青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

次に来るのは何の色?

2018年09月19日 17時00分00秒 | 静岡鉄道

(豊かなカラバリ@静岡鉄道A3000形)

近年の主力を張った1000形に代わる40年ぶりの新車としてデビューした静鉄A3000形。現在4編成がデビューしていますが、将来的には都合12編成が導入されて1000形を全て置き換える予定になっているそうな。A3000形は「Shizuoka Rainbow Trains」と銘打たれたキャンペーンが行われていて、デビューする編成ごとにカラーリングを変えている。記念すべき第1号編成がこの「Clear Blue(クリアブルー)」、富士山をイメージしたカラーリングなのだそうで。よく見るとスカートに「ローレル賞受賞」のレタリングが打たれてます。


第2編成は「Passion Red(パッションレッド)」。それにしてもこのA3000形、LEDのギラギラした前照灯といいガバッと開いた連結部の開口部といい、ギュッと真ん中に寄ったようないかつい表情で圧が強い。個人的にはドラクエに出て来るモンスターのギズモに見えてしょうがない(笑)。クリアブルーの編成なんかまんまフロストギズモやんけ。ヒャダルコ連発されそう。パッションレッドはさしずめヒートギズモだろうか。炎吐くで。

 

第3・4編成目はまず「Natural Green(ナチュラルグリーン)」。静岡名産のお茶の色なんだそうな。もうちょっとお茶の色ってのは軽やかな緑色のような気もしますが…まあいいでしょう。そして電車まつりの会場に展示されていた「Brilliant Orange Yellow(ブリリアントオレンジイエロー)」。単なるオレンジ色ではなくて、静岡名産のミカンに寄ったいわゆるミカン色なんだって。どうでもいいけどレインボーだとすると色は7色で、既に残りは3色だけ。12編成導入するとして、残りの5編成はどうなんだろうね?


ちなみに現行の1000形、一部の編成は長年に亘ってラッピング広告電車として走っております。都会の電車のようにドア脇に商品張り付ける程度の生半可なもんじゃなくて、御覧のようなド派手な感じの全面ラッピングで、おそらくこの編成は午後ティーのロイヤルミルクティー仕様。前に来た時はレモンティーのヤツが走ってた記憶があるが、フレーバーは時期によって変わるらしい。


古いフォルダをひっくり返してみたらレモンティー仕様の午後ティーラッピングあったわ。レモン色ベースだとかなりハデハデだなあと思わせつつ、ドアのところは白・赤・黄色でミルク・ストレート・レモンの午後ティー三原色(?)を表現するという凝ったデザインであった。もうこの1002編成は廃車になっているそうですがね。という訳で残りの5編成は企業向けのラッピングトレインになるのではないか、と勝手に予想。同じ形式で統一している分、こういうカラバリだったりラッピングだったりで変化があるのが楽しいですよね。静鉄祭りに来てた子供たちも「午後ティー来た!」とか「劇団四季来た!」とか言ってたもん(笑)。
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我が街トレイン秋祭り

2018年09月18日 17時00分00秒 | 静岡鉄道

(アットホームなお祭り@しずてつ電車祭り)

鉄道会社のイベントというと、大手私鉄はどこも車両見学以外はグッズの物販と事前予約型のイベントしかない感じになりがち。規模と参加人数を考えるとどうしてもそうならざるを得ないのかもしれないけど、こと「しずてつ電車まつり」は地元の高校生が焼いたパンを売り、地元のおっちゃんがたこ焼きを焼いて、鉄道の現業職員がかき氷を作り金魚すくいの世話をやっていたりと、傍目には完全に普通のジモな秋祭りの縁日然とした光景が繰り広げられていた。この適度に地元参加型の雰囲気は中小私鉄ならではって感じで、関東鉄道の水海道公開を思い出してしまうのであった。


今回のイベントの目玉、作者追悼の特別HMを装備したちびまる子ちゃんラッピングの1011編成。運用時の自動放送のアナウンスは、まる子ちゃんの声優であるTARAKOさんがやっていたりする。側面にあしらわれた劇中の個性豊かなキャラクターの数々は、西武の「ぐでたまトレイン」に引き続き、幼稚園児の娘にもウケがいい。個人的には、東急が一時期凝った微妙な「く」の字折れの前面部ね。「ダイヤモンドカット」と呼ばれた東急7200系の系譜で、同時期の昭和40~50年代の営団車や、京急の2000形なんかにも連なって行くデザイン。


ラッピングトレインのサイドビュー。まるちゃん、たまちゃん、とし子ちゃん、はまじ、ブー太郎、丸尾君、城ケ崎さん、永沢、藤木、笹山さん。全部とはいかなくても大体のキャラクターは自分でも分かる。家が火事になった永沢君と常に卑怯者呼ばわりされている藤木のダークなコンビいいよねえ。ここらへんのキャラのネクラなシニカルさがさくらももこ作品の肝じゃないかと思うのだが、ここのドアから乗ったら朝とかお腹痛くなりそうだよなあ…(笑)。


ちなみに最近の車両じゃないから、オールステンレスでもガッツリとコルゲートが入っていてちょっと書き文字が読みにくい。キャラの顔をコルゲートのない平滑な部分に書く分仕方なかったのか。この角度から見ると、妻面の作りといい履き物のTRの台車がもういかにもなメイド・イン・東急車輛。


A3000形の導入で廃車となっている編成もあるそうですが、オールステンレスなので車内のレストアだけすればまだまだ他の地方私鉄で長く使ってあげられるはず…と考えてはみたものの、そうだ静鉄って600V路線なのよね。1M1Tのサイズ感はピッタリでも、1500V路線に投入するには昇圧工事をしないとどのみち使えない。そして地方私鉄はどこもそこまでのカネを掛けてられないというのが本音でしょう。未だに600Vで運行してるのって伊予鉄の一部と銚子電鉄くらい?


洗車体験車両に使われていた1006編成とともに。静鉄は長らく自社で走らせる電車の新造をこの長沼工場で行っていて、製造を外部委託した今でも自社発注車が100%を占めるという稀有な地方私鉄。鉄道・バス・不動産・百貨店・建設と静岡経済の一角をなすコングロマリット企業である静岡鉄道グループの経営体力を垣間見る思いがします。浜松を拠点とする遠州鉄道にも同様な事が言えると思いますが、東急資本の伊豆急や西武資本の伊豆箱根も含め、静岡県内の地方私鉄は人口と観光や経済の流動性に富んだ地域にあって恵まれているよなあと。大井川だけが苦しいんだよねえ。


時刻はちょうどお昼時。ついつい香ばしいソースの匂いに惹かれて縁日ゾーンの焼きそばコーナーへ。2パック500円はリーズナブル。わざわざ静岡まで来て昼めしが焼きそばとか(笑)って感じなんだけど、こーいうお祭りのゴタゴタした雰囲気の中で食べる焼きそばとかお好み焼きの類は、そこいらの食べログ掲載店の食い物より美味いと相場が決まっているのである。
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駿府桜桃忌

2018年09月17日 09時21分26秒 | 静岡鉄道

(国民的キャラクターの故郷へ@エスパルスドリームプラザ)

秋の連続三連休、相も変わらず秋雨前線の影響下にどっぷり浸っている太平洋側ではありますが、家族を連れて静岡まで行って来ました。先日、例の国民的アニメの作者様が逝去された関係で、故郷のゆかりを訪ねる番組をやっていて「この辺りに行ってみたい」とヨメさんが興味を示したというのもある。そう言えば関東もんにとっての静岡って割と伊豆止まりになってる感じもなきにしもあらずだよね。静岡市とか旧清水市の辺りのセントラル静岡は私も久々。新東名が出来てからはこのゾーンをすっ飛ばして大井川に行っちゃうからなあ・・・旧清水の中心街にあるエスパルスドリームプラザ。子供たちのお土産探しで立ち寄ったら、国民的アニメのキャラクターとそのお友達がこんにちわ。


港の駐車場にクルマを放り込み、「ちびまる子ちゃん」の故郷、新清水から静岡鉄道静岡線へ。ちなみに目的地にはクルマで行きつつ、地元のデンシャに乗ってみるというのが割と我が家定番の観光スタイルでもあります(笑)。静岡と清水の都市間輸送を東海道線のフィーダーとして担う地元に密着した路線。僅か11kmの路線ながら、日中7分間隔の高頻度運行によるフリークエンシーと、ラッシュ時には急行運転も行われる積極ダイヤで静岡市民の欠かせない足。


新清水のホームで待っていたのは静鉄40年ぶりの新車A3000形。静鉄ってーと東急の7200系に準じたスタイルの1000形で統一されているイメージがありましたが、平成28年よりこの形式が投入されてまして、これから徐々に1000形を淘汰して行くようです。静鉄は大株主が東急なので、割と車両とか設備にその影響が濃いですけども、この新車も東急車輛のノウハウを引き継いだ横浜は金沢区の総合車輛製作所製。E235系などと同等の「Sustina」という次世代のアルミ車輛のプラットフォームで製造されています。柵があって駅撮りがしにくいのも池上・多摩川線みたいで難だな(笑)。


この日は静鉄の長沼車庫で開催された「しずてつ電車まつり」の開催日。ヨメさんが「(静岡とか清水の辺りに)行ってみたい」と言った際に、「地元の鉄道が『ちびまる子ちゃん』のラッピング電車を走らせてるんだよ」なんて話をしたら興味ありげだったんで、静鉄のHPで運用を調べてたら「この土日は運用入りません」と出て来た。最初は「連休に走らせないなんて静鉄も商売っ気ねえなあ!」と思ってしまったんだけど、何のことはないこの両日は電車まつりで展示されるからそりゃ運用に入れるわけもなく。そして、せっかくの鉄道系イベントをスルーするのも不自然なので、祭りに参戦することにしたのでした。


会場となった長沼車庫の全景。いかにも中小私鉄っぽい木造の連棟上屋が渋い。限られたスペースに色々なアトラクションを盛り込んでいて、割とコアな鉄道ファンと言うよりも地元の親子連れが純粋に楽しんでいるように見えました。これから10月14日の日に向かって秋の鉄道系イベントは花盛りになって行きますけど、今シーズンのイベント初参戦が静鉄とは思わなかったなあ(笑)。


会場に展示された「ちびまる子ちゃんラッピングトレイン」。作品中の随所に描かれた清水の街を走る電車には、この日から作者であるさくらももこ先生への惜別のヘッドマークが装着されました。時折そぼ降る小糠雨がヘッドマークを濡らして、まる子ちゃんがポロリと涙を流しているように見える時もあり…。会場にいた職員の方が仰るには、作者先生の追悼という意味合いもあってか今年は来場者が例年になく多い、とのこと。鉄道ファンのみならず、郷土の誇りとして旅立った氏の功績を偲ぶ一日となりました。
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