青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

心ぬくもり 暖かく

2016年01月23日 00時26分23秒 | 長野電鉄

(霜降る朝の高社山@上条~夜間瀬)

湯田中に宿を取り、温泉にも入り、初めての親子旅をすっかり満喫した翌朝。ホテルの朝食を取り、少しは部屋でゆっくりするのかと思いきや、子供は「早く乗りに行きたい」と言うので早々に荷物をまとめる(笑)。正直ロビーでコーヒーでも飲んでゆっくりしてたかったんだが…この日は全くのノープランで、夕方までに東京に帰れればいいやくらいにしか思ってなかったため特にアテもなく湯田中から電車に乗ってしまった。


車の旅ではないので、まずは延徳まで行って3Bゆけむりからスタート。雪こそなけれども、さすがに信州の朝の冷え込みは関東のそれとはモノが違いますね。朝の光にキラキラ輝く延徳の里を走るこの3Bは、須坂発の信州中野止まりというショートトリップ。出区と中野への送り込みで客扱いしているような運用なので、僅か15分で到着してしまいます。

  

小布施へ先回りして4Aの入線。小布施と言えば「ながでん電車のひろば」で先代の特急車である2000系が眠っている。平成17年のゆけむり導入以降一線から退いたものの、平成23年までの約5年間は朝晩のB特急は2000系、昼間のA特急はゆけむりという分業体制が続いていました。何やかんや趣味的にはこの時代が一番いい時代だったなあ。

  

小布施から乗り込んだ我々二人、信州中野から前展に座っていた初老のご夫婦に最前を譲られる(笑)。ありがとうございます。どっちかと言えば撮りたい私と、どっちかと言えば乗りたい子供。そこらへんの折り合いを付けつつ下車したのは権堂。長電の地下駅と言うのはなんとも濃厚な昭和の地下鉄っぽい雰囲気を残していて素敵だ。昔の銀座線の京橋とかあーいう雰囲気がある。

  

子供がトイレに行きたいと言うのを我慢させて朝陽まで。長電の複線区間の終端駅。昔はラッシュ時に朝陽折り返しとかの列車があったらしい。長野市街地の駅で利用者も多いですが、そのナリは昔のままと言うか。木造の駅舎、待合室の格子窓、ごちゃごちゃと掲示された広告の中に残る、味わい深い昭和っぽいフォント。駅員さんが初春の雰囲気を出そうとささやかにデコレイトされた飾り棚。

  

行き交う電車は8500系になっても、この駅には古き佳き郊外電車の雰囲気がそのまま残っている。構内踏切を渡って長野行きを待つ乗客たち。単線区間の入口になるのでこの駅では交換シーンも多く、8500系同士がエールを交わして走り去って行きました。

 

この日は晴れのち雪と言う極端な天気予報が出ていた長野地域。トイレを無事済ませ、子供と散歩がてら朝陽田んぼに出て来ましたが、普通にいい天気ですねえ。やって来たのは須坂発の特急ゆけむりのんびり号の送り込み回送。半逆光で展望席のシャープな角度が浮き上がるような。

 

7Aゆけむりは順光で。朝陽のストレートでは飯縄山をバックにやりたかったんだが大きく雲がかかってしまってちょっと消化不良。柳原で7Aと交換して来た524レは鯨3両のL2編成、8500系が一本入場しているための代走だとか。3500系列の3連はこの一本だけのレア編成ですが、動いてるのを久しぶりに見たねえ…


N7編成が附属中学校のポプラ並木をバックに。長野オリンピックを前にした輸送力増強を名目に、日比谷線の3000系は40両近くが長野電鉄へやって来ましたが、木島・屋代の路線廃止と東急8500の導入、そもそもの経年劣化によってその姿は徐々に少なくなっております。こうやってちょくちょく調査捕鯨をやっとかないと、いつの間にやらいなくなってたなーんて事もありそうで。

 

そして附属中学前から電車に乗って桜沢へ。ここでのんびりゆけむり&8Aゆけむりの交換があります。本当だったら駅から高台に登って俯瞰をやるのがスジかと思われますが、子連れでもあるので自重(笑)。のんびりゆけむりはスジの寝た観光特急なので、車内ではワインなんぞを楽しみながらそれこそまったりと冬晴れの善光寺平を楽しんでいる模様。乗客の皆さんと一緒に、ゆけむり同士の交換シーンを。普段はないのでこれはアガるよねw


桜沢からちょっとのんびりゆけむり号にお邪魔して、信州中野へ。金ボタンのジャケットを着込んだ駅員氏ががわざわざホームまでお見送りに出られていました。普段の列車ならここまでやらんよねえ。子供と一緒にのんびりゆけむり号を見送っていたら、この駅員の方が子供に制帽を貸してくれて写真を撮らせてくれましたよ。今年は暖冬ではあるけれど、心のぬくもりはより暖かいものです。


駅前で食事でも…と思ったんだけど、駅前にめぼしい店がないので駅ビルのミスドで子供とほっと一息。駅の跨線橋から飯縄、戸隠、黒姫、妙高、斑尾と、北信五岳の数え方を子供に教えてたりしてたら時間が過ぎた。さっき子供に制帽を貸してくれた駅員さんに声をかけられて、長野行きのA特急がスノーモンキーで来ることをご丁寧に伝えてくださいました。
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幸せな45分

2016年01月16日 22時19分31秒 | 長野電鉄

(お手製路線図@長野電鉄長野駅)

長野駅から早速エスカレーターで地下に降りて、長野電鉄の改札口までやって来ました。もはや何回目の訪問か数えるのも面倒になって来ましたが、ある意味勝手知ったる鉄道会社としてもはや身近に思える存在になっています(笑)。週末パスは長野電鉄も乗車出来るからいいよねえ。湯田中まで往復すると2,320円かかるんでねえ。あんまり損得勘定で話すのもアレだけどお得なんじゃないかなって。駅の窓口横に掲示してあったお手製路線図のPOP、昔はこんなのなかったと思うんだけど、鉄道の現業職の中にも最近は女性的な感性が目に付くようになりました。夜間瀬駅が猫駅長と言うのは公式見解なんですね(笑)。

  

券売機で100円の特急券を購入し、長野電鉄の長野駅地下ホームへ。小さいながらも2面3線の頭端式・櫛形のターミナル的配線です。まーだお目当ての列車は入線してませんけど、ガッツリ前展取りたいから並びますよ。先発の信州中野行きはおなじみの鯨2連、少し前のダイヤ改正から長野~湯田中の直通の普通列車はなくなって、基本的には信州中野か須坂までになりました。日比谷線から平成5年にやって来た3500系も長野でだいぶ長くなりまして、トータルの車歴が50年選手になった個体もいるとか。そろそろ後継の車両の噂が聞こえて来そうな気配だねえ。


わざわざ勿体付ける必要もないけれど、長野電鉄の「特急ゆけむり」こと元小田急10000系のロマンスカーHiSE。この前面展望席(最前列)を取るためにわざわざ発車30分前に長野駅の地下ホームに降りてウダウダやってる訳です。ゆけむりも長野に移ったのが平成17年だから今年で移籍10周年のメモリアルイヤー。本家からは消えたあのワインレッドのロマンスカーが、まだまだ元気で活躍しているのが嬉しい限り。

  

中線に12Aゆけむりが到着し、折り返しての長野15:37発15Aゆけむり。時間帯的にも今宵の宿を湯田中温泉・渋温泉方面に取っている温泉客にはちょうど頃合いのダイヤ。そして日本人以上にNAGANOに目立つ海外勢の姿…善光寺や小布施の街並み、そして地獄谷温泉のスノーモンキーと志賀高原。豊富な沿線の観光資源をバックに、昨今話題のインバウンド需要にも弾みがついているようです。そして海外勢を抑えてガッチリと最前列を確保した我々親子w

  

定刻に長野駅2番ホームを発車した15Aゆけむり。地下線内の権堂を出るとあっという間に地上に出て、長野市の北側の市街地を東へ。傾き始めた冬の陽射しを浴びて、キラリと光る8500とは信濃吉田の手前で交換。

  

朝陽で複線区間が終わると、附属中学校前までは名撮影地の朝陽田んぼ。附属中学校のポプラ並木の向こうに遠く見遙かす万座方面の山並みがきれいですねえ。村山橋で千曲川を渡ると、長野電鉄の運行の中心を司る須坂で上りの14Aスノーモンキーとすれ違い。まあ、何度も乗った区間であるのでこちらとしては目新しさはないのだけど、それだけに隣の子供に見どころとポイントをしっかり解説してあげられたのが良かった(笑)。

 

展望席から眺める長野盆地の風景。小布施を過ぎ、都住のストレート。タタン、タタン、タタンと言う連接台車特有のジョイント音がいいんだなあ。すっかり晴れ渡った空の下を信州中野へ。一番左側はかつての木島線ホームですが、ずーっと昔に一回だけ乗車したことがあります。夏の暑い日だったなあ。非冷房の鯨が窓全開、乗客は2~3人しかいなかったと思う。

  

信州中野から線路は大きく右にカーブし、いよいよ湯田中への上りにかかります。真正面にはうっすらと雪を纏った高社山、本来であればこの時期は雪で覆われていなければならない扇状地のリンゴ畑の中を、フランジ音を響かせて右に左にスラロームしながら上がって行く。信濃竹原で中野~湯田中の区間列車と最後の交換。夜間瀬川の橋梁から志賀高原の山々。

 

湯田中と中野の街を分ける箱山に、夕日が今まさに沈もうとしています。最後の光が照らす夜間瀬のリンゴ畑、今日は乗り鉄だけど、実にいい光を浴びて山ノ内の風景の中を走っているこの日のゆけむり号の姿を、ぜひカメラにも収めておきたかったねえ。上条を通過して夕日は山の端に沈み、まさに物語の幕が下りたという感じで13Aは湯田中のホームに滑り込みました。

  

「美わしの志賀高原」の流麗な古賀メロディーが響くホーム、華やかな特急列車は暮れなずむ湯田中の駅に。温泉客を迎える宿の従業員、海外勢に向けて手書きのメッセージボードを掲げてのお出迎え。いつの間にやら長野電鉄も国際色豊かになったものですが、二階建て吹き抜けの明かり取りの窓の連なり美しく、湯田中の駅の佇まいは変わらず。使われなくなって未だに昔のまま、ホーロー引きの看板残る旧ホームの雰囲気が好き。


残照の高社山をバックに。長野から小一時間、街から山へ美しく景色移ろう様を眺め、子供も満足のゆけむり号の旅。これが100円の特急券で乗れるのだから何とも太っ腹な話だ。小田急のロマンスカーも近年はMSEの増備ばかりで正直面白みがかけてきた感じもするんだけど、HiSEは長野で、RSEは富士急で、それぞれ第二の人生を送れているし、こうして会いに来ることが出来る。そのありがたさに感謝しなきゃいけませんなあ。


それと同時に、製造から30年近く経ってもこの車両たちが持っている華やかな魅力って言うんですかねえ…やっぱ小田急沿線民にとってロマンスカーの「展望車」って思い入れが違うんよね。その中でもスタイリッシュで一番ロマンスカーらしいロマンスカーと言うイメージが強いHiSEが好きだったからねえ。今も元気でいる事と、色褪せる事なくファンを引きつけてやまない事、改めて感じた幸せな親子の45分でありました。
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三セクが 分かつ国境 雨と晴れ

2016年01月15日 23時39分27秒 | ローカル私鉄

(大屋根の下のホーム@直江津駅)

鉄道の街・直江津が誇るB級グルメ、つかそばこと塚田そば店を辞し、再び子供と雨の直江津駅に戻ります。ここからは旧信越山線の旅、昨年は三セク転換前のギリギリに訪れてその去り行く光景を切り取りましたねえ。行き交う列車は変わっても、どっこいホームの大屋根だけは雪国の駅らしくどっしりと。古レールを曲げ、角度を付けた屋根を乗せたシンメトリカルなスタイルで私たちを迎えてくれました。

  

ちょっと前までは115系天国だった上信越地区ですが、「妙高はねうまライン」に変わってからはE127系が来るようになったんですね。以前は生息地域が新潟近郊のローカル短区間運用みたいなイメージでしたけど…13:14発の妙高高原行きは、糸魚川方面からの列車の接続を受けての発車。こちらに至ってはJR西の521系っぽいデザインのディーゼルカー。電車のデザインをそのまま気動車に持ち込むなんて、東海のキハ25のマネをしなくてもよかろーもん(笑)。旧北陸本線の「日本海ひすいライン」を走る車両が架線があってもディーゼルカーなのは、途中にある糸魚川付近の交直切り替えに対応する電車を作るのは乗客の流動数から考えて高コストに過ぎる、と言う割り切った結論に寄ります。


直江津から高田、上越妙高から新井にかけては上越平野の都市部を走るため、結構な乗車率で走っていくE127系の2連。特に地元の高校生の利用が目立ちます。ジャージとバッグを見ると県立新井高校みたいですね…引田天功の後輩か。新井で乗客の8割方を降ろした電車は身軽になって信越国境への坂道を登り始めますが、車内は暖かいし、お腹も一杯だし、朝も早いしで子供がウトウトし始める(笑)。しかしながら、そんな子供を容赦なく叩き起こして二本木のスイッチバックをしっかり見学させる鬼のような父親なのであったw

 

妙高高原で反対ホームに停車していたしなの鉄道の長野行きにお乗り換え。しなの鉄道色を身に纏ってはおりますが、こちらは勝手知ったる115系。そしてほどほどにガラガラでいい感じです。正直な話ですが、別に妙高高原で乗客の流れが変わる訳でもないので長野~直江津間は列車を直通させるべきだと思うよ…。三セクの縦割りと言ってしまえばそれまでだけどさあ。


妙高高原を出た列車は、関川の谷を詰め雪の黒姫へ。それでもまだこの時期の黒姫で線路の下のバラストが見えているんだから今年の冬将軍と言うやつはてんでやる気がない。そして古間、牟礼、豊野と鳥居川に沿って斑尾の南麓を降りて行くうちに、長野盆地ではすっかり晴れ上がっていたのでした。あら、いい天気。


長野駅到着。善光寺御開帳と北陸新幹線開通に合わせて改築され、とってもキレイになりましたねえ。凄く個人的な話なんですが、長野に来るとサマランチ会長の「ナガ~ノ?」というオリンピック開催地発表の際の独特なイントネーションをいつも思い出してしまいます。もうあれから18年ですか…。ちょっときれいになった長野駅の中でもブラッとしてみたいけれど、先に用事もありますのでとっとと地下に降りてしまいますよ。長野の駅で地下ってーともうアレしかないのですけど、とりあえず次回へ続く。
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中華ではなく、中か

2016年01月13日 23時14分22秒 | JR

(直江津民のジモフード@かけそば つかだ)

北越急行で直江津に到着したのがちょうどお昼。朝早いのと興奮もあったのか、何も食べずに家を出て来た子供もさすがに「お腹がすいた」と言いはじめた。直江津周辺でいくつか食事の出来そうなところを下調べしていたのですが、雨も降っている事だし、駅から近い「かけそば つかだ」へ。駅にも立ち食いソバはありますが、こちらは地元の人間で知らないのはモグリと言って差し支えないほど直江津民に愛されるそば屋さんなんだとか。


ちょうどお昼時と言う事もありますが、店内は上越の老若男女がひしめきあって満員の盛況で、人気店である事がうかがえます。子供と一緒に食券を購入し列に並びますが、混雑をしていても基本的には食ったらさっさと出て行く客筋が多いので回転が速いのがいいところなのかもしれません。


カベに貼られたおしながき。いわゆるどこにでもあるようなスタンドそばのメニューなのですが、「うどん・そば」に加えて「中か」と言うのが異彩を放ちます。この「中か」こそこの店の名物であり、直江津民が愛してやまないメニューなのだとか。しかも天玉食っても310円って言うのがこのご時世にとってもリーズナブル。箱そばで天玉とか頼んだら余裕で400円超えちゃうし(笑)。


子供はオコチャマなんで玉子そば(笑)、オトーサンはせっかくなので名物メニューのかけ中か。そして二人で分け分けして食べるのにカレーライスも頼みました。かけ中かも玉子そばも揚げ玉と刻みネギが結構てんこ盛りになって乗って来ます。その名の通り、麺がソバじゃなくて中華麺の上からちょっと薄めの甘いツユがかかった「かけ中か」。ゆで麺なんでコシはありませんが、昔懐かしいソフト麺的なプリプリした食感が面白い。普通立ち食いソバ的な店って急いで食う客が多いから麺を食わすためにツユを濃いめにするところが多いんだけど、この麺だと濃いツユは合わないんだろうなあ。ちょっと甘めの薄味ツユに、たっぷり揚げ玉が入る事で物足りなさを補ってバランスが取れているというか。


店の暖簾の向こうには直江津運輸区の建物。元々は駅の中で営業していた店だったそうなのだが、20年前に現在の位置に移転したらしい。明治の初期の時代から日本海側の交通の要衝として栄え、多くの鉄道職員が従事していた直江津駅ですから、地元の人のみならず旅人や鉄道関係者に長年に亘って「安くて・早くて・美味しい」を届け続けているこのお店も、鉄都・直江津を陰で支える鉄道と縁の深いお店なのではないかと思う訳です。

鉄道員(ぽっぽや)の そばにいつもの 塚田そば
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男二人で旅に出た

2016年01月11日 06時03分49秒 | JR

(回って来ました@週末パス)

えーと、新年早々今年小学生になる子供と一緒に、関東甲信越を週末パスで回って来ました。主な目的は「子供料金がかからないうちに子供を新幹線デビューさせてやる」という極めてセコい(笑)理由だったのでありますが、親子での二人旅も今回が初めてと初めてだらけでしたけど、楽しんでいただけたのかどうか。

  

子供連れ、乗り鉄中心となると始発で出掛けてってガッツリといういつものパターンは使えませんのでね。それでも朝6時に子供を叩き起こして出掛けます。東海道線が蒲田の人身で止まってていきなり出鼻をくじかれましたが、横須賀線に切り替えて予定よりは5分遅れ程度で済みました。東京駅の新幹線ホームってなあ色んな新幹線が来るもので、それだけで子供は大喜び。自分らの世代でいうところの上野駅でL特急が頻繁に発着しているのを見て興奮しているのと同じなんでしょうね。時代は変わる。


子供としては「はやぶさ・かがやき・こまち」のいわゆるE5~E7系の新世代新幹線が第一希望だったのでしょうが、そもそも全車指定席の列車は子供がタダにならないのでハナっから除外。すまん。自由席狙いで三連休の初日の朝の下り方面でいちばん空いてそうな方面と言う消去法で考えると、上越新幹線一択しかなかった(笑)。E4系Maxとき307号で、しゅっぱーつ。

  

上越新幹線に乗るのも久々。E4系Maxは2階席に乗ると防音壁に邪魔されずに眺めを楽しめるのでこれはこれでいいもんですね。乾いた冬晴れの関東平野を北上、進行方向の左側には独特の山容を見せる妙義山や榛名山の眺望も楽しめました。高崎の先で左に北陸新幹線を分けると眺望は終了して、榛名・中山・そして大清水の長大トンネルを繋いで県境を越えて行くのですが、ただただ轟々と暗闇の中を走るだけのこのトンネルにも新幹線建設という国家プロジェクトを転覆させかねない相当な難工事があった事は子供にしっかりと伝えておきました(笑)。

  

カラッと晴れた関東平野を後に、大清水トンネルを抜けると越後湯沢は雪。隣に座っていた老夫婦は「走ってるのは新幹線になったけど、川端康成の時代と変わらないのね」なーんて情緒のある話をしておりましたが、まずはここでお乗り換え。ホームに降りるとさすがに寒い!ボードを抱えたスキー客がガーラ湯沢行きのMaxたにがわへ乗り換えて行きます。ちなみに越後湯沢~ガーラ湯沢の特急券は100円。

  

越後湯沢駅の在来線ホーム。しのつく雪に係員氏がホームの除雪準備を始めておりましたが、それでもこの時期の越後湯沢としては相当雪が少ないんではなかろうか。子供は久々の雪にちょっとはしゃぎ気味です。ホームに長岡行きの115系新潟色が到着しましたが、何の変哲もない光景を雪は何とも旅情あふれる光景に変えてくれるように思います。雪って魔法だよね。

  

越後湯沢からは北越急行線直通の直江津行きに乗り換え。直江津までは1時間半の道のり。東京~金沢間の最速ルートの一翼を担った北越急行、北陸新幹線の開業に伴いドル箱だった特急「はくたか」の収入源を失って、今後は地域間輸送に命運を託しての再出発。さすがに三連休なのか、十日町・まつだい付近のスキー場に向かう小学生の団体が乗り込んで車内は満員。

  

六日町で上越線と分かれ、ほくほく線内に突入すると列車は一気にスピードを上げて、東頸城丘陵を真っ直ぐ貫く長大トンネル群に入って行く。すると、にわかに車内は暗くなり天井にはプラネタリウムが如き映像が!子供たち大歓声。これがほくほく線「ゆめぞら号」のサプライズ演出。自分一人なら別にこんな演出に食指は動かないけど、今回は子供のホスト役ですからねえ(笑)。そーいや、昔伊豆急のリゾート21の中間車(ロイヤルボックス)にこんな演出なかったっけ??ロイヤルボックスっていつの間にか編成から外されて伊豆高原で朽ち果ててた記憶があります。


十日町と、まつだいで大半の乗客が下車。なるほど北陸新幹線開業以降は乗り通す人も少なくなっている様子。まつだいからバスで行く松之山温泉は日本三大薬湯との誉れも高い効能あらたかな温泉地で、焼けたゴムタイヤのような強烈な匂いのする塩辛く熱い湯が湧いております。そう言えばそろそろ松之山も婿投げの時期だけど、雪が少ないと危なくて婿投げも出来ないんじゃないのか。

  

まつだい駅の西方にぽっかりと開く鍋立山トンネルの坑口。日本のトンネル史上最も困難を極めた工事が展開され、凍結期間を含め全通に約30年の時間を擁したいわくを持ちます。その難しさたるや、シュークリームの真ん中にトンネルを貫通させるような難しさと言えばいいのかなあ。掘るとガス混じりの軟弱な泥が物凄い圧力でドロドロブスブス溢れてくるような地層だったらしい。トンネルを掘っても掘っても吹き出す泥で埋め戻されるイタチごっこに、最終的にはあまりに吹き出し圧が強く緩い地盤を固着させるために水ガラスを注入し、固まったところをシールドマシンでブチ抜いたそうだ。あまりに難工事過ぎてたった10kmに行かないトンネルに様々な掘削工法が用いられたため、トンネル内でも側面の形状が区間によって違っているのがこのトンネルの面白いところ。真ん中の写真では円形から馬蹄形になってるのがお分かりいただけますでしょうかねえ。

 

六日町から東頸城丘陵をトンネルで横断し、大池いこいの森駅付近から上越平野に出るほくほく線。雪は雨に変わりました。ちなみにまだ18きっぷシーズンですが、ほくほく線は18きっぷ使用不可なのであしからず(週末パスはOK)。整備新幹線の開業に伴って既存の在来線が三セクに落とされるせいで18きっぷの通用する区間ってのはどんどん減っており、乗れる区間がどんどん減って行っているのが現状。来年の北海道新幹線で青函間の優遇措置がなくなって、いよいよトドメを刺されるキップなのではないかと思いますね。

 

越後湯沢から1時間半で直江津到着。北越急行は「特急はくたか」を失ったものの、その収益は余生をしばらく暮らせるくらいの額まで積み上がっていたらしい。北陸新幹線の開業に伴ってセミリタイアという形にはなりましたが、もとよりそれは想定済みの話。はくたかでコツコツ貯めた貯金通帳を眺めてニヤニヤ、あとは余生のローカル線暮らしってトコか。ほくほく線が新潟県の豪雪地帯を横断するという路線の性格からも、今後も地域交通の重要な部分を担っている事には変わりないのでしょうし。


直江津駅ホーム。昼下がりとは言え、三連休の初日というのに人影はまばら。ついこないだまで日本海、北陸、はくたか、北越、能登、きたぐに、くびき野、妙高、トワイライトエクスプレスと思い出すだけで多くの列車が行き交ったホームに冷たい雨が降る。コンコースにいたホテルハイマートの弁当売りのおじさんだけが妙に陽気で、なにやら一層寂しさだけが募るのであります。

鉄都・直江津、寂寞の雨に濡れる。
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