司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

真正相続人の有する相続回復請求権の消滅時効が完成する前であっても,所有権を時効により取得することができる

2024-03-19 18:29:33 | 民法改正
最高裁令和6年3月19日第3小法廷判決
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=92826

【判示事項】
相続回復請求の相手方である表見相続人は、真正相続人の有する相続回復請求権の消滅時効が完成する前であっても、当該真正相続人が相続した財産の所有権を時効により取得することができる

「民法884条所定の相続回復請求権の消滅時効と同法162条所定の所有権の取得時効とは要件及び効果を異にする別個の制度であって、特別法と一般法の関係にあるとは解されない。また、民法その他の法令において、相続回復請求の相手方である表見相続人が、上記消滅時効が完成する前に、相続回復請求権を有する真正相続人の相続した財産の所有権を時効により取得することが妨げられる旨を定めた規定は存しない。
 そして、民法884条が相続回復請求権について消滅時効を定めた趣旨は、相続権の帰属及びこれに伴う法律関係を早期かつ終局的に確定させることにある(最高裁昭和48年(オ)第854号同53年12月20日大法廷判決・民集32巻9号1674頁参照)ところ、上記表見相続人が同法162条所定の時効取得の要件を満たしたにもかかわらず、真正相続人の有する相続回復請求権の消滅時効が完成していないことにより、当該真正相続人の相続した財産の所有権を時効により取得することが妨げられると解することは、上記の趣旨に整合しないものというべきである。」
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京都府,地籍調査の実施率が全国最低

2024-03-18 11:51:01 | 不動産登記法その他
京都新聞記事
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/1218391

「国土交通省の調査によると、実施済みの土地の割合は2022年度末時点で8%と、全国平均の52%を大きく下回り、全都道府県で最低となった。」(上掲記事)

 むむむ。
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消費者トラブルの判例検索サイトを開設

2024-03-17 01:09:09 | 消費者問題
讀賣新聞記事
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240316-OYT1T50160/

 消費者庁が,消費者団体訴訟の裁判例の検索サイトを今春にも開設するそうである。
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相続登記の申請の義務化クイズ

2024-03-16 13:53:49 | 不動産登記法その他
Q.被相続人の遺産の中に,未登記の建物がある。これは,義務化の対象であるか。
A.対象ではない。

※ 義務化の対象であるのは,「所有権の登記名義人について相続の開始があった」場合の,「相続等による所有権の移転の登記の申請」(不動産登記法第76条の2第1項)であるからである。ただし,相続人は,「建物の表題登記の申請」義務(不動産登記法第47条第1項)を承継しており,同項に基づき,申請義務を負う。


Q.被相続人の遺産の中に,表題登記のみがされた建物がある。これは,義務化の対象であるか。
A.対象ではない。

※ 前述のとおり,義務化の対象であるのは,「所有権の登記名義人について相続の開始があった」場合の,「相続等による所有権の移転の登記の申請」(不動産登記法第76条の2第1項)であり,「表題部所有者」(不動産登記法第2条第10号)は,「登記名義人」(同条第11号)とは区別されているからである。
 元々,所有権保存登記の申請について義務ではないからでもあるが。
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戸籍法上の第三者請求で,「委任状が必要」?

2024-03-16 12:23:12 | いろいろ
戸籍謄本等の第三者請求について~市町村ホームページ上の適切な記載を中心として~ by 総務省中部管区行政評価局
https://www.soumu.go.jp/kanku/chubu/menu_11.html

 確かに,いわゆる兄弟相続の場合に,他の相続人の戸籍事項証明書を請求しようとしたところ,「委任状が必要」と言われて,諦めて帰って来た,という話は,時折耳にする。

 戸籍法上の第三者請求に該当する旨を,窓口担当者に対して,うまく説明できないためであると思われるが。

 相続の手続に必要な場合には,被相続人と請求者の戸籍事項証明書等の提示を要求すればよいだけなのに,なぜ教示をしないのであろうか。

 総務省は,全国の自治体に善処方を通知すべきであろう。

cf. 讀賣新聞記事
https://news.yahoo.co.jp/articles/7e4badfa37e87b556dfdb98dbb826ebeca3a3ac6

令和4年3月31日付け「相続手続に必要な親族の戸籍謄本の交付請求では親族等の委任状の提出は不要等と市町村に周知」
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法務大臣閣議後記者会見の概要「外国会社の登記に関する質疑について」

2024-03-15 10:41:57 | 会社法(改正商法等)
法務大臣閣議後記者会見の概要(令和6年3月12日(火))
https://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00494.html

〇 外国会社の登記に関する質疑について
【記者】
 先月、自民党がまとめた「ネット上の誹謗中傷等に対応するための緊急提言」で、日本国内で継続的にSNS等のサービスを提供している海外事業者に対し、登記を徹底するよう求める内容が盛り込まれました。こうした事業者への対応について、今後検討している対策の方針をお聞かせください。

【大臣】
 自民党のネット上の誹謗中傷等対策小委員会から政務調査会に上げる形で2月20日に提言が決定されました。その中に、対策の色々な柱の中の4番目に「発信者情報開示制度等の適切な運用」という項目がありまして、その中に今御指摘の、海外SNS事業者等についての実態の継続的把握、必要とされる会社法における外国会社登記の徹底という要望が上がってきております。これまでも、そういう御指摘を踏まえて、外国会社の登記義務の徹底は図ってきたわけでありますけれども、もう一度重ねて近々関係省庁と連携して、外国企業に登記義務についての個別に登記を促す文書を発出しようということで、今準備を進めております。是非、また報道していただくことによって意識が高まる面もあると思います。我々もしっかりと取り組みたいと思います。またその成果を見て、今後のことも検討していきたいというふうに思っています。
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区分所有法改正法案の今国会提出は見送り

2024-03-15 10:39:53 | 民法改正
日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA124OO0S4A310C2000000/

 法務省所管の他の法案との兼ね合いで,区分所有法改正法案の今国会提出は見送りとなったようだ。
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情報商材の悪質商法に関する訴訟,消費者裁判手続特例法の共通義務確認の訴えの俎上に

2024-03-12 16:59:14 | 消費者問題
最高裁令和6年3月12日第3小法廷判決
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=92808

【判示事項】
消費者裁判手続特例法2条4号所定の共通義務確認の訴えについて同法3条4項にいう「簡易確定手続において対象債権の存否及び内容を適切かつ迅速に判断することが困難であると認めるとき」に該当するとした原審の判断に違法があるとされた事例

cf. 事案の概要
https://www.courts.go.jp/saikosai/vc-files/saikosai/2023/jiangaiyou_04_1041.pdf

日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE06ATI0W4A300C2000000/

「2021年の一審・東京地裁判決は、仮に賠償義務があるとしても、購入を決めた消費者側の過失を賠償額と相殺するのが相当と判断。仮想通貨の知識や経験、購入に至った経緯は様々で、過失の有無や程度は個別に審理すべきだとして請求を却下し、同年の二審・東京高裁も支持した。
 これに対し第3小法廷は、購入した主要な経緯は共通しているとして「過失相殺や因果関係に関して消費者ごとに相当程度の審理を要するとは言えない」と指摘。一、二審判決を取り消し、販売の違法性や賠償義務の有無などについての審理を東京地裁に差し戻した。」(上掲記事)
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外国会社の登記,数十社に要請へ

2024-03-12 14:54:29 | 会社法(改正商法等)
日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2780W0X20C24A2000000/

「法務省と総務省は近く、海外に本社を置き日本で事業展開するIT(情報技術)企業など数十社に日本での法人登記を要請する。ネット上の偽情報や誹謗中傷が広がるのを受け、投稿者情報を開示請求しやすくする。」(上掲記事)

 2022年に続き,新興企業等に要請するそうだ。
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法務大臣閣議後記者会見の概要「民法等の一部を改正する法律案に関する質疑について」ほか

2024-03-12 13:43:33 | 民法改正
法務大臣閣議後記者会見の概要(令和6年3月8日(金))
https://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00493.html

「1点目は、今申し上げた民法等の改正案です。これは、離婚後のこどもの養育の在り方について、様々な深刻な影響、あるいは多様化の中での社会的なニーズ、こういったものを踏まえて、それにふさわしい規律を作ろう、新しい仕組みを作ろうということで、こどもの利益を中心に組み立てられました法案です。」

〇 民法等の一部を改正する法律案に関する質疑について
【記者】
 閣議決定された民法等の改正案についてお伺いします。共同親権の制度をめぐっては、様々な見地からなおも懸念の声が残っています。国会の審議で特に丁寧に説明しなければいけないと考えていらっしゃるポイントがあればお聞かせください。

【大臣】
 ちょうど3年前に諮問しまして、今年の2月15日に法制審の総会で要綱が決定されました。丸3年ですよね。色々な方々の意見を吸収しながら、議論を繰り返しながら作りました案であります。御指摘の点も、国会の中で色々な質問もあろうかと思いますけれども、まずはしっかり国民の皆さんに理解してもらう。そういったことに特に気を付けていきたいなというふうに思います。もちろん、必要な議論というものをその上に積み重ねますけれども、個々の論点は、国会の審議が始まってから色々またお話ししたいと思います。

〇 選択的夫婦別氏制度に関する質疑について
【記者】
 今日、夫婦別姓を求める集団提訴が行われて、午後には副大臣宛てに経済団体から夫婦別姓の要望もあります。今の国会でも質疑が出るなどしていますが、改めてこうした動きを受けての大臣の所感と、再び法案提出に向けて動き出すお考えがあるかお聞かせください。

【大臣】
 御指摘の訴えについての報道は承知しております。これについての個別のコメントは差し控えたいと思いますが、また、経済団体が、本日午後、御要望に来ていただくということも承知しております。様々なこうした議論が行われることは適切なことだというふうに思います。というのは、国民各層に様々な意見がまだあります。そして、国民各層に様々な、また多くの影響が及びます。皆さん関心があり、また影響も及ぶので、当然色々な議論が出てきますので、繰り返し様々な議論を国民各層でやっていただき、国民の代表である国会で、そういう議論が行われていくという状況を我々はよく踏まえて、総合的に勘案し、検討を進めていく。そういう議論が進むように、様々な論点とか、経緯とか、そういった情報を積極的に提供しています。これからもそうしたいと思います。色々な方々から色々な意見を出してもらう。その積み重ねの先に、多くの国民の皆さんが望む方向性が見えてくれば、そんなふうに思っておりますけれども、総合的にしっかりと検討していきたいと思います。
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ローマ字の表記見直しへ

2024-03-12 07:25:08 | 国際事情
日経記事
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE043DY0U4A300C2000000/

「文化庁の文化審議会国語分科会は11日、ローマ字の表記に関し、小学校で学ぶ「訓令式」を基本とする内閣告示の改定を視野に対応すべきだとの考えで一致した。ローマ字のルールの見直しは70年ぶり。英語のつづりに近い「ヘボン式」が浸透していることを踏まえ、2024年度以降に本格的に議論する。」(上掲記事)

 令和6年4月1日施行の改正不動産登記規則により,「所有権の移転の登記等の申請をする場合における所有権の登記名義人となる者等が日本国籍を有しない者であるときは、登記官に対してそのローマ字氏名を登記記録に記録するよう申し出るものとする」(第158条の31関係)とされるのであるが・・・・。

 登記実務においては,「訓令式」or 「ヘボン式」のいずれが採用されるのであろうか? 通達等により,統一的に運用されるべきであろう。

cf. 令和6年3月1日付け「相続登記義務化の改正省令が公布」

令和6年1月5日付け「令和6年4月1日施行の不動産登記法改正に係る不動産登記規則等の一部を改正する省令案」
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【復旧】戸籍情報連携システムの稼動状況

2024-03-11 16:37:12 | 法務省&法務局関係
【復旧】戸籍情報連携システムの稼動状況について(令和6年3月11日午後1時更新)
https://www.moj.go.jp/MINJI/kosekirenkei.html

「本月1日以降、本籍地市区町村以外の戸籍証明書の交付(いわゆる広域交付)がしづらい状態となっておりましたが、本日、復旧したことを確認できましたので、お知らせします。
 現在、一部の除籍証明書については、交付までにお時間をいただく場合がございます。利用者の皆様に御迷惑をおかけしますことをお詫び申し上げます。」
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区分所有建物だけを清算できる「所有者不明専有部分管理人」制度の創設

2024-03-11 09:17:31 | 民法改正
朝日新聞記事
https://news.yahoo.co.jp/articles/af62c78ba476f26a973a6ad1d633488df2cca674

「今回の法改正では、亡くなったり、所在がわからなくなったりした人の財産のうち、マンションの部屋だけを清算できる「所有者不明専有部分管理人」制度の創設をめざす。所有者がいない、所在が不明な場合や、そもそも所有者がわからない場合、裁判所に申し立てて、必要性が認められれば選任される。裁判所の許可があれば売却もできる。」(上掲記事)

 区分所有法制の見直しに関する改正法案は,今国会に上程されるのか?

cf. 法制審議会-区分所有法制部会
https://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_003007_00004
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共同親権等に関する民法改正法案

2024-03-10 23:10:58 | 民法改正
民法等の一部を改正する法律案
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00348.html

 改正法案が国会に上程された。
コメント

マネロン対策厳格に

2024-03-09 16:32:00 | いろいろ
日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB094IQ0Z00C24A1000000/

 改正犯収法の施行期日を定める政令がなかなか公布されないのであるが・・・。

 司法書士等に対して,犯収法第4条第1項の取引時確認を厳格化するものである。

 一応,4月からの施行が見込まれている。
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