NPOな人

NPOの現状や日々の雑感などを徒然なるままにお伝えします。

ブックカバーチャレンジ6日目「新訂 幕末下級武士の絵日記 その暮らしの風景を読む」

2020年04月29日 | 日記

某が学校で歴史を学んだ頃は、「江戸時代は士農工商という身分制度があり、封建制のけしからん世の中であった」というトーンでした。

士農工商の「士」とは、もともと中国では科挙試験に合格した公務員のことですが、日本に入ってきたときに「武士」にすり替わってしまったようです。

享保三年(1718年)刊行の西川如見の町民嚢には、次のような記述があります。

「人間に五つの品位があり、是を五等の人倫といへり」「第一に天子、第二に諸侯、第三に御大夫、第四に士、第五に庶人なり」

第一の天子は「天皇」、第二の諸侯は「諸大名」、第三の御大夫は「旗本官位の諸物頭(徳川家の役人で、老中や若年寄、寺社奉行、町奉行などの役職にある人)」、第四の士は「諸旗本無官の等(ともがら)也(徳川家以外の家の大名の又内(またうち)の侍)、第五の庶人は「庶民」、しかしながら「又内(またうち)の侍いずれも庶人のうちなりと知るべし」とありますので、第四の士である諸国のお大名の侍は第五の庶人と同じ身分ということになります。

前置きが長くなりましたが、「幕末下級武士の絵日記」は忍(おし)藩10万石の(現在の埼玉県行田市)下級武士であった尾崎石城が書き残したものです。

下級と中級の俸禄の上下に関係のない武士の間の日常的な付き合い、さらに僧侶や町人たちともともに酒を飲み、場合によっては彼らは武士の家に泊まったりもしています。

そして、貧しい兄弟を石城が何かと面倒を見ている場面など、彼らの日常が生き生きと描かれており、士農工商というステレオタイプの身分制度の認識が誤りであることに気付かされる、まさに目からウロコのお薦め本です。

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