アルコール依存症者の自助グループには大きく分けて二つの団体があります。アルコホ-リクス・アノニマス(AA )と□▼断酒会です。断酒歴14年のAAの大ベテランが、二つの組織の違いについてこんなふうに教えてくれたことがあります。彼はAAに属す前に断酒会にも属したことのある経歴の持ち主です。
「あのなぁ、知ってるか? AAと断酒会の違いはコレなんだよ。」
と両手でグーとパーを作って見せました。
「え、何ですかそれ?」
「見ての通り、グーとパーだよ。グーは必死になって掴む、
パーは反対に手放す。そういう意味。」
「はぁー? 古い考えを手放す、というアレですか?」
古い考えを手放すというのは、ミーティングでよく取り上げられる
テーマの一つです。
「そうそう・・・、何とか自力で酒を断ちたいと、必死になって
断酒にしがみつくのが断酒会。過去の古い考え方を手放して、
人知を超えた天にお任せで飲まない生き方を目指すのがAA。
わかるだろう?」
「なるほど、二つの違いはそんなイメージなんですね?」
その時は今ひとつシックリせず、曖昧に相槌を打つだけでした。が、
しばらくしてストンと腑に落ちました。
実は、断酒会について私はほとんど知らなかったのです。私が断酒
会について知っていることと言えば、
○ 会長をトップとして実名で会員登録し組織の結束が固いこと
○ 月々の会費制で維持費を賄っていること
○ モットーが “一日断酒” ということ
○ 例会では特にテーマを設けることはないこと
ということぐらいです。言い放し・聞き放しのルールはAAと共通
です。
これに対しAAでは、
● 会員登録などありません
● 会員同士ニックネームで呼び合うだけで、匿名で通します
● ミーティング当日の献金のみで運営する自主独立した
共同体です
● モットーは “今日一日” です
● ミーティングではその都度テーマが設定されます
(断酒会で例会、AAではミーティングと呼びます)
これらに加え、AAには著作物があることが一番の特徴です。
著作物がメンバーの精神的支柱となっている点が断酒会と決定的
に違います。
断酒会はAAを雛形にしているものの、組織運営は日本の流儀に合わせていると言われていますが、おそらくそれもAAに漂う一種独特の宗教臭さを嫌ってのものと考えています。AAの著作物には、神とか、ハイヤー・パワーとかいう言葉ばかりでなく、霊的という言葉も頻繁に出てきます。これが宗教臭さを催すのだと思っています。
AAの著作物は創始者自身が遺したものなのか、それとも創始者についての伝聞なのか、あいにく私は知りません。著作物のほんの一部しか読んだことがないのですが、著作物には実践を通してしか得られない創始者の神秘的体験が随所に綴られています。
ビッグ・ブックと呼ばれている『アルコホ-リクス・アノニマス』は、謂わばAAの教典みたいなもので、創始者の経験が凝縮されたものと考えています。中でも回復のプログラム “12のステップ” は創始者が実践した行動の指針とその手順が書かれた回復へのプロトコールと思うに至りました。しかも、自然治癒力を刺激する “言語化” のススメとまで勝手に解釈するようになったのです。
私の考えでは、AAは以下を基本的なスタンスにしているようです。
― アルコール依存症者はアルコールに対し無力であるから人知を超
えた天にすべてを委ねるのがよい
断酒にシャカリキになって、足掻けば足掻くほど断酒ばかりに囚われ、他には何も見えなくなります。狭い視野ではそれだけ考えが窮屈になるばかりでうまくいきません。それならいっそのこと天にお任せするぐらいの気持ちで、足掻いている自分自身から少し距離を置いてみる方がよい。そうすれば、気分にゆとりが生まれて視野も広くなりますよ、ということです。
“なるようになるさ”
(♪Que Será, Será~ Whatever will be, will be~)
こんな心境なら “認知のゆがみ” も自然に矯正されるに違いあり
ません。(もちろんこれは私の勝手な解釈ですが、当たらずも遠か
らずと思っています。)
AAの言う “神” が自然治癒力と解釈するに至った私には、上の考えはとても合理的に思えます。ただし私の場合は、断酒を始めて10ヵ月後に憑きモノのような妄想が消えたことと、完全にアルコールが抜けた実感とがほぼ同時にあり、このことで初めて断酒の囚われから抜け出すことができました。天にお任せと思えるようになったのはこの体験の後のことです(念のため)。
こう考えると、天にお任せは断酒が定着した後の本当の回復、つまり平常心を保って生きるための心がけなのかもしれません。大ベテランが教えてくれたパーの譬えは、我執から離れ自然に任せる断捨離の考えにも通じ、まさに正鵠を射たものでした。自然治癒力に手応えを感じ始めていた私には実にタイミングがよかったのです。
ついでながら、人と話をするとき、グーだと交感神経が緊張し、パーだと副交感神経優位となって緊張が解けるそうです。ご参考まで。
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「あのなぁ、知ってるか? AAと断酒会の違いはコレなんだよ。」
と両手でグーとパーを作って見せました。
「え、何ですかそれ?」
「見ての通り、グーとパーだよ。グーは必死になって掴む、
パーは反対に手放す。そういう意味。」
「はぁー? 古い考えを手放す、というアレですか?」
古い考えを手放すというのは、ミーティングでよく取り上げられる
テーマの一つです。
「そうそう・・・、何とか自力で酒を断ちたいと、必死になって
断酒にしがみつくのが断酒会。過去の古い考え方を手放して、
人知を超えた天にお任せで飲まない生き方を目指すのがAA。
わかるだろう?」
「なるほど、二つの違いはそんなイメージなんですね?」
その時は今ひとつシックリせず、曖昧に相槌を打つだけでした。が、
しばらくしてストンと腑に落ちました。
実は、断酒会について私はほとんど知らなかったのです。私が断酒
会について知っていることと言えば、
○ 会長をトップとして実名で会員登録し組織の結束が固いこと
○ 月々の会費制で維持費を賄っていること
○ モットーが “一日断酒” ということ
○ 例会では特にテーマを設けることはないこと
ということぐらいです。言い放し・聞き放しのルールはAAと共通
です。
これに対しAAでは、
● 会員登録などありません
● 会員同士ニックネームで呼び合うだけで、匿名で通します
● ミーティング当日の献金のみで運営する自主独立した
共同体です
● モットーは “今日一日” です
● ミーティングではその都度テーマが設定されます
(断酒会で例会、AAではミーティングと呼びます)
これらに加え、AAには著作物があることが一番の特徴です。
著作物がメンバーの精神的支柱となっている点が断酒会と決定的
に違います。
断酒会はAAを雛形にしているものの、組織運営は日本の流儀に合わせていると言われていますが、おそらくそれもAAに漂う一種独特の宗教臭さを嫌ってのものと考えています。AAの著作物には、神とか、ハイヤー・パワーとかいう言葉ばかりでなく、霊的という言葉も頻繁に出てきます。これが宗教臭さを催すのだと思っています。
AAの著作物は創始者自身が遺したものなのか、それとも創始者についての伝聞なのか、あいにく私は知りません。著作物のほんの一部しか読んだことがないのですが、著作物には実践を通してしか得られない創始者の神秘的体験が随所に綴られています。
ビッグ・ブックと呼ばれている『アルコホ-リクス・アノニマス』は、謂わばAAの教典みたいなもので、創始者の経験が凝縮されたものと考えています。中でも回復のプログラム “12のステップ” は創始者が実践した行動の指針とその手順が書かれた回復へのプロトコールと思うに至りました。しかも、自然治癒力を刺激する “言語化” のススメとまで勝手に解釈するようになったのです。
私の考えでは、AAは以下を基本的なスタンスにしているようです。
― アルコール依存症者はアルコールに対し無力であるから人知を超
えた天にすべてを委ねるのがよい
断酒にシャカリキになって、足掻けば足掻くほど断酒ばかりに囚われ、他には何も見えなくなります。狭い視野ではそれだけ考えが窮屈になるばかりでうまくいきません。それならいっそのこと天にお任せするぐらいの気持ちで、足掻いている自分自身から少し距離を置いてみる方がよい。そうすれば、気分にゆとりが生まれて視野も広くなりますよ、ということです。
“なるようになるさ”
(♪Que Será, Será~ Whatever will be, will be~)
こんな心境なら “認知のゆがみ” も自然に矯正されるに違いあり
ません。(もちろんこれは私の勝手な解釈ですが、当たらずも遠か
らずと思っています。)
AAの言う “神” が自然治癒力と解釈するに至った私には、上の考えはとても合理的に思えます。ただし私の場合は、断酒を始めて10ヵ月後に憑きモノのような妄想が消えたことと、完全にアルコールが抜けた実感とがほぼ同時にあり、このことで初めて断酒の囚われから抜け出すことができました。天にお任せと思えるようになったのはこの体験の後のことです(念のため)。
こう考えると、天にお任せは断酒が定着した後の本当の回復、つまり平常心を保って生きるための心がけなのかもしれません。大ベテランが教えてくれたパーの譬えは、我執から離れ自然に任せる断捨離の考えにも通じ、まさに正鵠を射たものでした。自然治癒力に手応えを感じ始めていた私には実にタイミングがよかったのです。
ついでながら、人と話をするとき、グーだと交感神経が緊張し、パーだと副交感神経優位となって緊張が解けるそうです。ご参考まで。
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