うちの父親は、きょうだい以外からは相手にされず、会社にも居させてもらっているだけ
だったようだが、本人はその事もはっきりとは認識できていないようだった。
子供の頃から祖父に一方的にあれこれさせられているのみだったので、自己意識が発達しなかったからだろう。
進学校ではない高校に行ったり普通の大学に行っていたら、学生同士で話し合い、自分たちで何かを決めるなどで、
自己意識を発達させる機会がある程度あったのだろうが、高校は進学校でほとんどの生徒が大学に行くことを
目指していて、防大では24時間管理で教官に指示されて行動していたこともあり、
自己意識や主体というものを生成する機会がなかったのだろう。
そのため防大卒業時にも任官拒否など思いつかずに幹部候補生学校に進んだが、
そこではそれまでのように言いなりになっているだけではやっていけなく、
さらに他の一般大学から来た学生が退学しているのを見て、自分も退学したのだろう。
記憶力がいいので、様々な言葉や言い回しを覚えて使っていただけで、それを使う自己や主体というものを
持っていなかったようである。
こちらに対して「アルバイトしろー、友達を作れー」と大声で言ってきた時に、
こちらが「自分も友達居ないやん」と反論しても、「いっぱいいるよー!」と事実と違う内容を
大声で反論してきたが、そのあたりは臨床心理の渡辺あさよ氏が書いている、
「軽度発達障害におけるイメージと言葉の乖離」というものだろう。