著者の渡辺京二氏は九州に住む在野の思想史家。幕末・明治年間に来日した外国人の膨大な記録や文献を精査したものであり、この本が発刊された以降は同様の研究を行う者がいなくなったといわれるほどの大冊です。
その時代に当たり前であったことや意識すらしていなかったことは、当時の和本には残されていませんが、「ほろんだ日本文明の在りし日の姿を偲ぶには、私たちは異邦人の証言に頼らなければならない」と著者は言います。
この本には、日本が失ってきたものは何かを考えるうえでのエビデンスがぎっしりと詰め込まれています。