司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

法務大臣閣議後記者会見の概要「商業登記規則等の一部を改正する省令案に関する質疑について」

2022-02-16 17:54:07 | 会社法(改正商法等)
法務大臣閣議後記者会見の概要(令和4年2月15日(火))
https://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00281.html

「2件目は、商業登記規則等の一部を改正する省令案についてです。
 明日16日から、商業登記規則等の一部を改正する省令案について、パブリックコメントを開始します。
 会社の基本的な情報については、商業登記によって誰でも確認できる必要があります。しかし、その中に会社代表者等の住所が含まれていることについては、個人情報保護等の観点から問題があるのではないかとの指摘がされていました。
 この省令案は、平成31年の法制審の会社法制部会における附帯決議に基づいて、その解決を図るものです。
 まず、書面で発行される登記事項証明書においては、DV等の犯罪被害を受けるおそれがあるとの会社代表者等からの申出があった場合に、その住所を表示しない措置を講じます。
 また、インターネット上で閲覧可能な登記情報提供サービスにおいては、会社代表者等の住所を一律に表示しないこととしています。
 この省令案は、本年9月の施行を予定しています。
 幅広く御意見をお寄せいただいた上で、商業登記制度が、国民の社会経済生活の基盤としての役割をより適切に果たせるよう、努めてまいりたいと考えています。」

〇 商業登記規則等の一部を改正する省令案に関する質疑について
【記者】
 会社の代表者の住所をネット経由で一律非開示、DVなどの被害者については申出を経て非開示にできる制度改正について発言がありました。この点について1点お伺いします。
 本件については、特にネット経由の一律非開示について、信用調査の実務などに関して影響が大きいと、法制審の議論の段階から指摘されていました。
 この点について、大臣として、影響についてどのように捉えているかを教えていただければと思います。

【大臣】
 登記情報提供サービスにおいて、会社の代表者等の住所を確認することができなくなることから、同サービスの利用者に一定の影響があるものと考えています。
 しかし、この改正は、そのような影響を考慮しつつ、個人情報保護の必要性という観点から法制審議会で議論が重ねられた上で、必要な見直しを行うものであることを御理解いただきたいと思います。
 なお、改正後も、登記事項証明書を取得することにより、会社の代表者等の住所を確認することは原則として可能です。
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法務大臣閣議後記者会見の概要「法制審議会の答申について」

2022-02-16 17:50:22 | いろいろ
法務大臣閣議後記者会見の概要(令和4年2月15日(火))
https://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00281.html

「1件目は、法制審議会の答申についてです。
 昨日、法制審議会の総会が開催され、4つの答申を受けました。
 まず、民事訴訟手続について、訴えの提起から判決までを全面的にIT化すること等を内容とする答申をいただきました。
 また、今回の答申外の事項ではありますが、離婚訴訟における和解や離婚調停においてウェブ会議による参加で離婚の成立を可能とするための法改正を併せて行うことも検討しています。
 民事訴訟以外の民事・家事関係の裁判手続のIT化に向けては、別途、法制審議会に諮問したところですが、ウェブ会議による離婚成立などについては、これまでの議論状況等も踏まえ、早期に法改正を実現することが望ましいものと考えています。
 法務省としては、速やかに国会に法律案を提出すべく、引き続き準備を進めてまいります。
 次に、民法等の改正について、親子法制の見直しを内容とする答申をいただきました。
 答申に盛り込まれた無戸籍者問題の解消を目的とする民法の嫡出推定制度に関する規定等の見直しや、児童虐待を防止する観点からの親権者の懲戒権に関する規定の見直しは、いずれも国民生活における重要な課題に対応するものと考えています。
 次に、調停に関しては、裁判所の決定により、裁判外の調停で成立した和解合意に執行力を付与する制度を創設することなどを内容とする答申をいただきました。
 答申の内容は、紛争解決に関する最新の国際水準に対応するとともに、国内の重要課題である養育費の履行確保を含め、調停の活性化にも資するものと認識しています。
 民法等の改正及び調停に関する答申についても、それぞれ所要の法律案を、できる限り早期に国会に提出できるよう準備を進めてまいります。
 さらに、刑事法制関係として、組織的犯罪処罰法のマネー・ローンダリング罪の法定刑を引き上げることを内容とする答申をいただきました。
 今後、答申の内容を踏まえ、内閣官房をはじめとする関係省庁と連携しながら、できる限り早期に国会に提出できるよう、準備を進めてまいります。」

〇 法制審議会の答申に関する質疑について
【記者】
 古川大臣は昨日2月14日、法制審議会から嫡出推定の見直しや民事裁判の手続を全面IT化することなどを盛り込んだ改正要綱について答申を受けました。
 この点についての改めての意義と、法制審議会から答申を受けながら、この中の一部は開会中の通常国会への法案提出が見送られていますが、こうした重要法案の提出が見送られている現状についての受け止めを教えてください。

【大臣】
 答申の意義については、先ほど申し上げたとおりであり、いずれの答申も時宜にかなった適切な内容になっているものと受け止めています。
 民事訴訟手続のIT化に関する答申に関しては、今国会に法律案を提出する予定です。
 また、他の答申についても、先ほど申し上げたように、いずれも重要な課題を解決するためのものであり、できる限り早い時期に、改正法案を国会に提出したいと考えています。
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商業登記規則等の一部を改正する省令案~登記情報提供サービスにおける代表者住所の非表示

2022-02-16 00:08:58 | 会社法(改正商法等)
「商業登記規則等の一部を改正する省令案」に関する意見募集
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=300080259&Mode=0

○ 改正案の概要
1 商業登記規則の一部改正
(1)登記事項証明書における会社代表者等の住所の非表示(規則第31条の2等関係)
ア 概要
 附帯決議①への対応として、登記事項証明書において、会社代表者等からDV等の犯罪被害を受けるおそれがあるとの申出があった場合に、その住所を表示しない措置を講ずる。
イ 非表示の方法
 今まで住所が記載されていた部分に、住所の代わりに「商業登記規則第31条の2の規定による措置」などと記載する予定である。
(2)その他の改正(規則第81条の2等関係)
 商業登記簿に併記可能な役員の旧氏の範囲を拡大し、併せて登記申請時に限定せず旧氏併記の申出を可能とする。
※ 「一の旧氏」・・・「旧氏」(その者が過去に称していた氏であって,その者に係る戸籍又は除かれた戸籍に記載又は記録がされているものをいう。)の一つ。
 「婚姻前の氏」という限定がなくなっている。離婚前の氏や養子縁組前若しくは離縁前の氏もOKということであろうか。

2 電気通信回線による登記情報の提供に関する法律施行規則の一部改正
(1)概要
 附帯決議②への対応として、登記情報提供サービスにおいて、会社代表者等の住所を一律で表示しないこととする。
(2)非表示の方法
 今まで住所が記載されていた部分を空白とする予定である。

3 会社以外の法人の登記についての取扱い
 1及び2により改正の対象となる規定については、会社以外の法人の登記に関する法令において準用されているため、本改正により、会社以外の法人についても、これらと同様の取扱いとなる。

○ 施行時期
 令和4年9月1日

 意見募集は,令和4年3月18日(金)まで。

【附帯決議】
 株式会社の代表者の住所が記載された登記事項証明書に関する規律については,これまでの議論及び当該登記事項証明書の利用に係る現状等に照らし,法務省令において,以下のような規律を設ける必要がある。
(1)株式会社の代表者から,自己が配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律第1条第2項に規定する被害者その他の特定の法律に規定する被害者等であり,更なる被害を受けるおそれがあることを理由として,その住所を登記事項証明書に表示しない措置を講ずることを求める旨の申出があった場合において,当該申出を相当と認めるときは,登記官は,当該代表者の住所を登記事項証明書に表示しない措置を講ずることができるものとする。
(2)電気通信回線による登記情報の提供に関する法律に基づく登記情報の提供においては,株式会社の代表者の住所に関する情報を提供しないものとする。
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同性カップルのパートナー関係解消による財産分与,横浜家裁は認めず

2022-02-15 20:16:10 | 家事事件(成年後見等)
テレビ神奈川
https://news.yahoo.co.jp/articles/75fd87e5748f90f8ac36edf0b2b4012f18a84c0b

「審判で、横浜家裁は10日、「日本の法律は婚姻は異性間のみを認めており、内縁の夫婦関係の成立要件を充足していない」などとして、女性の申し立てを却下しました。」(上掲記事)

 財産分与の請求については,最初から審判の申立てをしてもよく,調停前置主義はとられていない。
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株主総会資料の電子提供制度に係る定款モデルの補足説明

2022-02-15 18:11:50 | 会社法(改正商法等)
株主総会資料の電子提供制度に係る定款モデルの補足説明について by 全国株連合会
http://www.kabukon.net/pic/study_2022_01.pdf

 定款変記載例記載例の附則の考え方の説明がされている。
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地方裁判所支部におけるウェブ会議等のITツールを活用した争点整理の運用の開始

2022-02-15 17:06:30 | 民事訴訟等
地方裁判所支部におけるウェブ会議等のITツールを活用した争点整理の運用の開始について by 裁判所
https://www.courts.go.jp/about/topics/webmeeting_2022_0214/index.html

 離島の支部(8)を皮切りに,今年7月までに全ての支部(203)で運用が開始されるようだ。
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M&Aの仲介大手業者,契約書の写しを偽造して売上高をかさ上げ

2022-02-15 16:49:03 | 会社法(改正商法等)
朝日新聞記事
https://news.yahoo.co.jp/articles/9b3eb903ce7bc991d83cf45eaed81f905e8a94df

 ん~,内部のノルマを達成するため?

 こういうことがあることから,経済産業省が中小企業のM&Aの不適切な仲介を是正するという動きがあるわけである。

cf. 令和4年1月26日「「M&A仲介協会」の設立」
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「登記情報提供サービス」による閲覧について,会社代表者の住所を非表示~9月頃実施

2022-02-15 13:13:05 | 会社法(改正商法等)
時事通信記事
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022021500392&g=soc

「古川禎久法相は15日の閣議後記者会見で、インターネット上で商業・法人の登記情報を閲覧できる「登記情報提供サービス」について、会社代表者らの住所を原則非表示とする商業登記規則などの改正案を策定したと発表した」(上掲記事)

 本年9月頃からの実施らしい。明日からパブコメ。
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FMで「調停制度」を解説

2022-02-15 09:40:36 | 家事事件(成年後見等)
TOKYO FM
https://tfm-plus.gsj.mobi/news/v1EuzQxWKD.html?showContents=detail

 最高裁家庭局の課長が,TOKYO FM で,家事調停制度等についてPR。
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法務大臣閣議後記者会見の概要「民事・家事関係裁判手続のIT化について」

2022-02-15 09:08:49 | 会社法(改正商法等)
法務大臣閣議後記者会見の概要(令和4年2月10日(木))
https://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00280.html

「1件目は、民事・家事関係裁判手続のIT化についてです。
 現在、法制審議会では、民事訴訟手続のIT化につき調査審議がされておりますが、民事訴訟手続以外にも、民事執行、民事保全、倒産及び家事事件の手続などといった重要な民事・家事関係の裁判手続があります。
 これらの民事・家事関係の裁判手続についてもIT化を進めることは、重要な課題であり、令和3年12月に閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた重点計画」でも、令和5年の通常国会に必要な法案を提出することとされています。
 このような状況を踏まえ、今月14日に、民事・家事関係の裁判手続のIT化に関し、法制審議会に諮問することとしました。」

〇 法制審議会への諮問に関する質疑について
【記者】
 冒頭発言に、船荷証券の電子化と民事執行・倒産手続などのIT化に関して法制審議会に諮問するという発言がありました。
 改めて諮問の意義とそれぞれの諮問内容についての具体的な検討項目を説明いただければと思います。

【大臣】
 船荷証券の電子化は、輸出入大国である我が国にとって、国際的商取引の一層の効率化、円滑化に資するという重要な意義があるものと考えています。
 具体的な検討項目については、法制審議会において御議論いただくべきものと考えていますが、船荷証券を電子化する際の制度設計などについて、幅広く検討がなされることを期待しています。
 民事・家事関係の裁判手続のIT化は、国民の司法アクセスを向上させ、ひいては国民に身近で頼りがいのある司法を実現することにもつながるものであり、重要な課題であると認識しています。
 今回の諮問により、民事訴訟手続以外の民事・家事関係の裁判手続についても、IT化に向けた法制度の見直しに関する具体的な検討が進むことを期待しています。
 具体的な検討項目については、法制審議会で御議論いただくべきものと考えていますが、例えば、申立書等のオンライン提出や、事件記録の電子化、ITを活用した期日を実施することなどについて、先行する民事訴訟のIT化に関する検討の成果を踏まえつつ、それぞれの手続の特性を踏まえ、幅広い検討がされることを期待しています。
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空き家の解体,相続関係人が全員相続放棄で

2022-02-13 22:13:42 | 空き家問題&所有者不明土地問題
讀賣新聞記事
https://www.yomiuri.co.jp/national/20220210-OYT1T50144/?fbclid=IwAR2YbFm2yyeY_T20daFOMpy5D4y7G1aXf5XIkgpX99dHzOOo0z36AUGE8Qo

 写真を見た感じでは,解体費用が600万円もかかるとは思えないし,土地の競売でそれを回収することができるとも思えない。
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執行裁判所から財産開示手続で出頭命令を受けたのに,出頭しなかったとして開示義務者が逮捕

2022-02-13 10:38:37 | 民事訴訟等
讀賣新聞記事
https://www.yomiuri.co.jp/national/20220210-OYT1T50147/

 執行裁判所の呼出しを受けた財産開示期日において,正当な理由なく,出頭せず,又は宣誓を拒んだ開示義務者は,6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる(民事執行法第213条第1項第5号)。

 これまでは,書類送検にとどまっていたが,逮捕は,改正法施行後初?
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空き家に増税策

2022-02-13 10:34:20 | 空き家問題&所有者不明土地問題
日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF1524T0V10C21A9000000/

「宅地の税優遇を見直す自治体が相次いでいる。兵庫県の神戸市や尼崎市が固定資産税の軽減措置に例外を設け、京都市はさらに新税を設ける条例案をまとめた。」(上掲記事)

 予算がなくて,必要な措置をとることができない,ということにならないように,断固進めて行くべき方向性であると思われる。
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家事事件手続及び民事保全,執行,倒産手続等のIT化,法制審に諮問へ

2022-02-10 22:43:15 | 家事事件(成年後見等)
日経記事
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA107SZ0Q2A210C2000000/

「古川禎久法相は10日の記者会見で、倒産などの民事や家庭裁判所で扱う訴訟のIT(情報技術)化に向けた法整備を14日の法制審議会(法相の諮問機関)に諮問すると発表した。書類のオンライン提出などを検討する。」(上掲記事)

 民事保全,執行,倒産手続については,法律実務家に依っているので,IT化もスムーズであると思われるが,当事者主義的な家事事件のIT化がどう進むのか。

cf. 家事事件手続及び民事保全、執行、倒産手続等IT化研究会
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00283.html
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養育費の確保に関する裁判手続の見直しに向けた検討状況

2022-02-10 19:28:33 | 民法改正
規制改革推進会議第4回子育て・教育・働き方ワーキング・グループ
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/kosodate/211027/agenda.html

 法務省民事局提出の「養育費の確保に関する裁判手続の見直しに向けた検討状況について」(令和3年10月27日)が公表されている。

 「考えられる見直しの方向性」として示されているのは,次のとおり。

① 義務者の住所の探知
 養育費に関する裁判手続において,例えば,裁判所が,直接又は間接に住民基本台帳ネットワークシステムで相手方の住所を確認できる制度を設けることや,公示送達制度について,申立人による現地調査を要しないような規律を設けることなどにより,申立人の負担を軽減することとしてはどうか。

② 義務者の収入の把握
 調査嘱託には応諾義務があり,それは,他の法令に基づく守秘義務や,個人情報保護を理由に拒むことができないことを明示してはどうか。

③ 財産の把握
 権利者による簡易な1回の申立てによって,義務者の給与債権,所有不動産に係る情報及びマイナンバーと紐付けられた預貯金債権等に係る情報を,法律で定める方法により一括で把握・取得することができることとしてはどうか。

④ 差押え手続の簡易化
 養育費に関する民事執行手続においては,これらの複数の手続の申立てを,1回的に,かつ,簡易な方法で行うことを認める特例を設けることとしてはどうか。
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