青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

阿武隈の、水と緑のストライプ。

2024年05月18日 22時00分00秒 | 阿武隈急行

(あの光るのが、阿武隈川@阿武隈急行・向瀬上~瀬上間)

遥か那須岳の北麓に源を発し、福島県の中通りから宮城県の南部を流れ太平洋に注ぐ阿武隈川。その長さは約240km。東北では北上川に続く第2位、全国でも6番目の長さである。高村幸太郎が「あれが阿多多羅山、 あの光るのが阿武隈川」と智恵子抄に書き記した、福島の心のふるさととも言える南東北の大河です。朝の少し冷たい空気の中、長い長いトラス橋が、揺らめく川面に写っている。時刻は朝6時を少し前、梁川発の始発電車が、幾何学模様の造形美の中を駆けて行きます。

と言う訳で、話は今年のゴールデンウィークに。今年は前半三連休・後半四連休という分かれ方をしていたのですが、比較的天気が良く行楽日和が続きましたね。そんなGWの前半戦を使って、福島県の二路線・阿武隈急行と福島交通を探訪して来ました。福島から宮城県の槻木まで、東北本線のバイパス路線として昭和63年に全線開業した阿武隈急行は、阿武隈川の左岸を通った東北線に対し、鉄道のルートからは大きく離れて取り残された形となっていた阿武隈川右岸の保原、梁川、丸森を結んで槻木までの54.9km。槻木から仙台までは東北本線に乗り入れて直通運転するため、日本では珍しく交流電化の第三セクターとして開業しました。阿武隈川橋梁を渡って向瀬上の駅に飛び込んでくるAT8100形。国鉄457系や719系あたりの交流型車両の流れを汲み、長年阿武隈急行の主力として活躍して来た車両ですが、最近はE721系準拠のAB900系が導入されるに従い、その活躍の場が減っています。

阿武隈急行AT8100形。角型ライト、ブラックフェイス、阿武隈の水と緑をイメージした側面のストライプといい、80年代テイストがミチミチに詰まった2両ユニットの車両。運転室側の妻面に僅かに角度を付けて立体的な顔つきをしているのもポイントが高く、見れば見るほど魅力的な車両です。機会があったら撮りたいなあ・・・と温めてはいたんですが、なんせ東北地方って私鉄が少ないじゃないですか。それこそ昔は、東北線や奥羽線からいかにも地方私鉄らしい多くの小私鉄が細いレールを伸ばしていたのですが、今残ってる東北の民鉄って、津軽鉄道と弘南鉄道と、旅客はやめたけど岩手開発鉄道なもんで、なかなか足が向かなかったんですよね。そんなこんなしているうちに、新車の導入によりAT8100形で動くのがたった1運用のみに減ってしまったという話を聞きおよび、ようやく重い腰が上がったということなんですよね。

青葉若葉の阿武隈路を、水と緑のストライプの車両と巡る。GW前半戦は、そんな一日になりました。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 高津戸の桜、春風に舞う。 | トップ | 若葉青葉の満漢席。 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

阿武隈急行」カテゴリの最新記事