八っつぁん「小石川の黒ひげ先生のところは、コロリを患った人たちで溢れているそうじゃねーか。」
熊さん「そうよ、先生たち寝ずの看病をしてるってよ。でもな、先生や家族は近所の人たちからコロリがうつるって毛嫌いされているらしいぜ。」
八っつぁん「なにっー、そんなひでぇ話があるかい! いつテメーが世話になるかわからねーのによ!!」
ということで、二人でご隠居さんに相談にいきました。
熊さん「ご隠居、小石川の黒ひげ先生のところは大変なことになっていますよ。特に、あそこで働いている人や家の者は村八分のようになっているそうで、なんかいい知恵ありませんかね?」
ご隠居「私もその噂を聞いて、心を痛めておりました。そうだ、暮れ六つになったら皆でナベ・カマを叩くというのはどうでしょうか。」
八っつぁん「こちとらぁ、物を叩くのは得意ですが、なんで叩くんですか?」
ご隠居「あそこで働いている人たちに、『有難う』と感謝の心を込めて叩くのです。」
熊さん「そりゃ、いい考えじゃねぇーですか。さっそく、町中の長屋に知らせてきます!!!」
ご隠居「そうしておくれ、くれぐれも火の見櫓の半鐘は叩かないようにな。」