青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

澄青の空の下。

2023年03月20日 17時00分00秒 | 秩父鉄道

(副本線進入@野上駅)

秩父鉄道の写真に戻ります。昨年春のPASMO導入に伴い無人化された野上駅の副本線に進入して来た鉱石返空。デキ301の牽引。寄居から始まって、波久礼・樋口・野上・長瀞・上長瀞・親鼻とこの辺りはどの駅にも副本線があって、貨物列車同士の交換や旅客列車からの退避が頻繁に行われています。現状では石灰石の運搬とその貨車の回送が7往復/日くらいのレベルで運行されている秩鉄ですけども、昭和50~60年代のピーク時には年間700万トンレベルで石灰石やセメントと付随する工業材料を輸送していた訳で、その頃はそれこそ夜中の2時くらいまで貨物列車が運行されていたらしい。セメント産業華やかなりし頃のお話。

冬枯れの秩父の山並みと、北関東の乾いた青空をバックに。いつもピカピカに磨かれた秩父鉄道の機関車は美しい。この光景がいつまでも続く未来を願うばかりなのですが、昭和56年に製造されたデキ507を最後に新造のない秩父のカマ。メンテナンスをしていれば比較的長寿命なのが機関車とは言え、先細り行くセメントの需要、そして老朽化する設備や車両。流石に新造するほどの設備投資はしないと考えた時に、じゃあ代替車両をどうするのかとなると、他の会社に機関車が余っている訳でもなく・・・同グループの三岐もそうなんですけど、現実を見ると設備投資って難しいですよね。JRから機関車を購入したりするのかしら。ED62みたいな手頃なサイズ感のカマはJRに残ってないですし。4軸のD級電機って、日本に限ると絶滅危惧種なんだよなあ。

斜陽差す。

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武甲西麓、影森の街。

2023年03月14日 17時00分00秒 | 秩父鉄道

(島式駅舎@影森駅地下道)

改札に繋がる地下道から。影森の駅は、以前はそこそこ風格ある木造駅舎が建っていた記憶があるのだけど、いつの間にか駅舎は取り壊され、駅舎の代わりに駅のホームにある詰め所が駅舎の役割を果たすようになりました。地下道の階段を上ると左が三峰口方面・右が熊谷方面のホームになっていて、その手前に券売機と改札があります。秩父鉄道のホーム上駅舎ってーと樋口が有名ですが、あの形が影森にも持ち込まれたことになります。

影森駅ホーム遠景。羽生・熊谷と並んで、列車の運行上の拠点になっていて、ここから三峰口方面に関しては極端に本数が減ります。旧荒川村方面の乗客数の減少が激しいようで、最近は改正ごとに列車の本数が減る影森以遠。直通もありますが、最近は影森止まり、影森乗り換えの列車も増えました。滞泊の車両も多く、宿直の職員も多いと見えて、ホームの外れでは布団が干されている。改札代わりの詰所のほかにもう一つ木造の建物がホームにあって、これがおそらく宿直室なのでしょう。

三輪鉱山へ続く構外側線(三輪線)の他に、かつては駅に接する昭和電工向けの貨物ホームや、セメント用の骨材を出荷した武甲線の跡が残る広い影森の構内。三輪鉱山で積み込みを終えた積載の鉱石貨物が、ゆっくりと三輪線の坂を降りて来ました。以前はここから先の武州中川とか三峰口でも貨物の取り扱いがあったようで、全線に亘り貨物列車の運行があった秩父鉄道ですが、現在ではここ影森が貨物取り扱いの終点となります。

建物の陰に雪残る影森の街。北関東の冬空と相似の色をした機関車が、三ヶ尻への出発を控えて暫しのアイドリングタイム。盃型のホッパー車であるヲキ100形に満載に積まれた三輪鉱山の石灰石。最近はセメント需要も落ち気味と見え、熊谷工場での生産ラインの動きもそう芳しいものではないと仄聞する。それでもこうやって、私鉄の貨物列車が定期でそれなりの本数が走っている事がとても貴重な鉄道風景。

古工場の破れかけたトタンの向こうに、鉱石を積んだ貨車の姿。武甲山迫る山峡の街でありながら、工業と鉱山の街であるのが影森。旧秩父セメントによる三輪鉱山の操業は大正14年に開始され、約100年の長きに亘ってこの影森を始めとする秩父の街の主要産業として現在も続けられています。この駅とこの街が好きで、何度も訪れてはブラブラしているのだが、何というかこう、物静かで押し黙ったままだけど、佇まいからして歴史を感じる街ですよね。

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貨物のスジとにらめっこ。

2023年03月12日 10時00分00秒 | 秩父鉄道

(波久礼桟道、残雪踏んで@波久礼~樋口間)

波久礼で7404レと交換した7105レ(たぶん)。501に続き502が牽引して来ました。この日は朝方の105が武川に戻って差し替えられちゃったみたいで、300・500が主力のラインナップでしたね。波久礼の駅は駅こそ鄙びて小さいですが、鉱石列車のダイヤ上は長時間停車や交換があったりして重要な駅です。3月半ばにまた秩鉄もダイヤ改正がありますけど、今回の改正で日中の長瀞行きが増えるらしいので、貨物のスジとかどうなっちゃうんでしょうね。何となく理解したかなあ、と思ったら変わっちゃうのが秩鉄の貨物のスジなので・・・(笑)。

貨物のスジをちゃんと理解しておくこと。好きなカマを追い掛けたいなら必須だし、こんな感じで波久礼のバカ停を使って7404レを駅の前後で2回撮りする事も出来たり、いずれにしろ効率の良い撮影が可能です。まあバカ停ってったってそんなに遠くまで行けるほどは停まっててくれないので、駅の前後で一発ずつくらいのものですが・・・また撮っちゃったよ肉のみねぎしポイント。

すんごい感覚的なものですが、秩父の鉱石貨物でバカ停があるのは寄居・波久礼・長瀞で、微停車があるのが樋口・和銅黒谷って感じだろうか。熊谷~寄居間の本数が増えているので、武川から寄居までで長時間停車しているイメージはあまりない。いずれにしろ鉱石貨物は3月上旬で早々にお休みになってしまったので、4月以降の新ダイヤでどうなっているか?が気になるところではあります。

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「クルマに注意」の、波久礼チャレンジ。

2023年03月10日 17時00分00秒 | 秩父鉄道

(波久礼チャレンジ、成功・・・か?@樋口~波久礼間)

秩父鉄道の中で、唯一積載の貨物が南に向く線形になる波久礼周辺。曲がりくねって流れる荒川に沿って続く隘路に好撮影地が続いている秩鉄屈指のポイントなのですが、特にこの波久礼手前の国道と並行したSカーブは、長い編成をくねらせて鉱石列車を躍動感いっぱいに構図に収める事が出来る人気の場所。しかしながらここの構図の一番の問題点は並行する国道140号のクルマの流れ・・・。関越自動車道の花園ICに接続し、古くから秩父往還として熊谷から秩父を結ぶ埼玉県内の東西の大動脈であるこの道の交通量はハンパなく、加えて秩父から出荷される砕石やセメント製品を積んだ大型ダンプやタンクローリーの通行も多いため、撮影の難易度がけっこう高い。通過する鉱石列車とクルマの列が被る事は珍しくなく、むしろクルマがいない状況が難しいんですよねえ。よって、ここで撮る事を個人的には「波久礼チャレンジ」と呼んでおるのですが・・・チャレンジにも2パターンあって、線路側にカブリツキで正面気味に決めるS字と、国道を挟んでスクエア気味に構える構図があるのだが、より難易度の高いのはカブリツキかなと思う。

最近、この国道140号に沿って歩道が拡幅され、大きなガードレールが敷設された波久礼のSカーブ。以前は結構国道の幅の狭いところで三脚と脚立使ってこのアングルを組む人が多かったんですよね。正直ハンドルを握るドライバーからしたら危なっかしいことこの上なかったのだけど、歩車分離がなされてだいぶ安全面は向上したと思われる。ここでは三脚を立ててカッチリ構図を作るより、走ってくる車を交わしながら手持ちで。やって来たデキ502の7404レ。順光!下回りピッカピカ!両パン!クルマなし!(というのは嘘でちょっと左下をトリミングして消してますw)の四方良しで、雪残る波久礼の桟道を駆けて行きました。

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矢那瀬、雪は足早に消え。

2023年03月08日 17時00分00秒 | 秩父鉄道

(輝く一灯車@波久礼ストレート)

雪晴れの波久礼ストレートは大盛況。入り場所もないのに混み入った撮影地に割り込む趣味はないので、いつもの波久礼ストレートとは違う場所で。ツリカケ音も高らかに登場したのは最若番のデキ102。キレイに縦構図で詰められるのはいいのだが、R140のガードレールが入ってしまうのが難点。これだったら普通に波久礼ストレートの後ろ上段(国道俯瞰)で撮れば良かったか・・・せっかくの一灯車(デキ100)だったのに、少し勿体ない事をした。

足元の雪、波久礼辺りでは秩父よりは薄く、そして暖かいせいもあってどんどんどんどん消えて行く。長瀞行きでやって来た5000系。最近のダイヤ改正で発生した長瀞行き、5000系で見るのは初めてかも。雪上がりの波久礼ストレート、よく見れば家並みの庭先にホロリと綻ぶ紅梅の花。春が僅かに忍び足で近付いているような雰囲気がありましたね。

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