LOHASな感じ!

日頃、仕事やプライベートで感じた事をLOHASな感覚で書いています。

少尉の手記

2006-01-22 | その他
私がその方と出会ったのは、入社2年目でまだまだ駆け出しの頃だった。
その方を担当していた先輩社員の転勤で、私がお客様担当を引継ぐ事になった。

その方は、大正9年生まれの戦争体験者で、戦前戦後は商船会社に勤務され人生の1/3を海外で生活していた方だ。
入社2年目の私でも見下したような話し方は一切せず、その方の体験談をもとに本当に様々な事を私に教えてくれた。
今までの自分を取り巻く環境とまったく違った物の見方や考え方が非常に印象的で、大げさかも知れないが、私の世界観・人生観を大きく考えさせてくれた。
その方は、共産圏以外の国はほとんど行っており、特にブラジル・スペイン・ポルトガル・上海などは生活の拠点として路地裏まで熟知していた方だ。
現地の民族や風習・考え方など本当に違うものだなと感じたものだ。
先日、ブログに投稿したポルトガル民族音楽「ファド」などは、まさにその方の影響でもある。
ご自宅を訪問すると何気なしにファドが流れており、哀愁漂う雰囲気の中で商談をしたときもあった。

今日、書棚を整理していたら、その方が執筆した「少尉の手記」が目に飛び込んできた。
自費出版で100部製作し、その一冊を頂いたものだ。
手にとって数ページ捲った。
インパール作戦・撤退・アメリカ観など、実体験に基づいて書かれてる。

「多くの人々に会い、別れ、
そして二度と会うことがなかった。」

と、その方は冒頭記述している。

その方は、奥様との二人暮しで、数年前に奥様がご逝去され、後を追うようにその1年後にご逝去された。

その後も、誰も居ない自宅前を何度か通り過ぎたこともある。
風の便りで、その家屋が取り壊されたと耳にした。
はかなさを感じざぜずにいられなかった。