1990年代に欧米からCSR(企業の社会的責任)という考え方が導入されたとき、日本企業にあまり違和感はありませんでしたが、それは江戸時代から企業は社会の公器という考え方があったからだといわれています。新自由主義がコロナウィルスに直面して機能不全に陥っていますが、今こそ江戸商人の思想に時代を超えて学ぶべきことがあるのではないでしょうか。
大丸・下村家「店是」
先義而後利者栄
⇒正義を優先し 利益を後回しにする者は栄える
住友家「文殊院旨意書」
商事候や不及言候へ共、万事情に可被入候
⇒商い事をする際は言うまでもないことだが、万事について利益よりも心を重視するように
高島屋・飯田家「言語録」
いわゆる自利利他は古来の家風なり
⇒いわゆる自利利他は、昔から変わらぬ当店の家風である
越後屋・三井家「三井高利遺訓」
名将の下に弱卒なし。賢者能者を登用するに最も意を用いよ。下に不平怨嗟の声なからしむる様注意すべし。
⇒名将といわれる人は無能な部下を持たないものだ。能力のある者を登用することに最も留意しなさい。使用人から不平や恨み・嘆き声がでないように注意しなさい。