青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

ふたたび、旅人の行き交う街へ

2011年08月28日 14時37分45秒 | 日常

常日頃からツリマプ関係でお世話になっている昭文社から、こんな地図が発売されたので入手してみた。
「東日本大震災復興支援地図」と題したこの地図、特に津波被害の甚大であった東日本の太平洋沿岸を中心に、今年の4月に調査した状況を元に既存のマップルの図面の情報を再編集しているもの。各自治体の災害対策本部の設置位置や避難場所の配置状況、道路の通行の可否、鉄道の運行状況などが追記されているのだが、一番の特徴は津波による浸水被害を受けた地区が行政のハザードマップよろしくオレンジで詳細に塗り潰されている事だ。地図に起こされてみると、今回の震災による津波被害の凄まじさと言うのを改めて実感したりする。


例えば仙台港周辺。仙台東部道路から海側がすべて浸水した様子がよくわかる。ニュースでは仙台東部道路が防波堤の役割を果たしたみたいな事を言ってましたけど、まさに仙台東部道路を挟んで明暗がくっきり分かれてますね。グッピー氏が震災直後に被害状況を見て回ったのもこの辺りか。仙台港の南側、七北田川の河口に日和山って言う仙台湾を見渡す丘みたいなのがあるんだけど、そこの標高が6mでも水没しちゃってますから津波の高さたるや…


例えば石巻市。南側が海なのだが、マップの塗り潰され方から見て主要市街がほぼ浸水。津波が新北上川を回り込んで南北から街を襲った事が良く分かる。石巻市の被害は海岸線から6km程度の所まで及んでいるようで、石巻線の曾波神(そばのかみ)駅周辺や三陸自動車道を越えて県道16号付近まで達していたのには驚く。それに引き換え万石浦の付近は石巻と女川の状況から比べてほぼ浸水被害がなかったりと、興味深い部分は多い。たぶん急ごしらえの地図なんでそこまでの正確さはないのかもしれないけど、地形の状況と地上の構造物などを検証しつつ、この生涯一度の規模(にして欲しいが)の未曾有の自然災害を考え、被災地の惨状に哀悼の思いを馳せるに十分な資料的価値のある地図であると思う。


「ふたたび、旅人の行き交う街へ」

裏表紙のキャッチコピーなのだが、短い言葉に地図屋の被災地に対する思いが表れているようで、いい言葉だなあと思ってしまった。地図って高いものだけど、このボリュームで定価1,000円ってのも昭文社完全に経費無視してるなあと。しかも売り上げの一部は、被災地に寄付されるらしいし…

とりあえず地図に日頃世話になっている人は買っておいて損はないかと。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

バブルの残り香

2011年08月27日 23時17分19秒 | 日常

(夏の飛騨川を行く@高山本線 渚~久々野間)

家族サービスの間を縫って15分間の撮り鉄は、列車の接近時間を読んでぬかりなく。
カッと照り付ける真夏の昼間のトップライトの下、燃え盛る緑の飛騨川を行く。

先週一週間のんびりさせてもらった罰と言う訳ではないだろうが、休み明けからいきなり毎日23時帰りでそれだけでは飽き足らずに今日も出勤。さすがに意識が朦朧として来た。その理由の大半は「職場の片付け」と言う不毛な作業。ウチの職場には昭和の時代から長い事何にも手を付けていないトップシークレットの「開かずの間」が存在するのだが、そのパンドラの箱に遂に手を入れようと言う訳だ。今までもドアを開けた人間は何人もいたんだろうけど、たぶんみんな「なかった事」にしてそっとドアを閉めていたのだろうね。誰かが手を付けていればこうはならなかったろうに、と溜息しか出ない惨状に、つくづく「先送りっていけない事なんだね」と思う訳ですが…どっかの退陣を決め込んだ首相に見せてやりたいですわ(笑)。

ゴミと書類の山をかき分けかき分けガラクタだの黄ばんだ書類だのをせっせと持ち出し処分する作業は、頭脳労働ではないので精神的には楽なのだが肉体的にはきつい。ガラクタをどけるとゴキさんの登場は二回三回では効かず、キャアキャア逃げ惑う女子行員を尻目に勇敢に叩き潰して奥へ奥へと進んだら、ゴミの山の中から「JAZZ INN」の空き缶が出て来た(笑)。
20年ぶりくらいに見たけど、空き缶からなんかバブルの残り香がした(笑)。
「ジャズインちょうだい」ってか@夏木マリ。

缶を持って下に降りてって、上司に「なんかバブルの残り香がしませんか」って聞いたら、
「俺的にバブルの残り香と言えば『ワイルドブルーヨコハマ』だな」だって。
神奈川県民大笑い。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

現代土産物考

2011年08月21日 06時14分48秒 | 日常

(飛騨のさるぼぼ@乗鞍畳平売店)

飛騨地方に行くとよく見る「さるぼぼ」。
サルの赤ちゃんを模したお守りの類なんだが、いつ見ても京王線の旧社紋(「京王帝都電鉄時代ね)を思い出してしまうのは私だけ?。

えー、今回みたいな長期休暇になるとだいたい職場では「どっか行くんですか」みたいな話題になって、そうすっと面倒臭いからだいたい「これから決めるんだよね」って答えをするに留めておく事が多い。実際直前になって決める事も多いし、何しろどっか行って来ると言う話になったら土産物がメンドクサイじゃないですか(笑)。あ、そもそもなんで休暇取ってどっか行ったら土産物を買って来なければいけないんですかね。しかも職場で「お休みありがとうございました」なんて言いながら美味くもない饅頭配らなきゃいけないその日本の企業文化ってどうなの!と机をバンバン叩いて抗議する…気力は大半の人にはなくて、まあ「買って配る」と言うだけで良ければみんなテキトーに済ましちゃってるのが現状でしょう。海外に行った事なくてもマカダミアンナッツって食ったことあるでしょう。そんなもんなんですよ。

そんな私の現代土産考。
職場の連中に配るものに関しては「箱が大きく、数が多く、安い」これに尽きます(笑)。
あ、だからと言って「○○に行って来ました」系の箱クッキーとかはダメだと思うけど。次の日席がなくなってもいいなら買ってくれば?って感じ(笑)。あと職場で配りやすいように個包装になってるものがいいよね。間違っても漬物系とか買っちゃダメでしょ。どうやって配るのかと。って意外と五月蝿いな俺w
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

行き過ぎた避暑

2011年08月19日 23時05分13秒 | 日常

(画像:避暑のした事で)

3年ぶりの盆休み、連日の猛暑にうんざりしている嫁さんからのオーダーで「涼しいところがいい」と言うので仰せのままに涼しいところへ連れて行ってあげました。8月の中旬で気温11度。優しいな俺。雲に包まれて視界ゼロ、山特有の突風が吹きすさぶ畳平。あまりの気象状況に呆然と立ちすくんでいたら子供がくちびるワナワナさせて震え出してしまったので速攻バスターミナル内に避難するハメに(笑)。ちょっと1歳児に標高2700mは過酷すぎたか。でも周囲の子供が次々とグロッキーになる中、アルピコバスの運ちゃんのトリッキーなハンドリングにめげずキャッキャと楽しんでいたし、さすがに腹の中にいた時から方々の山道で鍛えておいて良かったと思うのでありました。つかこの辺りの濃飛バスとかアルピコバスの運ちゃんって尊敬に値する職人集団ですよね。特にこの周辺の山岳ルートの運ちゃんは…百戦錬磨の匠の技って感じです。このHPとか見るとつくづくそう思う。目の玉飛び出るようなクソ高いバス料金も、技術料として考えたら決して高くないのかもしれません。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

祝・復活、井川線。

2011年08月16日 10時08分06秒 | 大井川鐵道

(祝・復活@沢間~土本間)

森の中を抜けるDD201。普通井川側には制御客車が付くんだが珍しいな。この列車を待って三脚を構えてたら、軽に乗ったおっちゃんがご丁寧に「ここ電車来ないよ!」って教えてくれた(笑)。「金曜日から復旧してるんですよ」って言ったら「ヘエ~兄ちゃん地元よりよう知ってるな!頑張って!」だってwってよく考えたら井川線の存在感ってそんなもんなんだろうか。まあ一日5往復くらいじゃしょうがないのかね~。川根地区も結構な爺さんになっても車乗ってるもんなあ。あ、ヘッドマークの「恋錠」ってなんなんだろって思ったらこう言う事なのね。「宍戸錠に恋してるツアー」かと思ったよ。当然乗客は全員含み綿なんだろうが(笑)。


ほとんど乗客のいない駅ではあるんだが、検車区・車掌区があり井川線の中核をなす川根両国にも列車が戻ってきました。民家に咲くサルスベリの花の色も夏らしいですね。この川根両国の駅周辺には中部電力関係の施設が集まってまして、駅の入口は中電の社員寮の真裏にあるんだがちょっと分かりにくい。駅自体も工事現場の事務所にしか見えないし。


県道から寸又口橋を渡って沢間駅の周辺へ。千頭~奥泉の休止区間は、接阻峡や寸又峡へ向かう県道からは大井川を挟んだ対岸の集落を結んで走ってるんですが、そんな小さな沢間集落の朝を千頭行きの始発列車が行く。この辺りの集落は、南アルプスから続く山を深く刻む大井川に沿って、茶畑と家が段々に続いております。THE・のどかな風景と言った感じですね。

 

沢間駅。砂利引きに土間を打っただけのホーム。この簡素なスタイル、いかにも林鉄然とした雰囲気に満ちた駅ですな。ホームと駅舎の微妙な隙間部分は、以前ここから大間(現在の寸又峡温泉)方面に分岐していた千頭森林鉄道の路盤跡であります。薄桃色の外観の待合室だけがある静かな駅で、五月蝿いのは昆虫類。アブやスズメバチの攻撃に気を付けながら三脚を構えると、井川行きの列車が進入して来ました。


沢間駅と土本駅の間にある寸又川と大井川の合流点「三叉峡」を渡る。一応写真下を左右に流れているのが大井川で、直交しているのが寸又川なのだが、夏の草木に囲まれて分かり辛いですね(笑)。ちなみに左側の山の中を走るガードレールが旧千頭森林鉄道の路盤跡で、この先の土本駅に向かう唯一のアクセスルートとなっております。

 

土本駅。もともとこの集落には道がなく、井川線がなければ来る事が出来なかったプチ孤立集落だった。駅の名前も、住んでいるのが土本さんだったから土本駅。鬱蒼とした森の中の駅、駅前の道を行くと行き止まりでそこに集落の墓地があるのだが、やはり土本さんばかり。そんな土本駅はやはり簡素な土間打ちのホームと、バス停程度の待合室のみ。白線の内側に下がったら落っこちてしまうがな。

 

山間を大きく蛇行して流れる大井川は、奥泉と小山の集落を分ける尾根を挟んでほぼ同じ位置に戻ってくる。この「くびれ」の一番細い部分を俗に「馬の背」と呼ぶそうな。大井川の流れがこのまま馬の背を削って行くと、いずれは繋がって河川のルートは変わってしまうんでしょうね。そんな馬の背の上から細い細い道を入って行く小山集落は、少し開けた南斜面に茶畑が広がる。朝日に輝く鮮やかな緑に心が奪われます。集落のどんづまりにある川根小山の駅は、車もギリギリの斜面沿いの細い路地を伝って行く。ログハウス風の待合室があるこの駅は川根両国、沢間と並んで桜の美しい駅なんだそうで、ぜひその時期に来てみたいものです。


今回は千頭と奥泉の間の復旧区間を中心にスポットを当ててみましたが、アプトいちしろキャンプ場からのアングルは夏限定なんで一枚。なんで夏限定かって~とキャンプ場が夏しか開いてないからなんですが(笑)。川の色が濁ってて残念なのと、ちょっと引き気味のアングルにしすぎたかもしんないけど、強い日差しの空の下で広がる色とりどりのテントを加えて夏らしい一枚を。


千頭の町を一望出来る智者の丘公園から、千頭を後にする井川線の列車を俯瞰。所狭しとさまざまな車両が並ぶ千頭駅は、使い古された表現ではありますがさながらNゲージの模型のよう。遠くから汽笛と踏切の警報音が聞こえると、編成をくねらせながら両国への桟道をゆっくり走り抜けて行く列車の姿が見えました。

祝・復活、井川線。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする