青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

またの登場を願って

2018年07月24日 20時29分13秒 | 大井川鐵道

(崎平の集落を行く@崎平~青部間)

EL急行の復路。木製の架線柱が並ぶ青部の集落でアウトカーブから狙ってみましたが、午後になって天気は曇りベース。直射日光の暑さからは逃れられたものの、空気だけは余計にむわっとした大井川流域。いっそのことドカッと夕立ちでもあれば空気も入れ替わるのだけど、最近の夏はただ暑いだけで夕立ちもないですよね。そういう意味では情緒のない暑さ、と言い換えることも出来るかもしれませんが。


あ、そうそう。最初は青部の駅の周辺で撮ろうと思ってたんだけど、長らく建設中だった青部バイパスが開通して駅の周辺の雰囲気がガラッと変わっていました。前は徳山から崎平って大井川の北側の細い国道をグルっと回るか、青部の集落のクソ狭い道を通るかしかなかったんだけど、青部の西側の山をトンネルでぶち抜いて藤沢橋を渡るルートは体感で15分以上の時間短縮となります。


地名の索道覆いを抜けて来るEL急行。たかだか客車2両の牽引ですが、意外に編成の後ろまで抜くのって難しいね。このEL急行、千頭を出ますと停車駅は駿河徳山、川根温泉笹間渡、家山、新金谷、金谷。新金谷で補機の付け替えがあったりするので、急行と言えども電車で運転される普通列車よりも時間が掛かるのはご愛敬。この鉄道を訪れる人に、その時間をとやかく言う人はいないでしょうけど。


このEL急行、本来であれば電車で運転される予定だったものの、旧十和田観光の東急7200系が検査入りのためやむなく登場した列車です。電車の不足を、電気機関車と旧型客車で補うというのはいかにも大井川鐵道らしいなあというか、大井川以外では出来ない荒業という感じなのですが、機関車牽引には機関士2名、金谷~新金谷間で補機増結のためプラス機関車1両と機関士1名が必要で、手間も人もそこまでかけていられない、というのが実情のよう。

夏休みに入り、トーマスSLに加えジェームスも登場し、休日はSL3往復体制になります。そうなると、乗務員の手配に加えて客車の手配もままなりませんで、とてもじゃないけどEL急行を走らせる事は難しいそうです。意外なところから人気が爆発したこの西武EL+旧客のコンビが再び見られる日は、少なくとも夏の書き入れ時が終わってからになりそうです。
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家山川爽夏

2018年07月21日 22時00分00秒 | 大井川鐵道

(大井川夏の風物詩@大和田~家山間)

今回の訪問ではEL急行の陰に隠れた形となってしまいましたが、大井川鐵道の夏と言えばSLトーマス号。今年も直近の予約状況は既にいっぱいとその人気は根強く、すっかりこの時期・この地域の風物詩として定着してきた感じもあります。子供の興味はどちらかというとこっちなのかな?名物の桜並木を抜け、トーマス号が家山川の鉄橋に姿を現しました。


水遊びに興じる子供たちの上を、物語の中の機関車が駆け抜けて行く。この時ばかりは子供たちも水遊びの手を止めて、トーマスに向かって精一杯の喝采とエールを送ります。足元を家山川の水しぶきで濡らしながら大きく青空を煽って撮影したカットは、実に夏らしい一枚になりました。
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川根両国夏景色

2018年07月20日 22時57分36秒 | 大井川鐵道

(「林鉄」の香り高く@川根両国駅)

「EL急行」の間合い運用で訪れた井川線の川根両国駅。井川線の運行を司る両国車輛区を持ち、構内にはちょっとしたヤードがあって工事用のトラなんかが転がっています。春は満開の桜の古木に包まれる駅ですが、今や夏の盛りに青葉を繁らせ、緑のトンネルを作っています。夏草が覆う林鉄のヤードに、閑蔵行きの列車が入って来ました。南アルプスの急峻な渓谷に沿って切り開かれた井川線の線路ですが、昨今激甚化する大雨や台風の土砂災害によってここのところ毎年のように不通区間が出ており、千頭と井川の間の通し運行が出来たシーズンが本当に数えるほどしかない。今年もGWに閑蔵の先が崩れてしまって、現在も閑蔵~井川間が不通のままです。


珍しく川根両国で下車するお客さん。見たところチョイ乗りの家族連れの観光客っぽい。千頭から川根両国の間は歩いても20分程度ですし、駅横の吊り橋でも渡って時間を潰せば川根小山で交換してくる上り列車が30分後には来るので、トロッコ列車を愉しむにはダイヤ的にもちょうど良い塩梅かもしれません。そう言えばいつの間にかDDがスハフと同じ濃い目のクリーム色になりましたね。最近本線ばっかりで井川線まで足を伸ばしてなかったから分からんかったわ。

ちなみに、今のところ閑蔵~井川間の復旧の見通しは立っていないそうです。最近は仕方ないと思うにはあまりにも自然災害が多過ぎますよね。この度の西日本豪雨では山陽・伯備の幹線の他にも中国山地のローカル線が大きな被害を受けましたが、傷めつけられた鉄路を「復旧の費用負担が」というお題目でこれ幸いと廃止に向けての口実とも捉えかねない動きも目立ち始めています。道路の復旧にかける熱意とスピードの、ほんの一部だけでも鉄路に向けてはいただけないものでしょうかね。
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夏燦々

2018年07月18日 17時58分23秒 | 大井川鐵道

(七曲りを行く@地名~塩郷間)

大井川の中流部が大きく蛇行する通称「鵜山の七曲り」。暴れ川である大井川が削り取った、大きく広い河原の横をEL急行が行く。病的な猛暑と言っても差し支えないほどの暑さの中、非冷房の旧型客車に揺られる旅はいかがなものだろうか。小窓の続くスハフ43の側面はもちろん全開、川風に涼を求めるにしてもさすがに堪えたのではないかと思われます。


駿河徳山の駅で普通列車と交換待ちのため小休止。交換シーンを撮影しようと乗客のマニアが下車してホームは大きな賑わいを見せます。惜しむらくは進行方向のパンタグラフを上げて欲しいのですけど、行きも帰りもパンタは後ろ側&片パンです。SLの補機で入る場合も使用するのはだいたい進行方向と逆側の片パンなので、何か理由があるのかもしれないけど。


交換列車の近鉄16000系が進入して来ました。最近は南海ズームカー21000系に南海当時の丸型円盤の「急」マークとか付けたりして人気ですけど、日中の普通列車は近鉄2編成だけでしたね。前照灯に光が入って、EL急行が発車のスタンバイ。乗務員氏がホームの乗客を車内に戻るよう案内します。


さあ、ラストスパート。発条転轍機をガチャンと押して、夏燦々とした光の下を、E34牽引の急行列車が終着駅の千頭へ向かいます。
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7年間の雌伏

2018年07月17日 17時00分00秒 | 大井川鐵道

(地図にない橋@大井川水路橋)

駿河の国の大河たる大井川。大井川流域では、国道1号の新大井川橋から上流は家山の駿遠橋まで約15kmに渡って一般道路橋がありませんが、そんな不便を解消する一助として金谷側の横岡と島田側の神座に架かる水路橋が一部車両用に開放されています。EL急行を追い掛けるのに、どのみち家山より先でないと追い付かないだろうって事で地蔵峠をパスして水路橋から神座方面に。広い広い大井川の河原を細い水路橋で渡って行く感じは、ちょっとスリリングな感じもあってなかなか楽しい。幅員が狭く時間を区切っての一方通行となっているので、ご利用の際は時間をよく確認していただきたいところ。


神座から新鍋島トンネル経由で対岸を回り、川根大福の美味しい加藤菓子舗の辺りで対岸の獅子抜里を走るEL急行を子供が発見。抜里から第一橋梁を見通すSLの見える丘公園へ。一眼を担ぎ出して手持ちのランガンスタイル。SLの見える丘公園と言う割には整備が行き届いておらず、背丈を越える雑草に見通しを遮られるため、脚立利用で雑草を交わす。強い日差しに草いきれも匂い立つような、夏の抜里界隈を。


EL急行の先頭に立つE34。思えば「旧型電機の更新」を目論んで2010年に西武からE32・33・34の3両の電気機関車を貰い受けたはいいけども、昨年までずーっとこの機関車は放置プレイの状態でした。もちろん、車籍を入れて営業運転に投入するまでの間に所轄官庁の審査や認可、検査など紆余曲折があったのだろうと思われます。過去のフォルダをひっくり返したところ、千頭駅に留置されたE32~34(2011年秋)を撮影していましたが、私なんかとっくに復活を諦めたものとばかり思っていたので、昨秋の復活運転のお知らせにはビックリしたもんです。


コトンコトンという優しい車輪の響きを川根路にたなびかせつつ、列車はそのまま第一橋梁へ。蕎麦粒山へ続く南アルプスの前稜を遥かに仰いで、青い客車2両のプリミティブな編成が大井川を渡って行きます。E34とE32を復活させ、E33は部品取りとしてサポートに回る体制のようですが、EL牽引の列車がこれほどまでに人気になるとは大鐵サイドも想定外だったかもしれないねえ。あくまで検査に入っている十和田お下がりの元東急7200系が出てくるまでの暫定措置という事だそうですが…

「好評のため」の延長戦を、期待しておきます(笑)。
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