青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

氷の世界

2018年01月31日 18時00分00秒 | 飯山線


(昭和35年開業です@足滝駅駅名標)

昭和2年、飯山鉄道の足滝臨時停車場として開業した足滝駅。昭和19年の戦時買収により国鉄となった際に一時廃止の憂き目に遭いましたが、昭和35年に無事足滝駅として復活しています。待合室に付いていた財産票に「昭和35年」って書いてあったから、ここの駅の待合室は復活開業当時からのモノらしい。そんなに長い事使っているように思えないくらい小ぎれいに使われてまして、そこらへんに周辺住民の駅への愛着を感じたりもします。


列車の到着の時間が近付いてきました。と言う事で先攻の186Dはホーム先から雪の森をくぐるような構図で、林鉄感のあるこの駅の魅力を摘まんでみましたがいかがなもんでしょうか。ってか運転士さんも足滝の駅のホームで構えられてもびっくりしちゃうかもなあ…という若干の申し訳なさが。十分に安全に配慮した位置から撮影はしていますけども、平日の昼間に誰も足滝に人がいると思わないでしょ(笑)。


申し訳程度のドア扱いをして、タッチアンドゴーで樹氷に包まれた駅を去って行く186D。どの列車もきっとこうなんでしょう。全てが止まったような氷の世界を去って行く列車のテールランプ、二条の鉄路だけが雪の上でくっきりと像を結んでいます。
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雪の森に抱かれて

2018年01月30日 18時00分00秒 | 飯山線

(駅前風景@足滝駅)

日本の中にも色々な駅があり、それぞれの駅前風景がありますが、そもそも駅がどこなのか分からないのが足滝の駅。この季節、雪に埋もれてしまってその痕跡を探るのはさらに困難を極めるのですが、完全に初見殺しとも思えるこの入口の分からなさ…(笑)。自分も何回か通るまで分からなかった。一応目印があるとしたら足滝の集落の神社だね。あと駅の入口のとこだけ県道が微妙に広くなっているのが目印か。ちなみにこの正面にある微妙に階段状の足跡の付いた雪の斜面が、足滝駅の入口になります。


県道から足滝駅への小道は段丘上の急斜面に取り付けられており、どちらかと言えばスキー板とかソリを持って来た方が楽しめそうな雰囲気ある(笑)。一応こっちも長靴で来てるけど、あんまり踏み固められてないもんだから時折ズボッと膝下あたりまで踏み抜いてしまうようなやわこい場所もあって注意が必要。っつーか何で駅前通りでそんな注意せなあかんねんw


雪の斜面を2~30m登ると、やっとこ飯山線の路盤にたどり着いて、4種踏切のような通路がある。積み上げられた雪に囲まれてどこが何やらわかりにくいですが、雪に埋まっちゃった時のために高さを変えて二つも取り付けられた「列車に気を付けてね!」系の注意書きの看板で、足滝駅の構内に入った事を知る。看板の掲示主はJR十日町駅長。長野から走って来た列車はこの駅から新潟県(中魚沼郡津南町)に入りますが、管理もJR東日本長野支社から新潟支社管内に変わります。


4種踏切から眺める足滝の駅。うーん、何というか鬱蒼とした雪の森に抱かれて佇む駅は、林鉄っぽい雰囲気ある。もうちっとホームの高さが低ければ大井川鉄道の井川線の駅っぽい。沢間とか土本とかこんな感じだし。ロケーションとしてはすごくいい駅だけに、真ん中にドカンと立った電柱がすっごく目障りで、そこだけが惜しい感じがする。


最近一つのジャンルとして確立されている「秘境駅」という鉄道の楽しみ方ですけど、ここ足滝が飯山線の中では一番の秘境駅でしょうな。この足滝の駅も集落の近くにあるこたあるんだけど、隣の越後田中までの小さなサミットへの上り途中にちょっと強引に駅を作った関係で、駅の位置が集落よりかなり高い。その分、外界から隔離されている感じがします。


見上げれば結構な急斜面と雪。さらにこれから積もると雪崩の注意も必要そうだ。そもそも植生が少ないのと、植物が駅の方向に倒れながら生えているという時点で何度か雪崩れてるよねココ。そう言えばこの駅に来るまで集落の裏手の崖地に人が入って「雪庇除雪」なるものをやっていたのだが、さすが本気の豪雪地帯には色々な除雪の形態があるものだ。みんな腰まで雪に埋まりながら、人力でバカバカ斜面の雪を削り取って下の道に落とし、グレーダーでガーッと集めて、重機で大型ダンプにガンガン積んで信濃川に捨ててた。森宮野原の建設業者がやってたんだけど、雪国の土建屋さんには除雪って大事な公共事業だよねえ。

さて、ここで狙うは戸狩行きの186Dと越後川口行きの135D。隣の森宮野原交換なのでインターバル10分弱で撮影が可能。逆に言えば時間がタイトであまり余裕はないか…と言う事で駅の周りをウロウロとロケハンするのであります。
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西大滝雪月花

2018年01月29日 17時00分00秒 | 飯山線

(雪に埋もれる駅名票@西大滝駅)

ひとまず飯山色の追っ掛けから離れて、自由に飯山線沿線を巡ってみます。飯山線ってのは豊野~越後川口間で約100km弱の距離がありますけど、自分が好きなのはやっぱり飯山から十日町のあたりにかけて。特に行政地名で言えば飯山市、栄村、津南町のあたりが一番いい。と言う事で信濃平から西大滝に転戦してみるのですが、雪に埋もれた駅名票を見るにやはり飯山盆地の信濃平に比べるとまたひときわ雪深く寒いような気がする。


雪の上に僅かに人の足跡が残るホーム。この駅を利用している人のいる事の確かな証です。ホームからの風景は厳かささえ感じる、深として慎と静まり返った雪国の風景。それでも春がくれば、ホームに覆いかぶさるように立っている一本桜が花を咲かせてくれるはずです。今は雪の華を身に纏って、それはそれで美しい姿ではありますがね。


ひとまず駅前にクルマをデポして周囲をロケハン。またまた集落の奥に除雪車が積み上げたとおぼしき雪の小山がありまして、そこを足場に三脚を出す事に致します。線路沿いの雪壁が高いので、使えるものはガンガン使って高さを稼いでいかなければなりません。朝に比べると鉛色のような空は重く、気のせいがちらちらと雪が舞ってきた。モノクロームの森と雪の中を136D、朝一番に土市の大黒沢跨線橋で撮影したクルマですな。


サブカメラでは引き付けて。国鉄時代からのキハ28・58やキハ52を淘汰したキハ110。白い車体にお抹茶色のラインが入った、カラーリングとしては比較的地味な車両です。元々が機能優先としか思えない簡素なデザインですから、「もうちょっとしゃれっ気のあるカラーリングにでもなんないもんかな」なんて思っていたものです。が、最近では小海線のエセ国鉄色(笑)やハイランドレール塗装、飯山線では飯山色においこっとに「飯山線の四季」ラッピングだったりとバリエーションも増えて来ました。そうなるとこの地味な一般色も、風景を邪魔しない控えめなカラーリングじゃないかと好意的に思えてくる不思議(笑)。

思えばもうデビューして30年近く経つ車両ですし、しっかり東日本のローカル線の風景に溶け込んでいるのかもしれませんね。
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信濃平雪溺

2018年01月28日 10時00分00秒 | 飯山線

(一面の大雪原@戸狩野沢温泉~信濃平間)

一面のパールホワイトに溺れてしまいそうな冬の信濃平。山々から流れ込む雪溶け水が信濃平の耕土を潤す春を待ちながら、今は降り積もる雪に眠っています。ちなみにこの辺り水田に沿ってタテヨコに農道が走っているはずなんですが、殆どの道の除雪が行われていないので道の位置も定かではありません。下手に雪原を歩いて行こうとして雪の下の用水路にでも落ちたら大変なので、除雪された道からアングルを決めます。


132Dのライトが遠くの方に見えて来て、かなりあってからやおら傍らの踏切が鳴り出した。姿が見えているのに、意外に近くまで来ないと踏切が鳴らないのでハラハラするよ(笑)。バックには飯山盆地になだらかな裾野を描く開田山地の山稜と、戸狩のスキー場。夏とかならスキー場の上のほうから俯瞰とか出来るのかな?


一般色キハ110+飯山色の2連が雪原の信濃平を駆け抜けて行きます。春の菜の花、夏の青田、秋の黄金の穂波、そして冬の静寂。四季折々に色んな表情を見せてくれる飯山・信濃平。風景に広がりがあって、どのアングルからでも狙える素敵な撮影地だと思います。ただし、信濃平は撮りやすそうに見えて目標物に乏しい分、列車をどう配するかの構図のバランスがとても難しい。長編成の都会の電車だったらいいんだけど、飯山線の2連をどう構図の中に置くか?というのは永遠の課題。そういう意味ではいくらでも撮りようがある分正解が見つけにくくて、奥の深い撮影地なのかもなあ。

あと、冬は雪が全てを塗りつぶしてしまって水平が分からなくなる(笑)。
手持ちで撮る方はお気を付けて。
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淡々としかし着実に

2018年01月27日 10時00分00秒 | 飯山線

(遅れ131D@信濃平~戸狩野沢温泉間)

戸狩野沢温泉の駅で、後ろの1両を落として単行となる131D越後川口行き。遠く高社山を望みながら所定の時間を7~8分遅れてやって来ました。ダイヤ的には戸狩の駅で解放の時間を11分取っているので、そこで遅れを吸収する算段なのでしょうか。分割シーンを撮りたかったので駅に近い踏切で構えましたが、飯山線沿線でも屈指の撮影地である信濃平の田園地帯、今は目が痛くなるほどの一面の雪景色です。


戸狩に到着した131D。駅を見下ろす跨線橋から131D→132Dの組成風景なぞを眺めてみようと思います。まずは越後川口へ向かう先頭車両と、戸狩で折り返す2両目の車両の切り離し。時間が押しているので、ホームに降りた係員の方はしきりに腕時計に目をやって忙しない感じ。急げ急げ。


戸狩で2両目から先頭車両に移る乗務員、飯山色の入れ換え準備に取り掛かる乗務員、折り返し132Dの乗務員がホーム上を慌ただしく動き回ります。乗客より明らかに運転関係の職員のほうが多いのはご愛敬(笑)。いかにも運転の要衝と言う感じがしていいじゃないですか。


131Dに乗務してやって来た乗務員はここでインターバルのある行路のようです。女性乗務員の方がトランクを抱えて小走りに駅舎の方へ。長野→戸狩を運転して来た乗務員はここで休憩、長野から131Dのケツにぶら下がって来た乗務員はここから運転、164Dで戸狩に来た乗務員が入替作業→132Dの運転。そんな感じなのかな。


戸狩到着で7~8分の遅れを、大急ぎの解放作業で3分に詰めて131D越後川口行きが戸狩を発車。運転席には保線の係員が乗務しているのが見えますが、大雪の予報が出ていましたので警戒の意味も含めての乗務でしょうか。


131Dが出ると、164Dで戸狩に到着していた飯山色が入換の作業に入ります。1時間半ぶりに動き出す飯山色。戸狩の駅には引き上げ線などはありませんので、飯山色は一旦十日町側の本線に逃げてから係員が転轍機を操作しての入れ替え作業になります。

 

電話で駅務と信号の開通確認を行いながら係員がテコを動かすと、転轍機の矢羽がクルリと回って進路が開通。本線上での作業が出来るのも、まあローカル線っちゃローカル線らしい風景かもしれない。傍らに「入替作業5つの確認」という注意喚起が掲示されていますが、「1.転てつの定位 2.駅扱いテコの定位 3.踏切テコの定位 4.無線機 5.手旗」とある。


運転士と係員が窓越しに軽く確認の挨拶を交わし、開通した進路をホイッスル一発鳴らして進む飯山色。132Dでは一般色の次位についてしまいますので、精悍な幌付きのエンドは隠れてしまうのが実に勿体ない。連結の直前まで連結器のカバーは付けたまんまなんですね。


入替作業の風景が好きだ。鉄道の魅力の中に「システマティックに構築されたものを愛でる楽しさ」というものがありませんか?。それは精緻に極まるダイヤだったり、信号扱いの規則だったり、駅の配線だったり人によって色々かなと思うんだけど、自分はその一つにこの「入替作業」というものも含まれているんじゃないだろうかと思う。一見淡々とこなされているルーティーンに見えて、眺めていると実は必然を積み上げた結果作り上げられた確固たるメソッドである事が分かります。

鉄道が一番担保せねばならない安全確実な運行のため、繰り返し、繰り返し。
今日も淡々と。しかし、着実に。
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