青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

梅露に濡れて煌めいて

2020年06月29日 17時00分00秒 | 箱根登山鉄道

(深い森に佇む@銭洗弁天奥の院)

止むことなく降り続ける雨に濡れる、深澤銭洗弁財天の境内。ホームに面した位置にある弁天様の裏側には、綺麗な紫の神前幕が掛かった、思った以上に立派な作りの奥の院がありました。こちらにお参りに来る人は稀のようで、青々とした紅葉に包まれて密やかな雰囲気に満ち満ちていました。葉緑素の溶け込んだような山の嵐気を吸い込んで、ほっと一息。こんなに長い時間塔ノ沢の駅に滞在した事はないのですけど、意外に色々な発見があります。神奈川県内では鎌倉の佐助にある銭洗弁天が有名ですが、今度箱根に観光の際には、塔ノ沢の銭洗弁天も是非お参りいただきますよう。

銭洗弁天の隣にある火伏観音。こちらは火の神様。箱根の街の火の元を守っています。雨の日ですから木々に阻まれて光は乏しいのですが、割とスローシャッターで露出を飛ばし気味に撮影。何となくNikonのカメラって緑色の色出しが自分好みに深く出るような気がして、この時期はついついグリーンなものに目を引かれてしまいます。

滴るような山の緑に煌めく塔ノ沢の駅を、最後に阿弥陀寺へ続く山道から俯瞰してみます。この俯瞰構図は3連だと長くて全編成抜きにくいので、2連がベストですね。紫陽花の時期になってだんだんと撮影者が増え始めているので、土休日はこの構図もなかなかスッキリとは撮影出来ないかもしれません。まあ、そろそろ湯本から塔ノ沢辺りにかけては紫陽花の見頃は終わりかけているような気もしますが・・・全線での試運転開始は7月の2週くらいだとのことなので、これからの狙いは大平台より上になるのかな。紫陽花に関しては彫刻の森のストレートが一番いいので、今から再開の日を楽しみにしているところです。

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ハチとキューの縁

2020年06月27日 17時00分00秒 | 箱根登山鉄道

(山の湧き水こんこんと@深澤銭洗弁財天)

梅雨に濡れる塔ノ峰の森から、こんこんと湧き出る山の水が手水鉢に溢れて、銭洗弁天の境内を潤しています。試運転の合間に弁天様にお参りしつつ、ひんやりした山の水に手を浸して涼んでみたり、お財布から小銭を出してちゃらちゃらと漱いでみたりと、なかなか癒されるスポットです。流れる清水を見ながら、ホームの隣に小さな山の茶屋なんて開いて、湧き水でそうめん流しとかやったら風流で楽しそうだなあ・・・などと勝手に妄想してみる。なおこの銭洗弁天、何度もお参りをしておりますが、私の財布の中身が豊かになったかどうかはご想像にお任せしますという事で(笑)。

試運転は約1時間で湯本~宮ノ下手前~湯本を往復して行く規則正しいダイヤ。湯本の駅で乗務員交替がある場合と、すぐ折り返す場合の2パターンがあるみたいで、若干湯本でのインターバルが変わる場合があります。いずれの駅でもドア扱いあり。客が乗っていないだけで、やっている事は通常運転と何ら変わりません。

朝から塔ノ沢の駅にて、ひたすら行き来する試運転列車を撮り続けていた。いつしか時間の経つのも忘れていて、気付けば時間は早くも昼時になっていました。何往復目かの108-109のコンビ、試運転では主力級の活躍を見せていますが、元はと言えば増結用の単車。山上の強羅に取り残された104-106の2連は固定なので、運転再開後はバラされてどちらかがヨンロクのお相手、片割れは車庫でお休みというような運用になるのかもしれません。雨に濡れながら、今はガッチリと繋がれた2両の縁ですが、7月23日の復旧初日を飾るのはどちらの車両でしょうか?

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カウントダウン 7・23

2020年06月25日 17時00分00秒 | 箱根登山鉄道

(闇から光へ@塔ノ沢駅)

6月も終わろうとしていますが、引き続き箱根登山鉄道の試運転の様子をぼちぼちと。結局6月は登山線の試運転に3回も行ってしまいましたが、いつも走っているのは108-109のコンビとベルニナB1編成。線路が寸断されて強羅に取り残されている組がいるので車両が偏るのは仕方ないのかな、とも思うのですが、時間や日によってはアレグラも出て来たりするらしいんですけどね。大ヶ嶽隧道からLEDのライトを光らせて塔ノ沢に進入するB1編成。ライトの輝度が高いので、トンネルの中でシャッターを切っても目立ちますね。

引き付けて、紫陽花と合わせて今一度。ちなみに、同じベルニナでもデビュー当時のカラーリングにリバイバルされたB2編成(1002F)は、湯本の側線に置かれたまま試運転に全く入りません。別に故障したとかいう事でもなさそうなんですが。検を延ばすために休車かけてるんだとしたら、入生田の車庫にしまっておけばいいのだろうし・・・どうしてなんでしょうね。

ところで、先日全線の運行再開を7月下旬としていた箱根登山鉄道ですが、この度正式に2020年7月23日(木・祝)からの運行再開が決定いたしました。まずはめでたい。報道によると、既に線路の敷設作業は終わっていて、現在は崩壊した斜面の復旧工事が鋭意進められているそうです。5月頭に湯本~大平台の手前、6月頭に湯本~宮ノ下の手前と試運転区間を徐々に伸ばしてきた経緯から考えると、おそらく7月頭からは一番被害の大きかった蛇骨川橋梁の崩落地(宮ノ下~小涌谷間)を含めた全線での試運転がスタートして行くのではないでしょうか。

3連では有効長ギリギリの塔ノ沢のホーム。雨に濡れた塔ノ峰の深い森に包まれて、ベルニナの赤が一層引き立ちます。今回の試運転でなんだかベルニナの良さに目覚めてしまったなあ。はよB2編成も出て来てくれないかな。強羅までレールが繋がれば幽閉されたヨンロクも出て来れるので、役者も揃いますよね。いよいよ復旧までのカウントダウンが始まった、天下の嶮の登山電車です。

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緑彩色のマリアージュ

2020年06月23日 17時00分00秒 | 箱根登山鉄道

(雨宿りのベンチ@塔ノ沢駅ホーム)

小やみになったと思えば、突然ザーッと強く降る雨の塔ノ沢。ホームには4~5人程度が座れる屋根掛けの小さな待合室がありますので、雨降りの撮影の際は重宝します。箱根の登山電車で終日駅が無人駅なのは、ここ塔ノ沢だけ。試運転の電車が来るまでは、ベンチに座って瞑想するもよし、雨を見ながら物憂げに過ごすもよし。自分だけの時間が流れて行きます。

ほんのごくたまに、駅の裏手にある銭洗弁天にお参りに来る地元の人が通り過ぎます。紫陽花と、オジサマには似つかわしくない(?)カラフルな青い雨傘の組み合わせ。深い緑に鳥居も苔生す深澤銭洗弁財天は、証券会社の創業者の方がこの地に勧進したもの。塔ノ沢の湯宿を定宿にしていた彼の夢枕に、白蛇が現れたことがきっかけで建立されたのだそうで。大正時代から100年近く、この塔ノ沢の駅を見守り続けています。

また雨の激しくなって来た塔ノ沢。塔ノ峰隧道を登って、108-109が駅に戻って来ました。しとどに濡れる紫陽花を入れ込んでフレーミングしましたが、傘を差しながらの撮影は正直カメラを濡れないようにするので精一杯・・・足元は雨を見越して長靴履いて来たからいいのだけど。運転台の社員さんも土砂降り雨に思わず腕まくり。

弁財天のお堂様に隠れて雨宿りしながら、ハチキューの塔ノ沢の出発を見送ります。どのみち光はあまり射し込まない山峡の駅、露出は稼げませんのでスローシャッターで。濡れた紫陽花の葉のしっとりとした緑と、鳥居の基礎を覆う抹茶のような苔の緑と、109の車体を包む深い緑。それぞれの緑彩色が、視覚の中で混沌とまじり合いました。

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塔ノ沢雨情

2020年06月21日 17時00分00秒 | 箱根登山鉄道

(雨に煙る窓@塔ノ沢駅)

待合室の窓をしとどに叩く雨。梅雨の時期、咲き始めた紫陽花の色付きが、少し曇った窓のガラス越しに淡く映ります。箱根登山電車の試運転、大平台で晴れの日を撮影した後は、塔ノ沢で雨の日をしっとりと撮影したいねえ・・・なんて思っていました。いつもとは逆に雨の日を選んで、再び小田原厚木道路を西へ。

函嶺洞門の前から青葉の坂道を登れば、山峡の小駅・塔ノ沢。塔ノ峰と大ヶ嶽の二つの隧道に前後をぴったりと挟まれた塔ノ沢の駅は、箱庭感のある素敵な雰囲気。湯本行きのホーム側には、この時期紫陽花が咲き乱れるのですけど、下の方の株はしっかりと咲き始めてますね。駅裏の小俯瞰から眺めていると、濡れたレールを軋ませて試運転のベルニナB1編成が通り過ぎて行きました。

花が咲き、頭の重くなった紫陽花が、雨に打たれて首を垂れています。この日も試運転に入っていたのはB1編成とマルハチマルキューコンビ。大平台を訪れた6月上旬はさすがに早かったので、シテンの間にしっかりと紫陽花×登山の旧型を撮っておきたかったんですよね。この時期の塔ノ沢は、夜のあじさい電車の運行に合わせ、植生だけじゃなく鉢植えの紫陽花も持って来て盛り盛りに盛るんですけど、今年は流石にあじさい電車は間に合わないでしょうね。

人っ子ひとりいない雨の塔ノ沢で試運転を待っていると、大ヶ嶽隧道からオデコの一灯ライトを光らせて109が降りて来ました。雨に濡れて艶めきを増したアマガエルが、紫陽花の駅で一休み・・・そんな情景を切り取る事が出来ました。

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