道普及地区においては、水洗便所にすることが義務付けられ、下水道は処理場を持つこととされた。
現在の下水処理の中で、炊事や洗濯など一般的な人間の生活に伴って生じ、一般家庭から排出される汚水、つまり生活排水は、通常排水溝を通り、汚水処理場へはいるものもあるが、都会でない場合、そのまま川や湖などの公共用水域およびこれに接続する公共用水路・下水道などに排出される例も多い。工場排水のように一時に大量に出て、特定の成分が集中するものではないが、恒常的に排出され、個々の量は少なくとも、全体としては多量となる。
各々の排出源が小規模で、効果的な廃水処理が難しいため、結果的にはその影響は大きく、水系の富栄養化に大きく働く。従って、現在の水質汚濁の原因の7割近くは生活排水によるものであるとも言われるようだ。その主要な内容としては二つあり、ひとつは、生活雑排水と呼ばれる台所、風呂および洗濯等の排水で、食品の残渣、洗剤および衣服の汚れ等が含まれ環境負荷(BOD換算)で約70%。もう一つはし尿と呼ばれるトイレからの排水で、環境負荷で約30%であるという。
下水道は都市基盤整備の一環として多額の建設費を投じて整備され、完成後も維持管理や更新に多額の経費を要す国家レベルの公共事業であり、それゆえ先進国ほど普及率が高い傾向を示しているがその中で、日本の下水道普及率は2006(平成18)年現在で69.3%(下水道利用人口/総人口)となっている。)とかなりの水準を達成してはいるものの、先進国としてはまだ、低い値である(下水道処理人口普及率=イギリス97%、ドイツ92%〔いづれも1995年〕カナダ91%、フランス81%〔いずれも1994年〕アメリカ71%〔1992年〕)うえ、地域格差が非常に大きく、未普及地域における早急な整備が求められているという。因みに神戸市の下水道人口普及率は98、4%に達している。(日本下水道協会の水道の普及率と実施状況参照。)
その一方で普及率が高い都市部では、合流式下水道の改善、老朽化した管路施設の更新など、次なる課題が急務であり、その他にも大きく立ち後れている高度処理の導入や、産廃処分の逼迫する汚泥(下水汚泥)リサイクルの推進等々、多くの課題がなお山積している現状である。(以下参考に記載の汚泥リサイクルの新技術の現状と課題参照)
これから大きな問題として発生しそうなものは、今、高度経済成長期に整備してきた各公共設備などがすべて耐用年数に近づいているようだ。これからは、財政の逼迫している日本で、今までの設備のメンテナンスに多額のカネのかかる時代になったといえることだ。下水道等だけではない。橋や高速道路、色んな好況設備の老化がいっせいにすすんでいるのである。個人の家でも同じで、建設した後耐用年数がが来た時には、そのメンテナンスに、建設した時と同じくらい異常の費用が要ることは心得ておいたj方か良いね。
〔画像は、旧神戸外国人居留地「煉瓦造」下水道、1868年の神戸港開港時にイギリス人のJ.W.ハートにより設計・施工された。画像は、神戸市建設局HP「神戸の下水道 2.下水管のしくみを知ろう」より借用)
国土交通省
http://www.mlit.go.jp/
下水道 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8B%E6%B0%B4%E9%81%93
社団法人 日本下水道協会
http://www.jswa.jp/
ELC・ネット・環境用語集
http://www.eic.or.jp/ecoterm/?gmenu=1
東京下水道局サイトマップ
http://www.gesui.metro.tokyo.jp/sitemap.htm
資源循環情報システム・用語集
http://aichi-shigen-junkan.jp/yougo/y-gyo.html#top
水質汚濁防止法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S45/S45HO138.html
※汚泥リサイクルの新技術の現状と課題
http://www.recycle-solution.jp/shinki/dai3/08.html
※[PDF] 近代下水道のさきがけ「神田下水」
http://www.jsce.or.jp/journal/contents/knowledge/vol9804.pdf
外国人居留地 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%96%E5%9B%BD%E4%BA%BA%E5%B1%85%E7%95%99%E5%9C%B0
神戸の下水道 2.下水管のしくみを知ろう(神戸市建設局HP)
http://www.city.kobe.jp/cityoffice/30/031/cont02.html
旧・居留地下水渠
http://www.city.kobe.jp/cityoffice/30/026/isan-i/kyoryuuti.html
コレラ - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%AC%E3%83%A9
※三河島水再生センター
http://www.kanko.metro.tokyo.jp/machidukuri/toshikiban/sub04.html
「下水道の日」は、著しく遅れているわが国の下水道の全国的な普及(当時の普及率: 6 %)を図る必要があることから、このアピールを全国的に展開するため、当時の下水道を所管していた建設省(現在の国土交通省)が、1961(昭和36)年に「全国下水道促進デー」として制定されていた。
9月10日と定められたのは、下水道の大きな役割の一つである「雨水の排除」を念頭に、台風シーズンである210日を過ぎた220日(立春から数えて)が適当であるとされたことによるものであったそうだ。それから約40年が経過し、日本における近代下水道の基である旧下水道法が制定された1900(明治33)年から100年を迎え、その記念行事が行われたこと、また、2001(平成13)年が21世紀のスタートの年にあたることなどから、下水道に対する認識の高まり、より親しみのある名称として「下水道の日」に変更された。
下水道の整備の促進について、人々の理解と協力を呼びかける為に、この日の前後一週間にさまざまな行事が行われている。以下参照。
「下水道の日」における国土交通大臣賞(いきいき下水道賞)の表彰と「いきいき下水道フェスティバル」の開催について
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha06/04/040828_.html
下水道は、主に都市部の雨水(うすい)および、水洗式便所からのし尿や、家庭における調理・洗濯で生じる生活排水と、商店やホテル・町工場から大工場にいたる事業場からの産業排水(耕作は除く)などが汚水を、地下水路などで集めたのち公共用水域へ排出するための施設・設備の集合体であり、多くは浄化などの水処理を行う。
これらの個人や事業者が下水道を利用して自らの汚水を流し去ることを下水の排除と呼ぶが、この行為は、水質汚濁防止法で定める特定施設(事業場)からの公共用水域への排出、及び地下水への浸透を規制している。本法は適用対象で施設や排水量に条件があるなど、限定的な規制であるため、地方自治体の条例による「横出し規制」を認めている。また、全国一律で最低限の規制を定める趣旨であるため、同様に地方自治体の条例による「上乗せ規制」も認めている。」(「横出し規制」「上乗せ規制」は、以下参考に記載の「資源循環情報システム・用語集」参照)
また、排水方法によっては、下水道法や浄化槽法等の規制対象となることもある。水質汚濁防止のための規制体系は、これらの複数の方法の組み合わせによる複雑で総合的な規制となっている。
下水道の歴史は古く紀元前にまで遡るとはいえ、工学的汚水浄化は近代以降を待つ必要があった。
日本において、暗渠式(地下に埋設した)の近代下水道がはじめてつくられたのは、神戸や横浜にあった外国人居留地であった。居留地がつくられたところは海を埋め立ててつくられ、少しの雨でもぬかるみができるような場所であった。そこで、居留地に住んでいる外国人は貿易用の商品を浸水から守ることや住環境を少しでもよくしようと、当時本国でつくられつつあった近代下水道を積極的に取り入れようとした。そして、神戸外国人居留地では1868(明治元)年にレンガ製の卵形下水道がつくられ、横浜外国人居留地でも1869(明治2)年に陶管製下水道が規模が小さいながらもつくられた(神戸の下水道 2.下水管のしくみを知ろう・旧・居留地下水渠 参照)。
しかし当時の下水道は下水を処理せずにそのまま海や川などに放流するものであった。日本では、昔からし尿を農作物の肥料として使っていた。外国人居留地も含めて、肥料として農家に引き取られる時代が続いていた。しかし、明治時代にはいって人々が東京・神戸・横浜などの都市に集まるようになると、大雨によって家が水につかったり、流れないでたまったままの汚水が原因でコレラなどの伝染病が大流行した。そこで1884(明治17)年に東京の近代下水道、神田下水がつくられた(以下参考に記載の※[PDF] 近代下水道のさきがけ「神田下水」参照)。その後、1900(明治33)年 旧下水道法公布。当時の下水道は雑排水を排除する単なる排水管であり、水洗便所は許可が必要だった。そして、 日本で最初の下水処理場(標準散水ろ床法)として1922(大正11)年に三河島処理場ができた。(以下参考に記載の※三河島水再生センター参照)。
下水道が本格的につくられるようになったのは、第二次世界大戦後、産業が発達して、人口が都市に集中するようになってからのこと。昭和30年代になると、工場などからの排水等により、川や海の汚染が目立つようになり、公害が発生するようになり、公共用水域の水質汚濁が社会問題となり、下水道の整備が強く叫ばれるようになった。1967(昭和42)年開始の下水道整備五カ年計画ではじめて水質汚濁の解消がうたわれ、1970(昭和45)年の公害国会では、下水道法にも水質汚濁防止の目的が加えられた。さらに、下水道普及地区においては、水洗便所にすることが義務付けられ、下水道は処理場を持つこととされた。
現在の下水処理の中で、炊事や洗濯など一般的な人間の生活に伴って生じ、一般家庭から排出される汚水、つまり生活排水は、通常排水溝を通り、汚水処理場へはいるものもあるが、都会でない場合、そのまま川や湖などの公共用水域およびこれに接続する公共用水路・下水道などに排出される例も多い。工場排水のように一時に大量に出て、特定の成分が集中するものではないが、恒常的に排出され、個々の量は少なくとも、全体としては多量となる。
各々の排出源が小規模で、効果的な廃水処理が難しいため、結果的にはその影響は大きく、水系の富栄養化に大きく働く。従って、現在の水質汚濁の原因の7割近くは生活排水によるものであるとも言われるようだ。その主要な内容としては二つあり、ひとつは、生活雑排水と呼ばれる台所、風呂および洗濯等の排水で、食品の残渣、洗剤および衣服の汚れ等が含まれ環境負荷(BOD換算)で約70%。もう一つはし尿と呼ばれるトイレからの排水で、環境負荷で約30%であるという。
下水道は都市基盤整備の一環として多額の建設費を投じて整備され、完成後も維持管理や更新に多額の経費を要す国家レベルの公共事業であり、それゆえ先進国ほど普及率が高い傾向を示しているがその中で、日本の下水道普及率は2006(平成18)年現在で69.3%(下水道利用人口/総人口)となっている。)とかなりの水準を達成してはいるものの、先進国としてはまだ、低い値である(下水道処理人口普及率=イギリス97%、ドイツ92%〔いづれも1995年〕カナダ91%、フランス81%〔いずれも1994年〕アメリカ71%〔1992年〕)うえ、地域格差が非常に大きく、未普及地域における早急な整備が求められているという。因みに神戸市の下水道人口普及率は98、4%に達している。(日本下水道協会の水道の普及率と実施状況参照。)
その一方で普及率が高い都市部では、合流式下水道の改善、老朽化した管路施設の更新など、次なる課題が急務であり、その他にも大きく立ち後れている高度処理の導入や、産廃処分の逼迫する汚泥(下水汚泥)リサイクルの推進等々、多くの課題がなお山積している現状である。(以下参考に記載の汚泥リサイクルの新技術の現状と課題参照)
これから大きな問題として発生しそうなものは、今、高度経済成長期に整備してきた各公共設備などがすべて耐用年数に近づいているようだ。これからは、財政の逼迫している日本で、今までの設備のメンテナンスに多額のカネのかかる時代になったといえることだ。下水道等だけではない。橋や高速道路、色んな好況設備の老化がいっせいにすすんでいるのである。個人の家でも同じで、建設した後耐用年数がが来た時には、そのメンテナンスに、建設した時と同じくらい異常の費用が要ることは心得ておいたj方か良いね。
〔画像は、旧神戸外国人居留地「煉瓦造」下水道、1868年の神戸港開港時にイギリス人のJ.W.ハートにより設計・施工された。画像は、神戸市建設局HP「神戸の下水道 2.下水管のしくみを知ろう」より借用)
国土交通省
http://www.mlit.go.jp/
下水道 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8B%E6%B0%B4%E9%81%93
社団法人 日本下水道協会
http://www.jswa.jp/
ELC・ネット・環境用語集
http://www.eic.or.jp/ecoterm/?gmenu=1
東京下水道局サイトマップ
http://www.gesui.metro.tokyo.jp/sitemap.htm
資源循環情報システム・用語集
http://aichi-shigen-junkan.jp/yougo/y-gyo.html#top
水質汚濁防止法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S45/S45HO138.html
※汚泥リサイクルの新技術の現状と課題
http://www.recycle-solution.jp/shinki/dai3/08.html
※[PDF] 近代下水道のさきがけ「神田下水」
http://www.jsce.or.jp/journal/contents/knowledge/vol9804.pdf
外国人居留地 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%96%E5%9B%BD%E4%BA%BA%E5%B1%85%E7%95%99%E5%9C%B0
神戸の下水道 2.下水管のしくみを知ろう(神戸市建設局HP)
http://www.city.kobe.jp/cityoffice/30/031/cont02.html
旧・居留地下水渠
http://www.city.kobe.jp/cityoffice/30/026/isan-i/kyoryuuti.html
コレラ - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%AC%E3%83%A9
※三河島水再生センター
http://www.kanko.metro.tokyo.jp/machidukuri/toshikiban/sub04.html